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第二百六話◆:風花と零一、月曜日

第二百六話

「高校一年生、三学期とは高校二年生零学期ともいえるんだぞ。それなのになんだ、お前たちの中には問題を起こすのを楽しんでいる奴がいないか先生は心配だ」

 学年主任をしている先生が熱を込めて俺たちにそんなことを言って来る………まさか、月曜日の放課後に学年集会があるとは思いもよらなかった。

「やれやれ、不祥事起こしたのはどこのどいつだ」

 きっと、どっかの暴力生徒が他校の生徒にちょっかいでも出したのだろう。

 全く、ちょっかいを出すのは自分の高校の生徒にしておけよと………思ったところで体育館入り口のほうに人影があるのを俺は見つけた。

 先生の人が俺のほうへと駆けつけてくる…そりゃそうだろうな、だってあれは俺の知り合いなのだから。

「あれ、誰でしょうかね」

「珍しいよなぁ」

「本当だ」

 クラスメートたちがひそひそと話を始める。

「雨乃君、家族の方が来ているわ」

「はぁ、わかりました。ちょっと行ってきます」

 視線が俺のほうへと向けられる………当然、その視線の中には剣と澤田のものもあったがそっちのことは置いておくとして外で待っている風花のもとへと走ることが先決だろう。



「こら、お前らこっちを見ろっ」



 先生のどなり声は外までしっかりと聞こえていた。



―――――――



「どうしたんだよ、放課後に……下手したらすれ違っていたかもしれないだろ」

 心のすれ違った恋人同士がメールでやり取りし、関係を修復することを『すれ違い通信』と満が言っていた気がするが、これとは関係ないだろうな。

「携帯電話のほうに連絡を淹れようかとも思いましたが直接、出向いたほうがよかったと思いましたのでここまでやってきました。三時過ぎにはアパートのほうを出たのですが………」

 なるほどな…きっと迷子になっていた、そういうことなのだろう。

「んで、用件は何だよ」

 自販機でジュースを買って風花に渡す………結構ですと言われたが無理やり握らせておいた。

 しばらくの間、ジュースを飲む様子を眺めていると俺の視線に気がついたようでアルミの缶から唇を離した。



「零一様の妹様が会いたがっておられるようです」



「はぁ、妹が…ねぇ」

 いきなり妹が出来るなんて下手な話だな………そう思ったが、両親行方不明、祖父もいきなり行方不明という超不思議家族なのだからそんなものなのかもしれない。

 未確認生命体、UMAな妹もいるもんなんだな。

「なんで俺に会いたがってるんだ。どうせ、『これまでずっと会えなかったお兄ちゃんに………その、すっごく会いたかったんだぁ』とか、そんな理由じゃないだろ」

「………」

 なんだか、すっごく冷めた目つきで見られたような気がした。

 嫌われるのも嫌だったので真面目に回答するとしよう。

「どうせ、『東を継ぐものとして本当に素質があるのか見に来た』とかそんな感じだろ」

「その通りですね。どうなさいますか」

「もちろん、会わない」

「…………わかりました」

「悪いな、いちいちここまで来てもらって」

「いえ、仕事ですので………」

 俺の周りの女の子ってどいつもこいつも可愛げのない(あえて挙げろというのなら、澤田ぐらいか)連中ばっかりだなぁ………いや、俺の考え方がもしかして変わってきているのかもしれない。

「あ、零一じゃないか」

「おう、満か」

「あれ、この美人さんは誰だい………しかも、メイド服っぽいものを着ているみたいだし………」

「えっとなぁ、風花は………」

「風花さんって言うんだ。よろしくね」

「零一様、こちらの方は………」

「様………」

 満よ、俺をそんな変態を見るような目つきで見るんじゃない。

「風花、こいつの名前は吉田満。変態みたいな感じだが、変態じゃない」

「し、失礼な紹介だなぁ。まぁ、変態じゃないって断言している通り、僕は変態じゃないからね」



「ド変態だ、気をつけてくれ」



「わかりました」

「ちょっと待ってくれよ。ちょっと妄想の行きすぎた少年って紹介に変えてくれよ」

「………わかった、現実と妄想が最近曖昧になってきた少年だ」

「……わかりました」

 すっごく冷めた目で満を見ている。ああ、かわいそうに。

「もう、ま、よくある話だね。最初は最低の印象しか相手に与えないけど、後でくっつくって話、僕聞いたりするから」

「ま、頑張りたければ頑張れよ。で、満は俺に用事でもあるのか」

「おっと、こんなところで油売ってる場合じゃないっ。急いで部活に出ないと部長に怒られちゃうよ」

 部長よりあとから部室に来たら折檻だからね、と言い残して満は去った………そして、そのあとを『告白部部長』が走って行ったりする。

「ま、いいか………そんなことより風花、帰るぞ」

「しかし、集会があっているのではないでしょうか」

「いや、もう終っているからいい」

 先生のどなり声がいまだ聞こえてくる体育館を後にする。

 どうせ、不祥事を起こしたのは俺ではないのだし、戻ってあれこれと聞かれるかもしれないからなぁ………

 思えば、風花のことをさっさと説明しておいたほうがよかったのだろう、俺は後でそれを痛感した。


とうとう、ポケモ○の図鑑、ジョ○ト編埋めましたよ………長かった、レベル上げが面倒だった………なんか博士からもらえるのかと思ったがどうでもいいコメントのみ………まぁ、ハイテク(?)図鑑をやるかわりに埋めろと言われたようなものなのでギブアンドテイクは成立しているわけですね。ま、ともかくひと段落ついたわけですよ。さて、満に風花を紹介した零一でしたがそれは後に面倒な事件を引き起こします。そして、佳奈に謝っていないのも彼にとってはマイナスに………迷走に迷走を重ねるであろう、優柔不断な主人公、雨乃零一の、いや、東零一の運命や………いかに。次回、『世界が滅んでも、僕は君(お金)を離さない』をお送りします。なお、内容が変更になる可能性は十分ありますのでご了承ください。六月二十五日金曜、九時七分雨月。

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