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第二百四十話◆:回り始めた歯車は止まるのか、否か

200字小説、『奥さん』。読んで感想を聞かせてください。

第二百四十二話

 心にやましい事がなかったとしても、警察を見ただけでびくっとする人だって中に入ることだろう。朱莉はそうらしく、警察を見かけると俺の陰に隠れたり、電柱の陰に隠れようとしたり、あわてて道を変えてしまうそうだ。

 俺は………警察を見てもどうとは思わなかったが、何故だか、友人の声を聞いただけで心臓がバクバクなっており、此処から逃げ出したいという衝動に駆られている。

「雨乃、水着売り場で何しているのよ」

「え、あ、あ~、そんなの、決まってるだろ」

 なんだかからっからの舌、それを一生懸命動かして俺は続ける。

「…水着を選んでいるに決まってるだろ」

「まぁ、そうよねぇ」

 納得したように栞はうなずいたが………

「ここ、女性用の水着売り場よ。男は近いけど、そっち」

 指差すほうにはむきむきのナイスガイマネキンがポーズを取っていた。

「あ、ああ………そうだな」

「もしかして…………」

 くっ、気付かれてしまったか………しかし、まだ試着室の中に朱莉がいるから大丈夫のはずだが………

「雨乃が着るとか」

「は」

「冗談よ、冗談………実際は知り合いの女の子に水着でも送ろうって魂胆なんでしょ」

 おしい、非常に惜しいがそれは違うのである。ああ、試着室のほうから音が………

「栞、おいて行くって母さんが言って………おや、零一君じゃあないか」

「ま、真先輩………」

 よもや、この人物に助けられるとは思いもしなかった。

「おっと、いろいろと話をしたいところではあるのだけれども、今日は急いでいるので失礼するよ」

「じゃあね、雨乃」

 栞、そして救世主様は俺に手を振って行ってしまった。今度、何か持って行ってあげたほうがいいのだろう、助けてもらったことだし。

「何ほっとした表情をしているんですか、零一君」

「な、なんだよ………朱莉か」

「誰と一緒にここにきているのか、わすれてもらっちゃ困りますよ」

 若干、怒っていたようだが、俺はその水着姿に釘付けだったりする。

「………すげぇな」

「あまり見ないで下さいよ、やっぱり少しだけ、恥ずかしいですから」

「人をつけまわす朱莉が羞恥心なんて持ってるとは思いもしなかったな」

 きっと、後ろ指を刺されていることに気が付いていないのだろうな。しかし、この黒ビキニははまり役だ。いっそのこと、ケータイで画像でも撮っておいたほうがいいのだろうか。

「零一君、夏のお楽しみですよ、見ていいのは此処までです」

 ケータイを取り出そうとしたところで朱莉にそう言われてしまった。

「夏までのお楽しみねぇ」

「ええ、そうですよ。一緒に海水浴に行きましょうね」

 受験生ではないらしいのだが、本当にそんなことでいいのだろうか………ついつい、そう思ってしまった。



――――――――



 アパートに帰りついた時、なんだか偉く久しぶりに見るような人物がいた。

「竜斗じゃねぇか」

「や、元気かな」

「元気………そうだな、元気と言えば元気か」

「君にお客さんが来ているよ」

「客………誰だ」

 見たほうが早いよと俺の部屋の扉を開ける。おい、なんでお前が普通に開けられるんだと思っていると、客を見て納得できた。

「風花か」

 うなだれるように、まるで家出をしてきたかのような荷物を持った風花は俺に言うのだった。

「…………お傍においてください、東家を出てきました………」

「…………」

「わお、すごいね、零一君」

 固まる俺とは対照的に、竜斗はすごく嬉しそうだった。


何だか、終わりが近い気がしてならない作者、雨月です。では、今回の小話は………ケータイを持っている方が常にさらされている危険ですね。そう、迷惑メールです。雨月にもたくさん来ますよ。最高で一日四十通。人妻が………女子高生が………さまざまなうたい文句で騒ぎ立てていますが、ここ最近、迷惑メールの内容が変わりつつあることに若干、戸惑っています。そう、相手が男からなんですよ。おい、おれは男だぞっと、迷惑メールを送ってきた相手に言ってあげたい………。八月二十七日金曜、八時三十八分雨月。

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