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第二百十五話◆:見合い(S.S)

前回までのあらすじ:実は赤ん坊の正体が自分の将来の子供であり、少女が自分の妻となる人物の中学時代だったりしたらいいなと零一は妄想するが、れっきとした現代人のようで未来人でも過去人でもなかった。まぁ、どっかの迷子少女だろうとある日、警察に行くと案の定、そこには少女が行方不明扱いの写真として貼られていた。さて、これからどうしようかと零一は考えるもとりあえず雨音に尋ねてみることにした………名前を確認しなかったのは彼なりの気配りだったりする。

第二百十五話

 一月も終わりの週となる日曜日に俺はスーツを着せられ、風花に連れられて近くにある高級そうな料亭へと向かった。近くて遠い距離とはこのことなのだなぁと思いながら料亭の中へと入っていく。

「既に相手方を待たせておりますので失礼のないよう、お願いします」

「え、ああ………」

 これから一体ぜんたい何が始まるのかとどきどきしながら部屋へと連れられて行く。

「遅くなり、申し訳ありません」

 風花がそう言ってふすまを開けるとそこには三つ編みに眼鏡をかけたあの少女がいたのだ。そして、驚くことにその隣には真先輩がたんこぶを作って座っている。

「やぁ、雨乃君」

「ま、真先輩………なんでここにいるんですか」

「いや、今日は両親の代わりでね。ま、見合い相手は大体想像できていたけどやっぱり君が来たんだね」

「…………」

 隣の少女………は静かに眼鏡をはずして三つ編みをほどいた。

「……さ、笹川っ」

「雨乃、どうかしたの」

 いつものようにじっと俺を見つめてさっさと座ればいいわとつぶやいた。それにならって席に着くと、代わりに真先輩が立ちあがった。

「さて、後は若い者二人に任せるとしましょうか」

「真先輩も十分若いでしょ」

「精神年齢は五十九才だったりするのね………じゃ、頑張って」

「失礼いたします」

 風花も真先輩と一緒に出て行ってしまった。

「………」

「………」

 さて、これからどうしたものだろうかと笹川のほうを見ると上目遣いで俺の事を見ており、何故だかドキッとしてしまった。

「な、なんだよ」

「あの時さ、お礼を言うの忘れてたわ………ありがとう、雨乃」

「よせよ、というか………なんであの時いつもみたいに暴れなかったんだ」

「それは………なんというかね……」

 しどろもどろになるところがかなり怪しい。人通りの少ないところまで連れて行き、そこで徹底的に相手をつぶすつもりだったのだろうか。

「笑わないって約束してくれるかしら」

「ああ、笑わないって約束する」

「………変身願望って言うのかな。別の自分になりたかったから、三つ編みで眼鏡の時は絶対に暴力は振るわないって自分の中で決めてたの」

 そういって顔を伏せた。どうやら顔を真っ赤にするほど恥ずかしかった話らしい。

「でもよ………」

「あのさ、これから先は外で話さないかしら……一応、この料亭って庭もあるみたいだから」

 外指差している笹川に俺はうなずき、一緒に庭のほうへと歩く。今更ながら気づいたのだが艶やかな赤い着物を着ていた。

「似合ってるな、その着物」

「………ありがと」

 俺のほうを決してみないようにして口だけを素早く動かしてそう言われた。言っている俺も恥ずかしかったが、笹川も恥ずかしかったのだろう。

「けどよ、別に俺は知ってるんだからごまかさなくたってよかっただろ」

「なんだかね………いつもの私と接するときの雨乃と、あの時の私に接するときの雨乃を比べているとさみしくなっちゃってて……なんだろ、うまく言えないけどああ、私がこういったおとなしそうな感じだったらもっと仲良くなれていたんじゃないかなって思えたのよ」

「今も十分仲いいだろ」

「………そう、なんだけどね、一応は」

 一応は……とかこれまた曖昧な言葉を使うなぁ。ともかく、笹川がいつもと同じ調子ではないということだけは確かなので下手につついて刺激するのは非常に危険だと脳内会議にて賛成多数で可決となった。

「雨乃は私がおとなしかったら………その、もっと仲良くなれたと思うのかしら」

「どうだろうなぁ、逆に難しかったかもしれねぇ」

 二人で小さな橋の途中で止まり、流れる川を泳ぐ錦鯉を眺める。水面にぼやけて映っている俺たちの距離はほとんど零と言っていい。

「俺は笹川が変わりたいっていうんならそれでいいし、変わらないっていうのならそれでいい」

「………適当ね」

「いいや、適当って言うんじゃなくて俺は笹川が変わろうと俺自身の接し方は変わらないってことだ。あの時は初対面の相手だと思ったからやさしくしたからで仲良くなれば失礼なことを言うかもしれねぇだろ」

「まぁ、そうかも」

「あんまり真剣に考える問題でもねぇ………ところで、なんでお前がこの料亭にいるんだよ」

「お見合いだって聞いたわ。どこぞの社長の息子とのね………」

「なるほどなぁ」

「雨乃はなんて聞いていたの」

「そうだな、父親がいるかもしれないって甘言に乗せられちまったんだが……ま、笹川に会えたしそれでいいか」

「……」

 なんだかぶすっとしたような面が水面に映っている。

「私、雨乃のそういったところ嫌い」

「そうか、俺はお前のそういったところは好きだけどな」

「………ばーか」

 軽い蹴りを脛にくらって俺はよろけて池に落ちそうになったが笹川が支えてくれていた。

「困ったことがあったら私に少しでも話しなさいよ。力になれなくても一緒に困ってあげるから」

「ははは、一緒に困ってちゃ意味ないだろ」

「二人のほうが解決は早いでしょ」

 その後、俺と笹川は部屋に戻って食事をして別れた。印象的だったのは笹川がずっとほほ笑んでいたことだろうか………。

 何にせよ、有意義な時間を過ごせるというのは楽しい事なんだな。



人間、やるべきことがいろいろとあるんですよ。しかし、こうやって投稿できたことには素直に誰かに感謝しないといけませんねぇ。そろそろ夏本番、中には期末テストであっぷっぷーという状況の人もいるでしょうがゆっくりと落ち着いて考えてください。しっかりと勉強をしていれば結果を残すことができます。ああ、なつかしき受験生の日々……思えば、学校終わったら親から電話がかかってくるまで『勉強』といつわって『スマブ○』をいやというほどやっていた気がします。とまぁ、勉強はしておいて損がないのはウソではありません。だって、小説書きたいなぁって思ったときにしっかりと流用できますからね。書いてみたいなと思う方、ぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ここのいいところはネットですので顔を出す必要がありません、よって自分が読んでどんなに恥ずかしい内容でも感想とかもらえた日には飛び上るほどうれしいですからね。ああ、思えば最初の感想をもらった時は本当にうれしかった………今は若干荒みがちですが、これからもがんばっていきたいと思います。応援、してくれるかたはしてくださいね。七月十日土曜、二十二時二十九分雨月。

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