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第百八十三話◆佳奈編:頼れる家族

第百八十三話

 自分が一人暮らしをしている理由がある日、わからなくなった。

 何故、俺は一人暮らしをしているのだろうと真剣に考え始めたのは二学期も始まり、九月も半ばごろとなった残暑見舞いでももらいたい日だ。まぁ、考え始めて二週間ぐらいってところか。

 なんでそんなことを考え出したか、それも仕方のないことだ。

「ただいま」

「お帰り、零一」

 なぜか、俺のアパートに帰りつくと一人暮らしのはずなのに返事をしてくれるのだ。02はいろいろと用事があるとかで俺のケータイはただのケータイとなっている。

 返事をしたのは佳奈だ。夏休み終わりから何かにつけて俺の部屋へとやってきており、すでに、気がついてみればここに滞在している状態だ。

「今日は遅かったじゃない。どうかしたの」

「え、ああ、ちょっと満と遊んでたんだよ」

「へぇ、どんなことして遊んだのよ」

 やけにエプロン姿がお似合いなのはなんでだろうと考えながら、見ているのがばれないようにさっさと視線をそらす。

「どんな事って………そうだなぁ、ただしゃべってただけだな」

「ふーん、そうなんだ」

「ああ、そうだ」

 その後の会話は続かない。俺のことをずっと佳奈が見ているだけだ。だから、俺は無理やりにでも会話のネタというものを探す。

「か、佳奈ぁ」

「何よ」

 いつものように返事は『何よ』。昔はなんだかとげのある返事だったのだが、今はやさしい気持ちがあふれんばかりである。ここまで曖昧にして一緒に生活をしてきたがそろそろころ合いだろう。

「お前に何か悪い事でもしたか」

「え、なんでよ」

「なんでって、妙にやさしくてなんだか怖いぞ」

「わ、私たち家族だよね」

 俺の胸倉をしっかりとつかんでこっちを見据えてくる。胸倉つかんで訴えるなんて相当大変なことがあったのだろう。

「あ、ああ。そうだな。俺たちはまぁ、家族だよな。佳奈、何があったんだ」

「あのね、お母さんたちとけんかしちゃって、家出してきたの」

「え、家出ってお前………」

 けんかすることなんてあるんだ。どんなことでけんかになったのだろうか。



―――――――



「佳奈、いい加減掃除しないとお母さん怒るわよ」

「ええっ、この前零一がいったん帰ってきて掃除してくれたよっ」

「見なさい、この散らかりようをっ」

「き、きれいだもんっ。まだこれはきれいなほうなのっ」

「駄目っ。掃除できないんなら零一君のところに行きなさい」

「わかったよーだっ。お母さんなんて大嫌いっ」



――――――――


 きっと、こんなことがあったんだろうな。

「掃除か」

「…あれ、私話したっけ」

「帰れ、今すぐに鈴音さんと達郎さんに謝ってこい。道理だな、なんで俺の部屋にいついて二週間、一切の文句も言わないのかこれでようやくわかったわっ」

「ちゃちゃちゃ、ちゃんと謝るのは約束するけど、まだ勇気が出ないのっ。ちゃんと勇気がでたら出て行くから。ね、お願い」

「そうかぁ、それなら俺がすぐに勇気の出る方法を授けよう」

「え、え、どうするの」

「顔をな、顔を変えれば元気は出るんだよ」

「………」

 元気百倍、アンパ○○○ってやつですよ。

「………信じた私が馬鹿だった」

「嘘だよ、嘘。俺が一緒に謝りにいってやるからそれで機嫌を直せよ」

「嫌だ、からかった償いとして私ここに居座るから」

 死刑宣告をされたようで俺の毎週掃除回数が二ケタに増えそうである。あ、いや、平日はこいつも学校に行っているから大丈夫かな。

「佳奈、彼氏でも作ってそいつの部屋に転がり込めよ」

「か、彼氏なんて必要ないもん。もうここに転がり込んでるから」

「ああ、なるほど」

 そううなずく俺を見て佳奈はため息をついていた。

「零一って嫌い。鈍いから」

「がっ、に、鈍いだとっ。お前、今の言葉には明らかな悪意が込められていたぞっ」

 つんとしてそっぽを向いた佳奈の機嫌を良くするために俺は無駄に精神を疲れさせてしまった。


熱中症にかかったんじゃないかとここ最近、思ってます、雨月です。あ~、もう、何だか最近いろいろと面倒だなぁと感じた結果、悪い奴になってしまいました。悪い子が絶対に通る道、誓約をここでします。宣誓、トイレに行ったあとは手を洗わないと誓います。よし、これで今日から悪い子にはれてなれました。よし、今回はこれで終わりっ。五月三十日日曜、二十一時二分雨月(悪)。

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