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第百四十話◆竜斗編:目論む者達

第百四十話

 野々村グループ宗家では重鎮が集められて会議が行われていた。畳に座布団が敷かれ、その上に中年以上の男たちが座っている。中には『妻の代わり』と書かれた札を胸にしている人たちもいる。

「……ふむ、相変わらず東とのつながりは薄いままか……」

「ええ、そうです。野々村家、東家の婚前の儀式は失敗に終わり、これで事実上、水面下でも繋がりがなくなったといっていいでしょう」

 男たちの中でも比較的若い男が書類を見ながらそんな事を言った。他の重鎮達も頭を垂れてため息をつく。

「まぁ、その件については色々と東ともめていたし、駄目になったことに関して問題はない」

「そうだ、これからどうすればいいかを考えればいいだけなのだからな」

「では、何かいい案があるということなのでしょうか」

「………」

 若い男が年上の男に尋ねるも、黙り込む。そんな最中、また別の男が喋り始める。

「……確信的なことではなく、単なる噂なのだが羽津高校に東の直系の血を引く男子生徒がいるそうだ」

「ふむ、その程度なら誰でも知っておるだろう」

 全員が頷いていた。

「ピンポイントでそれが誰なのかわからなければ全く意味が無い……どうせ、知っていたところでこのメンバーに教えようと考える奴は皆無じゃろう」

 そういわれると男たちは静かになった。誰もが皆、東との連携を考慮し、この野々村を手に入れようと考えていたのだ。野々村グループでは実力さえあれば分家だろうと本家だろうと関係はない。

「では、手っ取り早くこうしましょう。その男子生徒を見つけたものが野々村を継ぐ権利があるということです」

「何を馬鹿な。もし、噂が本当だったとしても野々村にとってプラスになるとは限らないのだぞっ」

「だから、先ほども言ったとおりあくまで権利を手に入れるだけです。その生徒を先に見つけた後からちょっかいをかけられたら面倒ですからね。勿論、この案が通らなかったら全員でゆっくりと時間をかけて探すことになるでしょうけど」

 重鎮を馬鹿にしたような感じで男は周りを見渡す。中には『くそ、妻が此処にいれば黙らせていたものを……』と言う者までいる始末だった。

「他に案が無いのならこれで行くぞ。期限はこれから二年か。去年から言われいた噂だから卒業するまでに見つけなければ意味が無いぞ」

 一番えら~い人がそういうと、皆が黙って頷いた。ただ、一人だけ床に向けた顔が笑っている人物がいたりする。



――――――――



「竜斗、こっちにこい」

「煩いな、糞親父。おれに何か用なの」

 野々村竜斗はベッドから降りる事無く、首を動かす事無く本から顔を上げなかった。

「ああ、そうだ。お前が嫌だ嫌だといっていたこの野々村から出て行くチャンスを与えてやろう。一回きりだ」

「……それってウソじゃないよね」

 首を動かし、父親の顔を見る。

「俺がウソを言ったことがあるか」

「今、言ったよね」

「……まぁ、そう睨むな。ともかく、お前が通っている高校にいる東家のガキを見つけろ。俺のところに連れてくれば許婚と結婚するのは防いでやるよ」

「……なんでさ。あれだけ結婚させるのに命賭けていた様な馬鹿な面をしていた癖して」

「気が変わった。婚前の儀式、お前も来ていただろ」

「うん、めちゃくちゃにしていった人がいたよね。おれもそうやって助けてくれる人がいたらなぁ……」

「あれをみて、俺も好きなようにさせてもらおうと思ってな。たった一人の娘だ。女と結婚させるのは流石に酷かも知れないと結論づいた」

「あのさ、女と女じゃ結婚できないんだよっ」

「ああ、それを承知でやるつもりだった。お前が駄目ならお前は男として結婚だからな」

「………わかったよ、その東の人を連れてくればいいんだよね」

「そうだ。それと、今度の春から一人暮らしだ」

「……最初から一人暮らしにしてくれればいいのに」

 父親がいなくなると野々村竜斗は立ち上がり、イライラしたような顔をして机に蹴りを入れるのだった。勿論、痛さを感じているのは竜斗のほうである。またそれが竜斗の怒りに火をつけるのだった。


さて、完璧に言い忘れていたことがありました。この長い長い竜斗編が終わった以降の~編は全部独立したような話になっていたりします。どんな進み方をするのかは未定ですが過度な期待はしないようにお願いします。ま、どうせ過度な期待なんて誰もしてくれないでしょうけど……うう、一度でいいから過度な期待を寄せられるような小説を書いてみたいものです。話は変わりますが雨月の小説は誤字ばっかりあります。もう、作者が泣きたいぐらい誤字だらけ……誤字のない小説はないといっていいと思います。それに、内容もがっかりするようなものが……自分が満足な小説ぐらい、書いてみたいものですねぇ。四月二十三日金曜十七時十二分雨月。

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