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第百十四話◆剣編:忍びよる影

第百十四話

 十二月半ば、調査の結果様々なことがわかった。様々なこととは何か……とまぁ、ちょっとひっぱっておいたが、満足いくほどとはまだ言えない。近づいてきている期末テストについての対策はちょっとばかりお休みしているために結果が怖いものだが……それより気になるので仕方ない。

 吉田満については大体知っているので無理してこれ以上何かを知る必要はないだろう。あいつの秘密は女が憑いているということぐらいだ。家には犬がおり、キャンキャン煩い。そして、今回の目標となっていた吉田満の妹……についてだ。

 まず、名前が驚いた。吉田剣……つるぎ、と読むそうで親しい女のお友達からは『けんちゃん』と呼ばれているそうである。短い髪のようだが後ろのほうで髪を縛っており、背は低くて鼻にバンソーコー、八重歯である。性格はいたって真面目でそれに輪をかけて正義感に燃えているそうである。子犬をいじめる小学生達を成敗し、悪は絶対許さないというどこかの熱血である。我流の剣術を身に着けているのかは知らないが名前の通りその腕はかなりのものだった。まだ、中学三年生のくせに高校生相手に対等に渡り合う姿を俺はその目に焼き付けている。

「あ、雨乃零一……あの娘……笹川より強いかもな……ぐはっ」

 屋上にいた番長っぽいやつもやられたのである。

 まぁ、性格は真面目ということで成績のほうも優秀で皆勤賞らしい。登校、下校時の挨拶は欠かす事無くきちんとしているために大人受けはいいようだが同世代からの大部分からはあまり好かれていないというのが俺の調査報告である。

 これは完全に余談となるのだがだらしのない人間が嫌いなようでお節介を焼く癖があるらしい。よって、彼女に睨まれたものは筋金入りの根性曲がりなど以外はいい人になってしまうという噂がある。その割には満がいい人ではないというのが引っかかるが何故なのだろうか。

 ともかく、俺から言わせてもらえばあったら面倒になるだろう。何故なら稀に、完璧に気配を隠して尾行しているときも辺りを警戒するような仕草を見せるのである。一度も見つかっていないので相手は相手で気のせいだということにしているようだが最近はその頻度が上がった。



―――――――



「零一、最近誰かが妹をストーカーしているようなんだ」

「え……」

 女にストーカーされているくせに妹のことを心配している場合でもないだろう……とは流石に言えずに一応、驚いたように見せる。

「おいおい、お前の妹さんはとりあえず暴力的なんだろ」

「見た目は可愛いと思うんだ」

「……兄馬鹿だな」

 俺から言わせてもらえば単なる小娘である。

「何か言ったかな」

「いいや、何も。とりあえず、妹さんには気をつけておくように……」

「違うんだ」

 満がやけに必死にそういった。こんな必死そうな顔の満は土下座して告白したとき以降は見ていなかったような、見てたような……どうでもいいことだな。

「僕が心配しているのはストーカーさんのほうだ」

「……はぁ、どういう意味だよ」

「……最近、妹が誰かからスタンガンを手に入れたようなんだ。偶然、妹の部屋に入ったときに転がっていたんだよ」

「ぼ、防犯のためだろ。仕方ねぇよ」

「……それならいいんだけど……あのスタンガンの電圧……人間が喰らって大丈夫なのかな」

「意識が飛ぶ程度だろ」

「……もう、喰らったら二度と戻ってこないかもね」

 命の危険が迫った今、俺は残念だが期末テストが終わった後は絶対に吉田剣を追跡しないと心に誓った。暴力に屈するのは嫌だが仕方がない。


心優しく、まるで人間の鏡のような零一。そんな彼に悪魔のような少女が襲い掛かる…その少女の名前は吉田剣、零一に向けられた刺客だったのだ…。激突し、零一は敗北してしまう。『この人は人間再生工場でリサイクルします』捕らえられてしまった零一…彼の運命やいかに…。さて、雨月です。これからマイチャリを整備してきます。そういう理由で今日もまたあとがきはお休みです。心苦しいですが仕方ないです。あ、前回も言いましたが剣はメインで登場予定です。つまり、佳奈、栞、ニア、アカ〜リの登場回数が減っちまうわけなのですよ。四月四日日曜、七時四十八分雨月。

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