最終話 約束された栄華
「...ん」
「玉ちゃん、目が覚めた!良かった!やっぱり、これで合ってたんだね」
それぞれ、口や無理そうな患者は注射から月下美人の成分を入れ治療にあたった。
虚ろながらも児玉は目を覚まし、心配そうに見守る光莉と望海を見ていた。
「お前達。そうか...戻って来たんだな。俺もお前達も」
そう言うと2人はしっかりとした仕草で頷いた。
「私達は夢の中で月下美人のスープを飲んだんです。そしたらいち早く目を覚ましまして。皆さんの力も借りて、何とか全員分用意する事が出来ました。異国の運び屋さんにも来て頂いたんですよ」
「それは大層な事だな。後でお礼と歓迎会をしないと。そうだ、2人に話したい事があるんだ。疑問に思っている事があってな。俺達のいた帝国にカーテンのようにオーロラが目の前にあったんだ。だけど、旭はお前たちのいた帝国では見てないらしいんだ」
「そんなものが...なんなんでしょうね。私達を隔てる為の壁とか?何かの比喩表現でしょうか?」
今は誰もその答えを見つける事は出来なかったが、ふと望海は圭太の顔を思い出す。
もしかしたら、何か知っているかもしれないと思うのと同時にあの偽物に言われた言葉を思い出し。
電話をしてみようと思ったが、時差的に不可能だと言う事に気づき、夜改めて電話をする事にしたようだ。
颯の願い通り、望海は隼が目覚めるのを見守っている。
何か魘されるように呟いているのだが、彼女には何を喋っているのかはわからないようだ。
そのあと、隼は目を見開き。バッと起き上がった。
「あっ!?皆さん、隼さんが目を覚ましましたよ!」
しかし隼は彼女の声を遮るように彼女の口に自分の手を当てがった。
その事に望海は驚くほかなかった。
「望海、勝山まで移動出来るか?おそらくそこに俺の会いたい人がいるはずなんだ。母さんにも連絡を入れる。合わせてくれないか?」
その言葉に望海は何度も頷き、3人で勝山まで移動する事にした。
「咲耶!!」 「咲耶さん!!」
勝山に到着すると、身体を引きずりながらも何とか歩行が出来るのであろう富士宮の姿があった。
「何だ、親子揃って。望海まで済まない、皆に迷惑をかけたな。...っ」
突如倒れ込もうとする富士宮を慌ててタスクは勿論、隼も支えながら身体を起こそうとしているようだ。
その状態を見て、望海は黄泉の元へと連絡を入れたようだ。
「すぐ、Dr.黄泉が来てくれるそうです。咲耶さん、それまで安静になさってください。何処か座れる所に移動しましょう」
そのあと隼が悲しげな表情を浮かべ、彼女を大事そうに横抱きにするのを見て望海は何となく彼の中にある彼女に対する思いを感じとった。
それは勿論、母親である彼女にも見えており優しげな口調で彼にこう問いかけている。
「ねぇ、隼。咲耶はやっぱり私にとっても貴方にとっても優しい人だった?」
「だった、じゃないよ母さん。今もそうだ。それと相談したい事があって、俺。富士宮家に婿入りする事になるかも。咲耶さんから是非婿に来て欲しいって言ってもらえたし」
「えっ!?咲耶、大胆!でも、私も同じ事言えないや。音楽家として駆け出し中のパパを絶対に逃しちゃいけないって、猛アタックしてたし」
その言葉を聞いて富士宮はまるで悪夢から目が覚めたように苦い表情をしながら起き上がった。
自分がお姫様抱っこをされている事に赤面し、隼から離れ息を荒くしながら近くのベンチに座り込んだ。
「待て待て!順序が違うだろう!?...速飛。済まない、勝手に君の側から離れて。それに相方なのに全然君の事を理解してあげられてなかった。家庭の事も隼から聞いた。家族の時間が作れるよう、私からも協会に申し出れば良かったな」
「良いのよ!話さなかった自分が悪いんだし。私ね、魅入られていたんだと思う。あの羽織に。選ばれちゃったって、言った方が正しいのかな?私だって、息子が生まれてこれから色んな場所に連れて行くんだって色々と妄想を膨らませてたけど。アレに出会ってからは全て抜け落ちたように変わっちゃって」
