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第二百二十九話◆:未来の過去に起こった雨乃零一殺人事件 Ⅳ

第二百二十九話

 仏間に寝ていたからといって何が起こるわけでもなく、俺はあっさりと日の目を拝むことになった。

「いやー、昨日の夜トイレに行った帰りさ、音がしたんだ」

「で、どうした」

 納豆をかきまぜながらどうでもよく尋ねる。ああ、いつもは風花の表情見ながらたべてるんだけどなぁ、今日は野郎の面を拝みながら食べてる自分が悲しいぜ。

「幽霊を見ちゃったよ」

「え、お前の家はお化けが出るのか」

 納豆をご飯にかけつつ、聞いてみると奴は笑っていた。

「いや、仏間に死んだはずの零一が寝てるんだ。それでね、窓があいてて零一が出て行ったんだよ。幽体離脱だねぇ」

「…………これでもくらっとけ」

「ぐわっ、目がぁ、目がぁあっ」

 朝から面倒な事を言った満には置いてあった蜜柑の皮で攻撃しておいた。



―――――――



 春休みになったからと言って、満は仕事がなくなるわけではないようだ。朝食を終え、食器を洗った奴は学校に行ってしまった。俺は再びアパートがあった場所へと向かう。

「………変わってねぇな」

 そこに扉があって、くぐることが出来れば何とか戻れるかもしれないと思ったのだがどうやら無駄足だったようだ。コンクリの駐車場があり、花が置いてあるだけ。俺の好きなひまわりが置いてあるのだが………今の季節、自生しているわけはない。

 こっちの俺はすでに死んでいるのだが、俺は生きているし、此処にいるべき人間じゃあないだろう。

 気になっているから俺が死んだ理由を調べているだけでそれも終わったら元いた場所に帰りたいものだな………帰ることが出来るのかは非常に疑問があるのだが。

「さて、これからどうするか…………」

 満がいないからと言って調査を怠るのもどうかと思えた。あいつも仕事を持っている、高校生ではないのだから足を引っ張るのはどうだろうか。

 しばらくうろつきながら此処からならだれの家が一番近いか脳内の地図を歩く。結果としてあげられのはニアの家だった。

「…………家、どうなってるんだろうな」

 この前ニアの家に行くと謎の爆発事故が起こっていたようでリフォームすると言っていたのだが…………六年後はどんな感じに仕上がっているのだろうか。



――――――――



「変わりがないって言うのもある意味すごいかもな」

 道場があって母屋、そして離れがあった。変わったところは一切なく、逆に驚いていたりする。

 チャイムを押すと爆発する………なんてことは一切なく、普通のチャイム音がしているだけだった。

「あれ、留守か」

「お前、誰だ」

 気がついたら背後をとられており、喉もとには鋭い刃物が突き付けられていた。

「あ、あ~もしかしてニアか」

「…………お前は誰だと聞いてるんだ」

 声はニアだし、この身のこなしも俺の知り合いの中ではニアしかいない。爺さんだったら普通に出てきていただろうし。

「零一だ、雨乃零一」

「零一は………ニアが殺したぞ」

 どこか悲しい声。だが、俺は両手をあげていった。

「んじゃ、顔を確認してみればいい。俺は六年前の零一だ」

「………そうだな、確認する」

 殺気は消え、俺は自由になった。後ろを振り返ると覆面を付けた女性が立っていた。その女性は紺色の装束を身にまとっていたが瞬時に白いワイシャツと赤のスカートを身にまとって現れる。

「零一………だな」

「ああ、おっと………」

 いきなり抱きつかれて驚いたのだが(いやーなんだ、いろいろと成長していて困るわ)ニアも変わっていないようだった。

「なんで、零一がいるんだ」

 抱きついてきたニアをはがしているとそう尋ねられる。

「さぁなぁ、よくわからないんだが………さっきも言ったが過去から来たって事になるな」

「じーじ………じゃないな、じーじは今外国で海底基地を建設しているからな」

 あの爺さん、六年後もまだ生きてるんだな。

「零一に会えたのはすごくうれしい、だけど………悲しい」

「ま、俺も微妙だな。ここ数日で毎日会っていたからなぁ」

 どうしたものかと思いつつ、用件をさっさと済ませておくことにした。

「さて、ニアは俺を刺したって言ってるけど本当かよ」

 そういうと目をそらしてうなずいた。

「うん、ニアは零一を刺したぞ」

「そっか………」

 納得しつつ、首をかしげるもニアが口を開いた。

「だけど、零一の知り合いの女全員が刺したって言ってる」

「そうなんだよなぁ………まだ全員に会ってないけどよ」

 さてまぁ、容疑者って言うか、刺しましたって素直な犯人がまた一人増えてしまったことになる。どうしたものだろうか………。

 悩んでいるとニアが暗そうな表情で俺に近づいてきた。

「なぁ、やっぱり零一は………ニアが零一を刺したら嫌いになるのか」

「ええっ、刺されたことないからわかんねぇよ。でもまぁ、今の俺は嫌いじゃないから、安心しろよ」

 ニアの肩に手を置いて笑ってやった。そうすると安心したようで目をうるわせ、うなずいてくれた。

「なぁ、零一、あがっていくか」

「いや、今日はいい。他に用事もあるから」

「そっか………だけど、今度来たら絶対に上がっててほしいぞ」

「ああ、今度来たらな」

 もし、過去に戻れたらどうすればいいのだろうか。ま、爺さんがタイムマシンでも作ってくれるのを気長に待つとしよう。



――――――――



 ニアの家から帰る途中、俺はこの際他のところにも行ってみようかと考えた。もしかしたら引っ越している人がいるかもしれないし………。

 話を、というか会っていない人物をあげていくと澤田、朱莉、剣に竜斗、風花だ。東グループはどうやらちゃんと存在しているのをきょうの朝刊で知ったので後回しだ。野々村関係の株もちゃんとあったので大丈夫だろう。となると、竜斗と風花、そして一人暮らしをしているという剣は除外となる。

「近いとなると朱莉の家だな」

 探偵事務所があったし、そこに行ってみればわかるだろ。というか、個人的に探偵さんにやってもらったほうが事件なんて解決するんじゃないのだろうか。

 しかし、よく考えてみれば朱莉のお父さんはA.S.Tに入っていたのだ。既に向かっていた場所には探偵事務所がなかったりする。

「やっぱり、澤田のほうか」

 金持ちの住む住宅街へ、俺は足を伸ばすことにした。


ニアも登場、そして仏間に寝ていた零一はお化けに遭遇することもなく、面白味もない夜を過ごしましたねぇ。今後、零一は相変わらず容疑者にあっていきます。もちろん、途中で難関が待ち受けているのは当然ですよ。では、また次回。感想、評価などがあればよろしくお願いします。七月三十日金曜、二十三時二十一分雨月。

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