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第百八十七話◆ニア編:両親の企み

第百八十七話

 俺の目の前で父親に誘拐されてしまったニア。

「いや、どう考えても俺が助けるのは不可能だな、うん」

 そして、俺はあっさりと結論を出す。だって、俺が謎の黒い組織とかにつかまって(コードネームが『焼酎』とか『吟醸酒』というアルコール関係の名前の組織)ニアが助けに来るのならわかるけど、一般市民の俺が同行できるレベルじゃないだろ。助けを請うのは俺の役目、俺を助けてくれるのはニアの役目だ。

「見損なったわ、零一君っ」

 俺は突然、殴られた。もう、その、威力なんて桁違いで一発で頭蓋骨に震度七を直接ぶつけられるようなそんな感じだ。

「いたたた………なんなんですか一体っ」

 立てた俺もすごいのだが、相手も手加減していたということなのだろう。気がついてみれば俺の隣にニアのお母さんが立っていたのだ。

「男の子だったら女の子を助けるぐらいしなさいっ。何、最近の男子はやれ男女平等だ、なんだと騒ぎたてて内また気味でなよっとした駄目男子はっ。どうせ、昼は羊でも夜にはあっさり狼になっちゃうんでしょっ」

「いや、狼男じゃないんですからなりませんよ。大体、俺みたいな潜入捜査だけが得意の男、真っ向から助けに行くなんて無理ですよ」

「だまらっしゃいっ。男だったらハッスルマッスルしないといけないのよっ。さ、これを貸してあげるから頑張って」

 俺に手渡されのは『根性第一』と書かれた鉢巻きだった。

「………あの、このご時世根性とかでなんとかなるもんじゃないと思うんですけどいかがなものでしょう」

 出来れば、『安全第一』と書かれたヘルメットのほうを渡してほしかった。

「若い時には苦労を買ってでもしないといけないの。これから、あなたはとても苦しい事に何度だってぶち当ると思うわ。だけど、その苦しみの間に休息できるよう心安らぐ場所を見つける………今の現代人にとても必要なことだわ」

 俺じゃなくて、途中から現代人に向けられていたりする………。

「あの、大体俺まだ高校生なんですけど」

「だから、苦労を多く経験していれば後にぶち当たる壁でも『これよりもっと苦労してきた』、そう思えば乗り越えられるのっ」

「はぁ、まぁ、わかりました。とりあえずニアを助けてくればいいんですね」

「そうよ、さらわれたニアを取り戻せば感動のエンディングなのよ」

 頑張ってねと俺に手を振るニアのお母さん。その表情が『よし、これでうちに息子が出来た』という顔をしているようで怖かった。

「ま、そうだよな」

 ニアがいつも俺のことを助けてくれるのならばニアを助けることが出来なくても、助けようという意思、努力はできるはずだ。

 軽々しく無理だというのは簡単だし、楽な道。だけど、ニアを助けるという道はいばらの道で、いや、いばらなんて生易しいなんてものじゃない、そう思えてきた。謎の爺さんに危ない両親………恐ろしい敵たちだ。

 しかし、よく考えてみたらニアの家に立て籠っているはずなんだからニアを助けた場合、俺の家に連れてくるのがベストなのかな………そう思ってニアの家へと向かって歩いていると遠いところで爆発があったような気がした。

「………まさかな」

 ニアのじいちゃんはとてもエキセントリックな人だった。でも、ニアは普通のいい子だ。しかし、その間の、ニアの両親は………一体、どんな人なんだろう。

 一抹の不安を胸に、俺は一歩一歩アスファルトの道を歩く。

「はい、ちょっと待った」

「ん」

 俺の目の前に腕組みをして待っていたのはニアをさらった張本人、ニアのお父さんである。

「あの、ニアを返してほしいんですけど」

「いうねぇ、人ん家の娘をたぶらかしてとんだ日本の侍だ」

 実に愉快そうに笑う。しかし、覆面から垣間見ることのできる目は笑っていなかった。

「今ここで君をすっぽんぽんにして新たな道路標識にすることはいとも簡単なことだ」

 零一、素っ裸による注意ってやつだろうか………いや、そんな標識は絶対に見たくない。

「だから、ここは純粋に力による決着をつけようじゃないか。ささ、こちらで私の両手をしっかりと握りしめたまえ」

 なんだろう、この闘気は………どっかの七つの傷の男か、尻尾の生えた先頭民族のそれと見間違うほどである。

 さすが、ニアの父と言ったところだろうか。というか、この人と純粋に力勝負して身体のほうは大丈夫なんでしょうかね。

「さぁ、きたまえっ」

「お、お手柔らかにお願いします」

「甘いな、素人がっ」

 つかんだ相手の腕からすさまじい力が俺のほうへと押し寄せてくる。腕に力を入れるとなんとかそれを拮抗することが出来た。

「え、ええっ。俺っていつの間にこんなに力強くなってたんだ」

「ふっふっふ、ロード家秘伝の液体につけたからな。そこらの車より身体は頑丈だ」

「なんだか、変な話ですね」

「だが、それをもってしても技術は私のほうが上だっ」

 嬉々として叫んでいるパパさんに伝えたい。



「これって、純粋な力比べって言いませんでしたかっ」



はい、どうもどうも。お久しぶりです、雨月ですよ。ええ、みなさんもしかしてこの小説忘れちゃっているんじゃないでしょうかね。いや、もしかしたら忘れているかもしれませんねぇ。しくしく、世知辛い世の中です、本当………まぁ、なんだかんだでもう少しで二百話ですよ。いやぁ、考えてみれば色々とありました。これから先、どんな困難が待ち受けているかわかりませんが、適当に対処して適当に続けていけたらどれだけいいでしょうか。実際、この小説にもやれメイドだ、やれツンデレな幼馴染だと登場させれば華があるんでしょうが、ねぇ。いやいや、メイドがいないとかツンデレがいないなどと否定はしません。ああ、そうそう、言い忘れていましたが………というより、前も言ったような気がしないでもありませんが、こんな話を書いたら面白いんじゃないかとか連絡していただければ意思疎通を取って一緒に話を書いていけるじゃないかなと思っています。感想、評価、メッセージに誤字脱字報告などなど、していただける方大歓迎です。特に、誤字脱字は一応確認していますが思いもよらない形で起こってしまうかもしれないので出来ましたら報告お願いいたします。それでは、もしかしたらまた次回お会いしましょう。六月九日水曜、二十二時三十三分雨月。

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