第百七十話◆佳奈編:零一依存症…
第百七十話
雨乃佳奈は悩んでいた。別に、今日の晩御飯に彼女が嫌いなニンジンがあるからではない。
「む~」
「どうしたの、佳奈」
彼女の母親である雨乃鈴音は夕食の準備をしながら尋ねるのであった。珍しく今日は早く帰ってきているのだが、普段は佳奈一人で食事をしていることが多い。以前は彼女の親戚と一緒に夕食をとることが多かったのだが今ではそれもかなわない。
「な、なんでもない」
「嘘言いなさい。『どうして、お父さんとお母さんは私をいつもからかうの』って思っているんでしょ」
「え、なんでわかるのっ」
「だって、貴女の母だから仕方ないわ」
そういって笑っていた。勝てない、今日もまた、佳奈は思うのであった。
「じゃあ、零一君を呼んできてちょうだい」
「うん、わかった」
佳奈は彼女の親戚で居候の雨乃零一の部屋へと足を向け、扉をあけるがそこは空室であった。
「ああっ、もう、からかわないでよ」
怒りながら戻ってくる娘をほほえましそうに眺め、鈴音はつぶやくのだった。
「零一君依存症ね」
「そ、そんなのじゃないわよ」
「さみしいって素直に伝えたら帰ってきてくれるかもしれないわよ」
ニンジンを痛めながら鈴音はそういう。
「そ、そうかなぁ」
自信なさげな娘を見て鈴音はため息をつくのであった。
「それなら、探りを入れてみるといいわ」
「探りってどうすればいいの」
「簡単よ。零一君のお友達にそれとなく尋ねてほしいってお願いするの」
「なるほど、私、やってみる」
―――――――
「へっくそん」
「へっくそんってまた、個性的なくしゃみだね」
「うるせぇな、満。それならお前はどんなくしゃみをするんだよ」
人のくしゃみに関してまでいちいち突っ込んでくる満にお返ししてやった。
「そりゃ、ゴッドブレス、ゴッドブレスってくしゃみをするのさ」
「まぁ、なんでもいいけど」
男二人で朝の登校。お互い、彼女なんていないからなぁ。さみしい限りである。
「安心しなよ、零一」
「なんだよ」
「世界を敵に回してしまったとしても僕は君の友達さ。だから、その時は一緒に投降しよう」
「くっだらねぇ冗談言ってないでよぉ」
さっさと学校に行こうぜ、そう言おうとしたら背中を叩かれた。
「お、おはよう」
「佳奈じゃねぇか。おはよう」
「佳奈つーんっ、おはようっ」
なんだかやけに俺をじろじろと見ている。はてさて、どうしたのだろうか。
「佳奈、俺の顔に何かついてるのか」
「え、な、なんで」
「いや、なんだかさっきからじろじろ見てるからさ」
「き、気のせいよ。自意識過剰なんじゃないの。そんなことより、早く行かないと遅れるわよっ」
俺の手を引いて走り始める。当然、満も付いてくる。
その後、下駄箱まで到着するとここでお別れとなる。
「ま、またね」
「ああ」
今日の佳奈はおかしかったな。どうかしたのだろうか。
――――――
「あ、あのね、吉田君」
「ん、何、佳奈つん」
「放課後、ちょっとお願いしたいことがあるんだ」
「任せて、僕は女子の言うことはきちんと聞く男だから」
「ありがと」
―――――――
放課後、校門を出ようとしたら満がこっちに走ってきていた。しかも、すごい形相だ。
「零一ぃぃぃぃっ」
い、一体ぜんたいどうしたというのだろうか。
図書館で英語の本を借りました。市民図書館だったり、大学の図書館の中には一般の人でも借りたりできます。さて、実際に読んでみると薄い割には時間がかかります。真ん中辺りで読むのをやめ、小説を書く事にしました。読み直して首を傾げる結果になり、残念です。計画通りにはなかなかいきませんね。しかし、続いてしまったのでやるしかありませんね。満、本当は登場しないはずなのに…五月十七日月曜、八時三十五分雨月。