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第百六十三話◆ニア編:強化人間零一への序章

第百六十三話

「今日はな、ままとぱぱが久しぶりに帰ってくるんだぞ」

 嬉しそうにそういう。うん、そういえばニアの両親にはあったことがなかったな。と、いうか一年間ニアの家に行ったり来たりしていたわけなのだが一度も影すら見たことないのだからただものではないな。

「帰ってきた二人に零一のことを紹介するんだ」

 嬉しそうにそういうニアだったが、俺はニアのご両親がどんな人なのか想像することだけで頭がいっぱいだった。



―――――――



 夕食ができるまで二人で将棋などをして遊んでいるとニアの部屋の扉が軽く叩かれた。

「ニア~、今帰ったぞ~」

「あ、ぱぱだっ」

 そういって扉をあける。

「あ、ああ………えぇ………」

 扉の先には忍者の服を着た一人のおじさんが立っていた。覆面からは目しか見えていないため、どんな顔をしているのかはわからない。

「ぱぱ、お帰りっ。お仕事お疲れ様」

「はっはっは、ニアも元気そうで何よりだ」

 一見するとアットホームな雰囲気なのだがどう見ても異常だ。忍者服で帰ってくるなんてあんたはいったい何者なんだ。

 そんなことを口にできるわけでもなく、俺は親子水入らずの光景を見ているだけだった。

「ぱぱ、実は紹介したい友達がいるんだ」

「む、不埒な輩ならぱぱが少し大人の世界というのをわからせてやらないといけないな………」

 俺のほうへと鋭い視線が飛んでくる。内心冷や汗をかきながら視線を受け止めて挨拶をすることにした。

「は、はじめまして………雨乃零一っていいます」

「零一……聞いたことのある名前だな」

「パパ、例の子よ」

 唐突に俺の後ろからそんな声が聞こえてきた。

「うわ……」

 天井裏に一人の女性が張り付いていた。こちらは姿はいたって普通の主婦のようだったがさかさまになっている時点で普通とは思えない。

「はじめまして、ニアの母親のマリー・D・ロードです」

「あ、えっと、雨乃零一です」

「父親のビリー・D・ロードだ。こう見えてメッセンジャーをやっている」

 忍者じゃないんだぁっ………と、一応心の中で叫ぶことにしておいた。

「そういえば、親父はどこだ」

「わしならここじゃ」

 ニアの箪笥が右にずれ、そこから爺さんが現れた。ふっ、もう俺は驚かないぜ。

「じゃあ晩御飯にしましょうか」

「うん、さ、いくぞ零一」

「ああ……いや、抱えなくても自分の足で動けるぞ」

「逃げるかもしれないだろ」

 逃げるかもしれないような食卓へと俺は連れて行かれるのだろうか。雨乃零一In最後の晩餐って感じだな。

 飯の間はいたって普通に時間が過ぎた。ニアぱぱが一瞬のうちにご飯を食べ終わった、ニアままがそれに俺が驚いている間に食べ終わったりしたわけだが、爺さんとニアはいたって普通にがつがつと食っていたりする。俺よりも食べ終わるのが遅かったのは何度も何度もおかわりをしていたからだろう。

「ごちそうさまでした」

「うむ、零一君も食事を終えたか。さぁ、こっちにきてくれたまえ」

 まるで猫のように首根っこを掴まれるとニアぱぱ、ニアままに連行されてしまった。そして、どこからどう見てもコンクリで四方を固められた部屋へと入れられ、座らされた。

「ニアをいたって普通の女の子にしたい。君はどう思う、零一君」

「は、どういう意味ですか」

 まったく意味がわからなかった。

「うちの父がニアを次期党首にしようなどと考えているようだが私たち二人の意見は違う」

「ニアには普通の道をすすんでもらいたいの。零一君、協力してくれるわよね」

「は、はぁ、いいですけど」

 安直にうなずいたのが間違いだったのかもしれない。ニアの両親はどこからかつぼを取り出すと俺を中に入れ、謎の液体を注ぎ込んできたのだ。

「う、うぇっ、な、何なんですかこれはっ」

「今日は一晩じっくり寝かせてあげるわ」

 ど、どういう意味だっ。俺はカレーか何かかっ。そんな突っ込みを心の中でしたのちに出ようとしたのだが考えが甘かった。相手はあのニアの両親だ。



――――――――



「んあ」

 朝、起きると隣にニアが寝ていた。ただ、それだけ。なんだか、悪夢を見たような気が………。



 俺の身体に異変が起こったのはまだまだ先のことだった。


今回でニア編実は終わりですよ。消化不良かもしれませんがそれは次回のニア編でいろいろとわかってきます。零一がつけられた液体は一体全体何なのか、これから零一がどうなってしまうのかは想像してください。まだ、情報は一切出ていないはずですから。さて、頭の中では剣編が妄想として始まっています。うぅん、書いていてバトルが交じってくるのは絶対に回避したい展開ですからねぇ。いろいろと暗い要素を取り入れてしまうとがっかりすると思いますのでゆるーい話でまとめていこうと思います。では、感想を書きたくなったよとか評価をしてあげてもいいかなと思えた、メッセージを投函したくなった時はお手元の携帯電話ディスプレイに表示されるであろう説明を読んでそれぞれの行動を起こしてください。それでは、また次回お会いしましょう。ああ、この胸にぽっかり空いた謎の穴の正体は何なのだろうか………五月十日月曜、七時四十七分雨月。

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