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第百三話◆ニア編:アイデア

第百三話

 つれてこられた理由がわからないまま、棺おけを運んでいた霊柩車を追跡する。あれを追いかけてはいるのだが……あっているのだろうか。

「あの車だ」

「何でわかるんだよ」

「タイヤ痕が一致している」

「……」

 もう、驚かないさ。そう、たとえあの中身が失敗だったとしても俺たちはまだ焼かれたくないと思っている中の人に呼ばれたって思えばいいんだから。

 霊柩車は工場内へと姿を消した。工場内へと霊柩車が入るなんて絶対におかしい。門の前でどうしたものかと腕組みをしているとニアが俺の手を掴む。

「零一、行こう」

「え、俺もかよ」

「当然だ」

 ニアは素早く俺を小脇に抱えるとそのまま工場内へと侵入する。見張りなどはおらず、あっさりとキャットウォークまでたどり着いた。

 其処から一階を見下ろすと先ほどの車から棺おけが運び出されている途中だった。そこにはまた別の車があり、『タゥラァキー運輸』とかかれている。

「別の場所に運び出すつもりだな」

「……そうはさせるか。あれはじーじの夢が詰まったものだ」

 言うが早いか、忍者刀を引き抜いて襲い掛かる。あっという間のうちに工場内にいた連中が全員倒れ込んだ。

「安心しろ、みねうちだ」

「……本当かよ……あ、血が出てるやつがいるぞ」

「手加減はしたから無視するぞ」

 倒れこんだ人間など無視して俺とニアはゼロツーボディが収まっていると思われる車へと近づく。

「なるほど、これがニア・D・ロードの実力か……」

 声がした方向へと二人して顔を向ける。其処には覆面をした一人の男が立っていた。ニアは何も言わずに相手に襲い掛かったが一撃は別の人影に阻まれる。

「あれは……」

「ゼロツーボディ……なんで」

 ニアの一撃を阻んだ白衣を纏った女性……それは以前見たことのあるゼロツーそのものであった。機械的な天使の翼が生えており、翼のおかげかはわからないが宙に浮いていた。

 ニアはゼロツーボディからすばやく離れ、棒手裏剣を相手に打ち込む。正確に関節を狙っていたはずなのだが、あっさりと空中でそれらは停止し、アスファルトの床に叩きつけられた。

「あれが高エネルギーシールドか」

「ちっ、すでにシステムの全てが作動しているのか……」

「ふふふすばらしいな、このゼロツーとやらは」

 ゼロツーボディーの脇にたたずむ男は狂ったように笑っている。

「笑っていられるのも其処までだ」

 ニアは言うが早いか男のほうへと棒手裏剣を打ち込んだ。勿論、それはゼロツーボディの能力によって無力化され、地面へと落下。だが、その一瞬の隙を突いてゼロツーボディへとニアは突進し、忍者刀で切り捨てる。



―――――――



「ってな夢を見たんだ」

 場所はニア家の応接間。爺さんと俺とニアが座って熱いお茶をすすっている。いやぁ、熱いお茶がおいしい季節になってきたなぁ。外は寒いし。

「ほっほっほ、ニアはまだまだ半人前じゃ。わしの理想を追求した『ゼロツーボディ』に勝てるわけが無かろう」

「そうだぞ、ニアはまだ半人前だ。じーじだったら楽勝だろうが残念だけどゼロツーには勝てないと思う」

「けどよ、あのマネキンに勝ったじゃねぇか」

 マネキン相手に勝てたのである。それだけでも十分ではないだろうか。

「ふむぅ、まぁ、第一にゼロワンは戦闘用ではないからな」

 ゼロワンと爺さんに言われて反応しそうになったのがびっくりである。ゼロツーが『ゼロワン様』とか言いやがるから……刷り込みとは恐ろしいものだな。

「あれは作業補助用に作ったものじゃ」

「そうなのか……ああ、だから手が四本あるんだな」

「ま、それもそうじゃが若造の話を聞いてゼロツーが翼を持っておるな。以下のナンバーはそれぞれ改良を加えていこうと思っておる。詳しく説明してもいいが、今日は家に帰れんぞ」

「……遠慮しておく」

 長話をしてくるのは真先輩一人で十分である。いや、まぁ、真先輩の長話とかも聞いていて楽しいのだが、爺さんのほうの長話はちゃんとした知識と、寛大な心を持って聞かなければ後々に大変なことになるのかもしれない。

「それは残念じゃな。ニア、若造を送ってやれ」

「わかった」

 まぁ、また、面白い夢でも見たら爺さんに話してやるか。

「ふぅむ、相変わらず若造の夢は試す価値があるものばかりじゃ。まずは自分の周りに高エネルギーの円形フィールドにバリアを形成する……」

 爺さんがぶつぶつ言っているのは気のせいだと思って聞き流しておこう。


昨日、バイトで初めて事故りました。車にかける黒い業務用のゴムをご存知でしょうか…あれが顔面バチンと当たったのです。帽子が吹き飛び、眼鏡が歪みました。恐るべき、ゴム。皆さんもゴムには気をつけてください。三月二十七日土曜、七時十四分雨月。

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