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第二百三十四話◆:未来の過去に起こった雨乃零一殺人事件 Ⅸ

第二百三十四話

 風花によって連れてこられたのは絆公園だった。何度か、訪れたことがあるのだがどうも人気の少ないところだ。

「なぁ、風花は………」

「明日の正午、この場所でまたお会いしましょう………では、わたくしは仕事へ戻らせてもらいます」

「え、ああ。わかった、明日の正午だな」

「失礼します」

「あ、ああ……」

「零一様を刺したのは………わたくしですから」

 それだけ言うと、あっさりと行ってしまった。さて、午後から暇が出来てしまったわけなのだがこれからどうしたものだろうか。再び、朱莉を探して話を聞こうか………そう思っていたところで最後の竜斗を探すことに俺はしたのだった。



―――――――



 街中をふらふらと歩いているだけではあの野々村家のおぼっちゃ………お譲ちゃんは見つけられまい。結構重役の娘さんのようだったし、今ではどこに行ったのだろうか。うーん、野々村家に強いコネクションを持っている知り合いなんていなかったしなぁ。

 結局、夕方になってしまい、俺は諦めて満の家に戻ることにしたのだった。

 ただ、これが運命だったというのならば俺は神様に感謝していたのかもしれないな。

「もしかして、竜斗か」

 コンクリを流されて駐車場にされてしまっていた元俺の住んでいたアパート。献花しているかっこいいお姉さんを見てピンと来たのだ。

「…………………うそ、だよね」

「まぁ、嘘っちゃ嘘だな。いいか、そこで止まって冷静に俺を見るんだ。暗くなりかけているからわかりにくいかもしれないが………お前の知っている零一よりも幼いだろ。俺は過去から来た零一なんだ。きっと、言っても信じてもらえないかもしれないけどな」

「ああ、そうだね。それに、ぼくが知っている零一君よりもきれいだよ」

 ぞくっとするような笑みだった。あ、いやいや、怪しいとかそういう意味じゃないんだが………なんだろう、大人の女って感じだったとでも言っておくか。

「ところで、竜斗は何をしているんだよ」

「何をしているって……ああ、君は知らないんだね」

 何やら悲しそうな表情をして、涙を流しているようだ。

「俺が死んでるってことだろ」

「そっか、知ってるんだ。で、故人がぼくに何か用でもあるのかな。君を見ていると、この手の感覚が一向に消えてくれないんだよ」

 悲しそうにそういう竜斗。やっぱり、俺のところにいる竜斗と、未来の竜斗じゃ違うんだな、いろいろと。

「ほら、何ぼーっと見とれているのさ。さっさと聞きたいことがあるのならいいなよ」

まぁ、それならさっさと用事は済ませたほうがよさそうで俺は尋ねてみることにした。

「お前も俺を刺したっていうのか」

「………そうだよ、この手で刺した。本当は刺したくなかったんだけど、何だろう………零一君にあんなことを言われたの始めてだったし、すごく………悔しかったんだ」

「あんなことってどんなことを言われたんだ」

「それは言えないよ。君、まだ子供だからね」

 ウィンクしながらそういうが………まぁ、確かに俺はまだ子供だ。

「刺した動機は何だよ」

「さっきも言った通り、言葉で傷つけられた………それと、裏切られたから………かな」

 立ち上がり、俺のほうに何かを取り出した。それが名詞であることに気付いた時には既に竜斗は歩き始めていたのだった。

「おいっ」

「………今日は気分がすぐれない。だから、またぼくに何か聞きたいことがあればそこの番号に電話してよ。話せるだけの事は話してあげるからさ」

 まったく、相変わらず自由奔放だな、あいつは。



―――――――――



 家に帰ったらミーティング。

「で、今日の成果はどうだったんだい」

「残りの三人には会ったんだけど、どうも分からねぇ事が多すぎるっていうか………やっぱり、全員が全員、俺を刺したって言ってるからなぁ」

 一体なぜ、そこまでして容疑者になりたがっているのだろう。

「わからねぇな、なんでみんな自分から罪を被りたいって考えているんだろうか」

「今の君じゃわからないだろうけど………」

 満は苦笑しながら手を軽くたたいた。

「きっと、故人のほうの零一とまだかかわっていた言って思ってるんじゃないのかな………」

「はぁ、なんだそりゃ」

 満はさらに続ける。

「女は怖いよ~、零一。故人の零一もふらふらしていたからねぇ。あの子とくっつきそうになったと思ったらあっちと仲が良くなったとか………でも、最後にあの零一が選んだ子は………」

「何かあるのかよ」

 満が口を開こうとしたとき、勢いよく扉が開け放たれた。

「零一先輩、夕食、出来ましたよ」

「つ、剣か………驚かすなよ」

「はぁ、何のことでしょうか。早く来てもらわないと夕食が冷めてしまいますよ」

「そうだな………行くか、満」

「うん、そうだね」

 剣が先にリビングのほうへと向かっていく。

「………」

「どうかしたのか、満」

「いや………どうもね、この事件もしかしたら………また被害者が出るかも」

「え」

 冗談を言っているような顔には見えなかったのだが、それなら、一体どこの誰が刺されるというのだろうか。


そろそろ今回の話も終わりを迎えそうです。本当、さっさと本編進めたいんですけど脇道それっぱなしですね、困ったものです。さて、とあるギャルゲーを買ったと先日報告しましたが一度もやってません。もう、一週間ぐらいはたってますね。うん、面倒くさがり屋なので。夏の暑さの中、何をするわけでもなくずっとゲームやってるわけですが、もちろん、小説のことも考えてますよ。次回、ついにあの人物が姿を現す時がやってきます。だんだん、ミステリーではなくなってきている節がありますが、見逃してください。八月六日金曜、十八時三十八分雨月。

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