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第百九十七話◆:都市伝説的な何か

第百九十七話

 吉田満は悩んでいた。

「なぁんで何だろう」

 彼の視線の先には一人の男子生徒と、それを取り巻く女子たちが映っている。まぁ、誰とは言わないが。

「ちょっと雨乃、今度の三連休土曜日は本を探しに行くわよ」

「へいへい」

「零一、今日はお母さんがいないから料理作りに帰ってきてよ」

「わかったよ」

「放課後はニアと一緒に遊ぶぞっ」

「うんうん、じゃあ久しぶりにチェスで勝負だ(ルール知らんけど)」

「あ、あの、雨乃先輩っ。今度の日曜日一緒に遊園地に行きましょうっ。あ、と、当然家族も付いてきますけど」

「ああ、んじゃあスケジュールは開けとくわ」

「一先輩、最近走りこみがなっていませんよ。体力が落ちてきていませんか」

「言われてみればそうかもなぁ。よし、じゃあ朝走る量を増やすかっ」

「零一君、仕事ですよ。今日は第一羽津小学校の逃げたウサギを見つけます」

「へぇへぇ、わかりましたよ」

「も~零一くんはエッチだな。ぼくの胸ばっかり見てさ」

「誰がエッチだ、竜斗。俺はエッチじゃないぞ。第一、お前の胸なんて見てないから」

 もう、ここまでくれば一種のハーレムではないかと彼は思うのであった。当然、妬ましい視線を友人へと送る。

「………妬ましい。一年生のくせに女子を連れて僕に見せつけに来るとは………」

「お、どうした満」

「君の周りにはどうしてそう女子がいるんだい。僕のところにもちょっとは来てもいいんじゃないのかな。凛々しいお姉さんタイプとか」

「あ~まぁ、お前のところにはしっかりと女が憑いているから安心しろよ。嘘じゃないぞ。嘘なら朱莉に聞いてみればわかるから」

 それだけ残して友人はどこかに行ってしまった。

「女がついているって一体どこに………」

 視線を感じ、後ろを振り向くがそこには誰もいない。あるのは掃除用の道具入れとごみ箱だった。

「………まさかね」

 掃除用具入れを開けてみるが、当然、入っているのは掃除道具だけ。ごみ箱を開けてもあるのはごみ袋と捨てられた猫だけだった。

「気のせいかな」

 満はあたりを見渡すが、他に人影はなかったし視線を感じることもなかった。

「もう帰ろっと」

 かばんを掴んで教室から出る。当然、そこに誰かがいるということもなかった。

 誰もいなくなったはずの教室。窓から一人の女子生徒が入ってくる。

「ふぅ、危なかった」

 それまで腕一つで窓のさんにぶら下がっていたのである。驚異の腕力と言っていいものか疑問が残るのだが、校庭のほうから当然、丸見えである。

「あんた、まだ満に告白してなかったのかよ。告白部部長だろ」

 そして、天井から男子生徒と女子生徒が現れた。女子生徒はくのいちが着るような服を身にまとっている。

「む、それは心外ね、零一君。あたしもしたいけど出来ないのよ。恋のライバルが多すぎるもの」

「いや、満にいるわけないだろ」

「零一、こんな女放っておいてニアと遊ぶぞ」

「え、ああ。そうだったな。ま、頑張ってくれよ、部長さん」

 謎の忍者は零一を掴むとあっという間に消えてしまった。

「あたしだってね、告白しようと何度もしたのよ…………きょ、今日こそ必ず、告白するんだからっ」



―――――――



「あれ、留守電が入ってる………」

 満は留守電を再生したのだが、無言だった。十件とも、すべて無言だったのだ。

「…………」

 そして、自分宛てに三十通の真っ白な手紙が来ていた。

「何かのいやがらせ………かな」

 誰かに恨みを買ったようなことはあったかなと考えるが、答えは出なかった。とりあえず、気持ち悪かったので部屋に戻ってベットの上に寝転がる。


コトッ


「ん………」

 ベットの下から何か物音がしたのだ。つい、覗き込んで満は見てしまった。そこには、暗闇に光る二つの目が…………




「ぎゃああああああっ」




 まるで都市伝説のような騒ぎ声が辺り一帯に響き渡っていたと近くに住んでいたおばちゃんは語っている。


使えない能力っていうのはっ、『メラミを唱えた、しかし、MPが足りなかった』ってやつですよっ。使えない能力はひとによっちゃあ使える能力なんですっ。って、そんなことはどうでもいいですね。すみません、ちょっと熱くなりました。さて、そろそろ二百話ですね。二百話では前に言った通りのことをしますのでお楽しみに。六月十九日土曜、二十一時五分雨月。

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