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第二十四話◆:追跡、ファミレス……

第二十四話

 追跡二日目、前日のまとめならば……女性を連れていた旦那さんはその後ファミレスに。事前情報では『会社の人と夕飯は食べてくるよ』とのことなので嘘は、ついていない。

「……」

 その後、旦那さんが自宅に帰りついた時間帯、午後十一時。遅い帰宅となったわけだが、その後はなにもなかったようだ。ファミレスでも女性を残して帰るという珍しいものだった。勿論、帰宅を見届けているために俺が自由になった時間帯は十一時後半。

「さ、帰りましょうか」

「うん、そうだな……やっぱり、眠いな」

 雨は小雨になって俺ら二人は帰ることにした。鈴音さんには帰らずに泊まると告げているために何処かに行かなくてはいけない。

「じゃ、きょうはあたしの家にご招待しますよ」

「え、い、いいのかよっ」

「ええ、構いません」

 にこりと笑う湯野花さんが女神に見えた。



――――――――



 次の日、湯野花さんの家で朝食を頂き(色々と騒動はあったが今はまだ、言いたくない)学校へ。

「今日の放課後、校門前で待ってますから急いできてくださいね」

「……ああ、わかってる」

 こうして、追跡二日目が始まったわけである。



――――――――



「零一、今日僕と一緒に帰らないか」

「あ~、悪い。ちょっとこの後用事があるんだわ」

「ふぅん、まさか…佳奈ちゃんとデートじゃないよね」

「そんなわけあるかよ」

「じゃあ、栞ちゃんとデートだね」

 これは当たったといわんばかりの自信だが……その自信はお前の何処から湧き出ているものなのだろうな。

「……違うぞ。ありえないだろ、笹川が俺とデートなんてよぉ」

「あ、悲観の匂いがさっきの言葉からぷんぷんするよ。本当はしたいんだね」

「んなわけあるかよ」

 世界が反転しない限りそれはありえない。ここに笹川がいたらきっとぼこぼこに……そうやって笹川に対してびくびくしている自分が悲しい……

「ま、ともかく女の子とデートじゃないならいいよ」

「……女の子と一緒に追跡だけどな」

「何かいった」

「うんにゃ、何も言ってないぞ」



―――――――――



 まぁ、それから一週間ばかりずっと追跡ごとを(休日も勿論関係なく追跡)やっていた。ファミレスにてとりあえず湯野花さんと話し合うことに。

「……なぁ、正直言ってあの人浮気なんてしてないと思うんだが……」

「それ、あたしも思いました。最初のあの日は確かに女性の方と一緒でしたが……それ以降は女性の匂いのするところには行かず基本的に家に帰っていますからね」

「そうだよなぁ……」

 相変わらず二人でばらばらに追跡していた俺達が最終的に行き着いたのはこの事実。あの旦那さんは非常にいい人だ。病院に入院している娘さん(入学式前日に事故にあって入院したそうだ)に何度か会いに行く以外は湯野花さんが行っていたとおり家に帰っている。

「もしかしたらお昼のうちに済ませているかもしれませんね」

「済ませているとかいうなよ……その点は大丈夫だ。あの旦那さんとすれ違うときに財布すって落としたとか嘘ついてオフィスまで入り込んでみたからな。昼の時間帯に」

 学校から近かったから助かった。

「そんなことまでしていたんですか」

「ああ、そのときに上司の人にトイレまで案内してもらってあの人の人柄を聞いてみたんだよ。そしたら普通にいい人だ、仕事は真面目にやっていてさぼって何処かに行ったことは皆無らしいぞ」

「それならお昼も済ませていませんね」

「だから、済ませているとかいうなよ……」

 運ばれてきたオレンジジュースを口に含む。

「なぁ、ところで……奥さんは何で旦那さんが浮気をしているって思ったんだよ」



「ああ、それは朝の挨拶の元気がなくなったから……だ、そうですよ」



「……」

 一瞬だけ、言葉の出し方がわからなくなった。正直言ってそれだけの理由だったとは……

「あたしもそれで納得しました」

「俺には理解できねぇよ。あの旦那さんは白だよ、白」

「な、何でですかっ。まだわかりませんよっ」

「そうかぁ、それ絶対に奥さんの勘違いだよ……男ってもんは面倒くさがりやが多いんだよ。内心あいさつだって面倒だな~……そう思っているに違いない……もしくは何か朝起きても考えることがあるんだろうよ」

 そういってオレンジジュースを最後まで飲み干す。

「……もしかして娘さんのことを考えているんじゃないんですかねぇ……」

「娘……娘さんが怪我したのはいつの事だよ」

 俺の記憶では入学式の前日だ。

「あ、ちょっと待っててください……入学式の前日ですね。今から二ヶ月程度前です」

「で、奥さんが旦那さんの浮気を心配し始めたのはいつぐらいだ」

「……二ヶ月程度前だと言っていました」

「……」

 入学式前に子どもが怪我をした場合、どう考えるだろうか。まず第一に怪我のことを考えるがそれが命に関係するほど大きなものでは無くいずれは学校に行けるとわかっていたとしよう。そうしたら……親が心配するのはその後の子どもだ。友達が出来るかどうか、そっちに考えがいくのかも知れない。

「……湯野花さん、悪いが俺はこの話……おろさせてもらう」

「何言っているんですか、最後までちゃんと付き合ってもらいます……行きますよ、零一君」

 これから湯野花さんが向かうところが何処か……頭の悪い俺でも簡単に想像することができた。


さて、今回も後書きを読んでくださっている方、ありがとうございます。実は、この小説を読んでくださっている方の中に『無感の夢者』さんという方がいらっしゃいます。この方に現時点で『笹川栞』の絵を描いていただきました。『みてみん』というサイトにあるそうなので是非、ご覧ください。無感の夢者さん、ありがとうございました。重要な連絡事項はそれだけですかね。今後も無感の夢者さんから絵を頂いた場合は連絡したいと思います。じゃ、後は雨月のいつものだらだらとした話につきあってもらおうかな、そう思っています。いやぁ、親知らずぬいた後って腫れるんですねぇ。今日はそれだけしかいえません。さて、今日一日がんばっていきましょうっ。二月五日金曜、八時二十分雨月。

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