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第二百十二話◆:んはっ

前回までのあらすじ:零一が家に帰りつくと異臭が漂っていた。扉をゆっくりと開け、中を確認するとめちゃくちゃにあらされている………急いで少女と赤ん坊の無事を確認しようとするが、赤ん坊は泣き叫んでいた。あわてて赤ん坊にけがはないかと思い、抱き上げると鼻孔をくすぐる強烈な悪臭………うっ、と異臭の正体がこの赤ん坊のおむつからすることに気づく。背後の扉が開いて、そこには無言の少女がおむつの入ったスーパーの袋を持って立っていた。きっと、この泥棒に入られたようなありさまはこの子がおむつを探していたのだろう……零一は少女に言うのだった。『おい、エコバックを持っていけ』

第二百十二話

 洋一郎のもとへと向かう方法はまずは電車ということになった。思ったより人がいなかったのでほっとし、あっさりと座ることが出来る。

 電車に揺られていると眠くなる。俺はそっと瞼を閉じて眠ることにした。もちろん、駅に着いた時にはアナウンスがあるのでそれで起きようと思っていたのだ。



――――――――



「ねぇねぇ、本読んでよ」

「零一、今日からお前に友達が出来るぞ」

「え~友達なんて信じられないって爺ちゃん言ってたじゃんかぁ」

「そうだったかな、忘れてしまったなぁ。爺ちゃんはぼけが進んでいるからな」

「嘘つき~、そんならこの前教えてくれた肉じゃがのレシピ、もう一回教えてくれよぉ」

「忘れてしまったわ………」

「お久しぶりです、源次郎さん」

「こんにちは」

「お、達郎に鈴音さんかぁ。おやおや、佳奈ちゃんも大きくなったのう」

「こ、こんにちは」

「爺ちゃん、この人たち誰」



―――――――――



「んはっ」

「零一様、着きましたよ」

 短い間だったが夢を見ていたような気がする。懐かしいというか、本当にそれが過去に起ったことなのかちょっと信じられないような光景だった。

「どうかなさいましたか」

「いや、なんでもない………行くか」

「はい」

 休日ということもあってか、駅は混雑している。しかし、俺の手をしっかりと握っていない風花だったが後続の俺を振り返り確認することなく人の少ないところをピンポイントで狙って抜けていくあたりはさすがだといいたかった。

 まぁ、正直な話をするとこの程度の人ごみならば別に一人でも抜けるのは容易だったりするがせっかく軽くといえど手を繋いでくれているのだから素直に連れて行かれようと考えたのである。後日、そのことについて話したら『あれはわたくしが迷子にならないように掴ませてもらっていたものです』と答えてきた。

 無事に人波を抜けて駅前へとやってきた。

「迎えの車とかないのか」

 お金持ちのイメージとしては駅前まで黒塗りの車を横付けしたりしているのだがそういった車はどこにもない。

「残念ながら………」

「そうか、まぁ、それなら歩いていける距離なんだろ」

「徒歩で三十分程度です」

 徒歩で三十分って結構遠くないだろうか………いや、まぁ、他に方法がないならそれしかないんだろうけどさ。タクシー………って、そういう身分じゃないから使ったことないしなぁ。

「では、まいりましょう」

「え、あ、ああ………」

 風花の言った通りそれから約三十分間(正確には二十九分三十二秒)歩いたのだが、風花との会話はあまりなかった。ぽつりぽつりとは話をしたのだが、それ以上はなぜか風花がしゃべってくれなかった。

「あの屋敷が洋一郎さまの住居でございます」

「ははぁ、ありゃ確かに金持ちが住んでるんだろうな」

 車が通る程度の門があり、そこに呼び鈴がある。それを風花が押して少しして女性の声が聞こえてきた。

『どなたですか』

「こんにちは、美月さん。風花です。零一様を連れてまいりました」

『はいはい、今開けるわ』

 その言葉の後に門が静かに開いていく。そして、遠い庭のほうから一人の少女がやってきた。若干釣り目だが美少女と言って差し支えのない感じだ。髪は後ろでポニーテールにしている。

「はじめまして、私の名前は美月よ」

「あ~俺の名前は零一………」

「美月さん、紹介はいいので早く零一様に洋一郎さまを会わせてくれませんか」

 風花がそういうと美月は首をすくめてやれやれといった感じでうなずいた。

「はいはい、こっちよ、ついてきて」

 それから約五分程度の時間をかけて屋敷内を歩いて行ったのだが俺のすんでいるところとはやっぱり全然違うものだった。ま、此処に住みたいかと言われた別に住みたくないと答える可能性のほうが大きいだろうな。だって、此処って広すぎてトイレとか絶対に面倒だぜ。

「ここよ」

 応接間と書かれた部屋の前で俺たち三人は一度だけ、止まるのだった。

「どうぞ、あいてるよ」

 中から男の声がする。俺は少しだけ緊張しながらその扉に手をかけた。


ここ数日、腹痛ですよ………理由はさっぱりわかりません、何か悪いものでも食べたのでしょうか………うう、トイレが友達って何だかつらいですね。っと、MHF、OBTが終わり、用事がぎっしりなのでクーポンは使用せずに保管。だって、出来ないのに使用するなんてもったいないじゃないですか。それに、他にやりたいゲームもありますし、小説も書かないといけないし、レポートだって提出しなくてはいけません。優先順位はもちろん、小説、レポート、ゲームだったりしますね。そろそろこの小説も終盤にさしかかっていたらよかったんですけどね。まだ、卒業式まで二年ほど………長い、でもそんなのが高校生活ですよ。振り返ってみて短かったなって思えればそれでいいんです。打ち切るのは簡単ですが、続けるのは難しいんですよ。いや、別に打ち切りたいわけじゃないんです、だってまだまだ脳内にはこの小説のネタがありますからね。ないのはやる気と根性です。七月九日金曜、八時三十四分雨月。

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