第百十八話◆剣編:選択肢の無い選択肢
第百十八話
嫌だと断る勇気を持ち合わせていない俺は結局、頷くしかなかったということだ。
「そうだな。一緒に走るか」
「宜しくお願いしますね」
「こちらこそだな」
言ってしまったものは仕方が無い。約束を破らないように努力しておかないとな……。約束を破ったらどうなるか……想像するだけで恐ろしい。
――――――
「剣ちゃんと一緒に走ってきたんでしょ」
「ああ、走ってきたよ」
俺は部屋に戻ろうとしたところを佳奈に止められていた。
「寝ちゃったら走ってきた意味がないんじゃないの」
「……それもそうだな」
――――――
午後、チャイムが鳴ったので外に出ると其処には吉田剣が立っていた。
「雨乃零一先輩、今暇ですか」
「え、ああ」
そういって後悔。剣の手には二本の木刀が握り締められており……彼女は満面の笑みだった。
「それなら一緒に木刀を振りましょう」
「……そうだね、そうしようか」
隙を突いて逃げることが可能かどうか考えてみたのだがどうも駄目らしい。佳奈か誰かに助けを求めたかったのだが佳奈は部活に行ってしまったために不在である。結局、家の庭で上から下に振り下ろすという作業を何度も何度も何度も何度も繰り返して……休憩をはさみ、再び何度も何度も……とりあえず木刀を振った、振ったさ、ああ、振ってやったのさ。
「……目の前が霞むぜ」
「霧が出ているわけでもないですからきっと、疲れでしょう。少し休憩しますか」
「あ、ああ…そうしてくれ。これ以上ぶっ続けでやられると脱水症状で病院に行っちまいそうだ」
とりあえず家の中に退散してお茶を飲む。勿論、剣も家に上げてお茶を出した。
「……剣ちゃんはいつもこんなことしてるのか」
「ちゃん付けはやめてください……先ほどの質問に答えますがいつもこういったことをしていますよ」
「そうなのか……凄いな」
「いえ、慣れればそうすごいものでもありませんよ」
いたって真顔というか真面目な表情でそういわれる。まぁ、俺にとって普通のことでも他人にとってはすごいなと言うことが俺の中でもあるのかもしれない。
「じゃ、そろそろ休憩も終わりにしましょうか」
「……そうだな……また頑張るか」
その後、練習が終わった瞬間に俺は木刀を落として腕が痙攣していたりする。
「よくあることですよ」
「……」
本当なのだろうか。まぁ、剣がウソをつくような子でもあるまい。
その時はまだ、俺と剣は友達でもなんでもなく……ちょっとした知り合いだったのかもしれない。まぁ、事件なんて巻き込まれた後に気がつくものさ。
今、二つぐらい頭の中で新しい小説を考えていたりします。一つは以前も冗談でいった『龍と書いてドラゴンと呼ぶ』のシリーズ、そしてもう一つが『ハッピーエンドは其処ですか? ~気になるあの娘の旗を立てろ~』という二つだったりします。四月になったし、新しい年度だし、いっそのこと新しい小説を書いちゃうかぁと思ったのですが二つ同時に進行だなんてきついこと極まりない。どちらか一方に力を入れすぎてへまをやらかすこと間違い無しですね。前者は短編でまとめて、後者はこの小説が終わって……ちょっと待ていっ、この小説はいつ終わるんだっ。ハッピーエンドなんて一回も到達してないので終わるなんて無茶極まりない。あ~でもない、こ~でもないと悩んでいるわけではありませんがタイトルを考えるのは楽しいのですよ。『蒼の妄想』とかは『ある日、絵のうまい友人に妄想内で一緒に遊んだ少女の絵を描いてもらう。すると、次の日にその少女が転校してくるのだった』なんてあらすじだったりします。あとは『三十代後半から始める勇者の話』なんてものも考えていたりします。異世界に召喚されるのが若者だけではないという話ですね。いつか、書いてみたいものです。あとは『獄潰し』の新作ですかね。自論しか展開しないというかって気ままな話です。最後に『アクアリウム・クリスタル』という話も考えていました。どれもこれも、コメディーでしか投稿しませんけどね。あと、今思いついた話なのですが『ストーカーはヤンデレなのか』という話もやってみたいなぁと思います。いや、『ストーカーはヤンデレではありません、犯罪者です』のほうが面白いかもしれませんね……ん、そういえば以前、『隠オタ ~隠れオタクの鎮魂歌~』って小説を友人見ていて思いつきましたねぇ。いやぁ、懐かしい。っと、その前にこの小説のハッピーエンドをとりあえず考えなくては……あ、ちなみに今回の投稿は感想を頂いたからですね。おっと、最後に『嘘月』って小説を考えていたこともありました。では、また次回。四月七日水曜、二十二時十六分雨月。