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第二百二十二話◆金縛り体験

第二百二十二話

 山方面と言うこともあってか、出される料理は山菜中心だった。ブランド牛としてこれから売りだしていこうという牛肉もあったのだが、量はどうしても山菜中心である。そして、なぜか俺にだけちょっとどろっとした感じの液体が出された。

「何ですか、これ」

 持ってきたときに尋ねるとにこっと笑って女将さんは言った。

「すっぽんの生き血です。これで今夜はホームランですよ」

「えと、遠慮しときます」

 冗談で出したのかわからなかったが、女将さんは承知しましたと言って下げてくれたのでほっとした。

「いや~、すっぽんの生き血はさすがに………」

「私はちょっと飲んでみたかったかな」

 他の料理を食べつつ、そんな話をしているとケータイが鳴った。佳奈がなんだか睨むような感じで俺を見てくる中、相手も確認せずに着信ボタンを押す。

「もしもし」

『あ、僕だよ僕。実はさー、事故起こしちゃってお金降りこんでくれないかな』

「下らん用事でかけてきたのなら切るぞ、満」

 やつから電話がかかってくるとは思いもよらなかったのだがどうかしたのだろうか。珍しい相手から電話がかかってきたときってかなりの比率で悪い事の知らせかと思ってしまう。

『今日これから君のアパートに行こうと思ってね』

「あ、そりゃ悪いな。家族と………」

『家族………ああ、なるほど。旅行中なのか。そっかそっか、それならいいよ。ホテルと旅館、どっちだい』

「旅館だ」

『じゃあさ、何か掛け軸とか絵がかけられていたらその裏見てみなよ~、お札が貼っていたら出るかもよ、うひひひ………ぶつっ』

 勝手に切れた。怖がりを演出しているつもりなのだろうが失敗に終わっている感じがする。

「ん、佳奈なんだか嬉しそうな顔してるな」

「え、べ、別にしてないわよ。零一が掛け軸の裏とか確認なんて怖がってしそうにないなーっておもってるだけよ」

 まぁ、佳奈の挑発に乗ったわけではないのだが、掛け軸を見つけて裏返して見た。

「………貼ってあるなぁ」

「え、う、うそっ」

「もしかしたら俺の見間違いかもしれないからお前も見てみろよ」

 近づいてきて佳奈は覗き込んで絶句していた。

「えっと、何かの冗談よね」

 その質問に俺は答えることができなかったりする。



―――――――



 布団を敷いてもらって後は寝るだけ。隣の布団には当然、佳奈が寝ている。

「な、何も出るわけないわよね」

「ああ、そうだな。札貼ってるんだから出るわけないだろ」

 札を貼っているのに出るなんて卑怯である。出ちゃダメよって言われているのに出るとは何とも聞き分けのない幽霊だ。

 目を閉じていれば眠れるだろうと考えて俺は静かに目を閉じた。佳奈が何やら一人でブツブツと言っているようだがそれがちょうどいい子守唄のように聞こえた。うとうとと、夢の世界に俺は引きずり込まれてしまったのである。



――――――――



 夜中、身体が動かない事に気がついて脳内が覚醒した。かろうじて足は動かせるが、ここで目を開けてしまうと絶対に見てしまうパターンである。幸い、再び眠気が襲ってくるのが速かったので再び俺は夢の世界にとんずらこいたのである。

 これが、俺が生まれて初めて体験した金縛りであった。


―――――――――



 外から小鳥の鳴き声が聞こえてきて朝がやってきたことが靄のかかった脳みそで考えられるひとつの事だった。そして、もう一つ気がついたのが身体が不自由なままだったということだ。明るいということもあって急いで目を開けると佳奈が俺にしがみついていた。



 これが本当の佳奈縛り…………



 これが、俺が生まれて初めて体験した佳奈縛りであった。


天変地異って今のことを言うんじゃないかとここ最近、考えています。まぁ、地球が滅びるときは滅びるんですよ、ええ、仕方ない仕方ない。ここまで流されるだけの人生送ってきた雨月は鮭のように川を逆流するなんて恐れ多いことはしませんよ。人間、いつ死んでしまうのかわかりませんからね。さて、旅館の怖い思いでが一つあります。絵の裏にお札があったわけではなく、絵自体がおかしかったんです。なんといいますか、子供のころ見てかなり違和感があってそれが怖かったというそんなものなんです。一泊二日の間、何も起こらなかったので絵については何ら問題なかったんでしょうけどね。まぁ、夏の暑さは怖い怪談話でなんとかしてください。気がつけば七月も終わりですわ。七月二十五日日曜、十一時十一分雨月。

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