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第百八十六話◆ニア編:放課後ハプニングは仕様です。

第百八十六話

 今日も今日とて授業が終わり、部活がある人たちは自分の所属している部活へ、そうじゃない人たちは家へと帰る。放課後とはそんなものだ。しかし、満に言わせるならば違うそうで、下足箱の中に愛を綴った手紙が入っており、ハプニング満載の素晴らしい時間帯とのことである。

 まぁ、確かにそういったことがあったら嬉しいかもしれないが、実際に入っていたことが零の奴に言われても説得力がない。

「ありゃ、今日は部活の日だったっけ。零一、僕は部活に顔出してくるよ」

「ああ、そうだな」

 どうやら、あの部長さんからの手紙が入っていたようで、現実、意外と捨てたものではないかもしれない。しかし、本人が気づいていなければラブレターもラブレターではないだろうが。

「零一っ」

「おわっ、ニアかよ」

 満が去ったために一人で帰ろうと思っていたのだが、道連れ相手が増えた。ここ最近、背後から突撃されている為にすぐに誰だかわかるようになった。最初は無様に床とキッスをしていたのだが今は足でしっかりと踏みとどまっている。

「ニアと一緒に帰ろうっ」

「ああ、そうだな」

「やった、じゃあ今日も家で晩御飯を食べてけっ」

 にこにこと笑っている姿は相変わらずクールそうな外見をぶち壊すものだった。さっそうと歩くその姿は意外と笹川のライバルのようなもので、一年生から見たら結構人気が高かったりする。

「あ、そういえばな」

「どうした」

 校門を出るあたりになって急に立ち止まる。

「パパとママが零一を呼んでほしいって言っていたんだ」

「え、そうなのか」

「うん、なんだかとても悪そうなことを考えていたみたいだからやっぱり、零一今日は来ないほうがいいかもしれない」

「でも、ニアは俺と遊びたいんだろ」

 む~と唸っているところをみると葛藤しているようだった。あのニアが自分の意見を尊重しないところをみるとやはり、ニアの両親は曲者なんだろうな。

「遊びたいけど、パパとママはたまに恐ろしいことを考えるからなぁ」

「じゃあ、俺のアパートに来るか」

「お、そうかぁ。その手があったかぁ」

 ぽんと手を叩いてうなずいている。それほど俺と遊びたかったのだろうかと考えるが、まぁ、ニアって女子高生なのに修行とか忍者っぽい動きとかするからなぁ。

「じゃ、すぐ行こうっ」

「ああ」

 俺の手をとって走り始める。まぁ、悪い気はしないのでついつい、ほほえましい気持ちになってしまう。



 しかし、俺は相手があのニアの両親だということを忘れていたのかもしれない。いや、甘く見ていたのだろう。



「あれ、アパートのカギが開いてる」

「ん」

 あっさりとあいてしまった扉を凝視しながら、俺は首をかしげる。

「おっかしいなぁ、朝行くときはちゃんと鍵をかけたって思ったんだけどな」

「零一、もしかしてこれは罠かもしれない」

「罠ってなんだよ」

「パパとママが仕掛けた罠だ」

 そんな馬鹿なと思いつつ、俺は相手がニアの両親だということを思い出した。

「開けたら部屋が吹っ飛ぶとかそういったものか」

「いや、そんな生易しいものじゃないと思う」

「生易しくないってどれだけお前の両親は厳しいんだよ」

 扉を開け、俺は中を確認しようとして………



べちゃっ



「うぷっ………生臭っ」

 俺の顔に張り付いたもの、それは生肉だった。見たところ豚肉のようだが………

「確かに、生易しくはないな、生臭いけど………って、あれ、ニア………」

 振り向くがそこにはニアの姿はなかった。どこに行ったのだろうかと周りを見渡すと電柱の上に人影が………

「やぁ、久しぶりだね零一君」

「ニアのお父さんじゃないですか」

 何故、電柱の上でニアを肩に担いでいるのだろう。何故、忍者のような服装をしているのだろう………など、そういった疑問はすべて消え去った。

「私からの歓迎、受け取ってもらえたかな」

「えっと、この生肉ですか」

「うむ、焼いて食べるといいだろう。しかし、その前に私の手からニアを奪って見せよ。我が家にて待たせてもらうぞ」

 そういって、ニアのパパは消えたのだった。

「何がしたかったんだろう」

 生肉を眺めつつ、俺は首をかしげるしかできなかった。


色々なキャラクターと零一が繰り広げるいまいちな物語。それがこの小説です。ちょっと桃色なハプニングも書きたいものですがあいにく、零一にはそんな暇がなかったりするのがさみしいところ。さて、今回のあとがきでは小説を書いている皆様と勝手ながら応援させていただきます。『負けるな』。はい、応援完了です。しっかし、このサイトの作者ページもかなり親切なんですけど、敢えてさらに機能をつけてもらうとしたら読者の男女判定機能ですかねぇ。いや、確かに男性しか読んでいなさそうなのがこの作品なのでしょうが、どういったものを女性は読むのかさっぱりわかりませんね。意外とその機能が実装された場合に『男、女、おねえ、おなべ』と四種類ほどになっているかもしれませんね。いや、『ネカマ』かもしれませんけど。六月四日金曜、十九時五十四分雨月。

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