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第百三十七話◆竜斗編:気になるあいつに探りを入れろ

第百三十七話

「失礼しま~……零一、もてないからっていきなり抱きついちゃ駄目だよ」

「み、満っ。助けてくれっ……こいつがいきなり抱きついてきたんだっ」

 俺は扉を開けて入ってきた友人に訴える。全身に怖気が走らない自分はおかしくなってしまったのだろうか……

 満は俺の話など聞いていないかのように一つため息をついて喋り始めた。

「竜斗に抱きついたら大変だよ。竜斗はね、野々村グループってところの子だからねぇ……もしかしたら行方不明になっちゃうかもしれないよ」

「満くん、ありがとう。もう帰っていいよ」

「はいはい……零一、さっさと逃げないと本当にやばいよ」

 それだけ言って去っていった。あいつは何をするために来たのだろう。

「満くんには見せ付けるために呼んだんだ」

 あ、ああ、そうですかぁ……って、いつまで頬擦りしとるんじゃああっ。

「い、いい加減に離れろよっ」

 相手の胸の辺りを軽く押しやる。そんなに強く押したりはしていないのだが、なんだかショックを受けたような顔をしている。まぁ、とりあえずよかったぁ……

「……いきなり胸を触るなんて零一君のえ・っ・ち」

「………」

 体中に何か、恐ろしいものが駆け巡っていった。な、何だ、この悪寒は……大体、こいつ……さっき抱きしめられたり頬擦りしたり、押しやったりしたのだがやわらかかったし…こいつ、こいつもしかして……

「お前、もしかして……女……なのか」

「あ・た・り」

「……」

 俺は急いで回れ右をして生徒会室を後にする。廊下のところに近くに置いてあった段ボール箱を積み重ねていく…茶色が四つ重なったからといって消えてしまっては困るが、現実世界ではそんなことありえない。

 廊下を疾駆し、一年G組まで戻ってくるともう、五時間目の準備を皆がしていた。

「一先輩、汗をかいているようですけど……何かあったのですか」

「い、いや……何も無かった」

 まさか、男装した女子に襲われるとはいえなかった。妄想ですよといわれて終わりだ。それからきっと剣と澤田は俺のことを『妄想少年』とか言い出すに違いない。うう、そんなことになったら留年しているし、転校したくなってくる。

「すごく、疲れているようですけど」

「……澤田、この世界にはまだまだ俺の知らない世界があるって今日学習したわ。もしかしたら明日から俺学校来ないかもしれない」

「……そんな大袈裟な……一体、何があったんですか」

「やっぱり、忘れてくれ。なんでもない、なんでもないから……」

 名前は覚えた。野々村竜斗。野々村グループだといっていたし……ともかく、調べてみるのも悪くないかもしれない。



――――――――



 野々村竜斗、二年C組。ぜんぜん知らなかったのだがバレンタインデーでは学内トップの記録をほこるほど女子にモテているらしい。そのため、男の中にはアンチ竜斗の数が多いというのは彼女が男として見られている証拠であり、女子としてはばれていないということだ。何故、そのようなことをしているのかは定かではないのだが……これから徐々に情報集めをしていくしかないだろう。

 俺は放課後、屋上にいつもいる番長グループに会いに行っていた。

「おぉ、雨乃ぉ。皆、雨乃が来たぞぉ」

「「「ひさしぶりじゃのうっ」」」

 喋り口調、最初はいたって普通だったはずだと俺は記憶しているのだが……人間ってやっぱり変化していく生き物なのだなぁと実感する。

「で、今日はどうした。また変な連中に拉致されたりしたのか。友達を助けるのが友達じゃきに助けてやるぞ」

「いや、そういうことじゃないんだ。あれから拉致とかそういった物騒な単語は出てないからな」

 剣と一緒に帰っていれば確かに色々とハプニングが目白押しなのだがそこまでひどいことにはなっていなかったりする。主にあるのは緊迫した内輪もめ一歩手前の現象。笹川とにらみ合う、朱莉とにらみ合うなどなど……

「確かあんた、二年C組だっただろ。野々村竜斗ってやつについて聞きに来たんだ」

「野々村竜斗……」

 なんだかげっそりとした顔をする。どうかしたのだろうか。

「あいつはのう、男の風上にも置けん奴じゃきぃ、お前が気にするものでもない」

「いや、まぁ、一見するとそうかもな」

 男として捉えているのなら時折見せる女性らしさがおかまっぽさを助長している節があるからなぁ。

「まぁ、いいじゃろう。で、どういったことを聞きたいんじゃ」

「どんな人間なのかでいい」

「あいつは体育にも出らん奴、それに女子とばっかり話す骨なしじゃ」

 それから始まって番長のような男とは何かを一生懸命聞かされた。

「その点では笹川栞の兄貴である笹川真先輩はすばらしい先輩じゃあ」

 うんうんと頷いている。一体全体、あの先輩のいいところって何処なのだろうか……話が長いところか。最近、会わないから顔もどんな感じの人なのか思い出せない。

「一見すると飄々とした感じ、じゃが、本気のときの表情はまさしく漢じゃあ」

 男が惚れる漢じゃあと締めくくった。

 俺は野々村竜斗の話を聞きたかったのだがノートの半分以降は真先輩についての事柄で占められてしまった。


自分の小説を客観的に見ることが出来たらそれは実に素晴らしいことなのでしょう。……この小説は『文章、内容共に中の下だが、毎日更新するので暇潰しにはちょうどいい作品』自分で自分の小説にレビューしてやりましたよ。ちょっと寂しいですが、ここら辺が妥当でしょうからね。さて、登場人物がまた増えてしまいました。彼女の目的そろそろ、本番に入りたいと思います。四月二十一日水曜、八時三十七分雨月。

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