富士宮は頷いた後、自身の来ていた羽織を脱ぎ持つ手を見つめていた。
そこには、望海や光莉と同じく絵師の想像で描かれた今のように赤く夕日に照らされた美しい山があった。
「速飛の言う通り。実はこの羽織にはデメリットがあってな。強力な力を得られる事を引き換えに戦闘中、大事な記憶や感情を捨ててしまうというより。それをエネルギーにして力を発動するんだ。それに、羽織は主を選ぶ能力を持っているらしい。それによって魅了されてしまったのかもしれないな。だから、速飛に非がある訳じゃないんだよ。それだけは分かってくれ。...それとだな。今更なんだが、私は速飛。君の事を大切な存在と認識してる」
「うん!私も咲耶の事、頼りにしてるし大好きよ!」
「本当に分かってるのかな?まぁ、私としても淡い希望というか。仕事以外でも君に会いたいし、引退したら2人でゆっくり温泉巡りでもしようと思ってた。ただ、君は家庭もあるし。私の事など二の次になってしまうだろう?2人の時間は作れそうにないな」
そう富士宮が静かな笑みを溢すと、タスクは何か閃いたのか目を見開きこう言った。
「良いじゃない、温泉。咲耶の家の近くにも素敵な旅館や温泉が沢山あるものね。それと、確かに家族の時間は大事よ。私もパパや隼君と過ごせる時間は欲しいし。でも、単純な話。私と咲耶が家族になれば、貴女ともいられるし家族ともいられるでしょう?私、何か間違った事言ってる?」
その言葉に望海は後押しするように親指を立てた。
「タスクさん、ナイスアイデア!というか、割と合理的ですよね?嫁姑問題もないし、隼さんは別に歳の差とか苗字が変わっても気にしないんでしょう?」
「まぁ。というか、小町と一緒にやった姓名判断の結果が悪すぎて改名した方が良いって言われたから丁度良いタイミングだなと思って」
「おい、待て!本人を無視して勝手に進めるな!それと、隼は苗字変えたさに私と結婚しようとするな!夢の中という異常な空間で出会ったから吊り橋効果で可笑しくなっているだけだ。現実で時が流れれば、熱りも冷めるさ」
「そうですね、じゃあ俺。ノート買って来ます。ほら、交換日記から始めましょうって言ったじゃないですか?別に業務連絡でも良いんで。俺は日勤で咲耶さん夜勤でしょう?担当場所も綺麗に別れてるし。情報交換すれば比良坂町の大体は把握出来るじゃないですか?」
「まぁ、確かにそうだな。...って、なんで2人共涙を流してるんだ?」
「いやっ、だって。生活リズムも範囲も違うと会える機会が減っちゃうじゃないですか?これは由々しき事態ですよ。富士宮家の存亡にも関わりますし」
「そう言えば、隼って夜間適性ないのかしら?私の息子なら少しはあり得そうじゃない?黄泉先生に調べてもらおうかしら?そう言う検査、あるかもしれないし」
そのあと、医務室に運ばれた彼女がいる寝台から動かない彼を見て、望海はこう口を開いた。
「あの、他の方からお聞きしたんですが。隼さん、ずっと門の向こう側に行っていたそうですね。もしかして、富士宮さんの事を探してたのではありませんか?」
隼はその言葉に自分でも驚いたのかカッと目を見開いている。
「いやっ...そんな事、あるのかもしれないな。現に俺は颯先輩や初嶺に頼んで以前から探してた2人の捜索をすっぽかしている状態だ。彼女の側にいる為に。望海、この事は...」
「私のそこまで性悪ではありませんよ。絶対に言いません。契約書を書いても良いぐらいです。でも、隼さんの好みのタイプは皆さんにバラすかもしれませんが」
望海は意地悪な笑みを浮かべ耳を赤く染める隼をからかっているようだった。
そのあと、何かを囁くような声が聞こえる。
隼は慌てて富士宮の側までより、聞き耳を立てる。
やはりというべきか、髪を下ろした姿が望海に似ているなと彼は思ったようだ。
「2人には感謝しても仕切れないな。早く身体を治して宗家に戻らなければ。皆、これからの事に不安を覚えているだろうしな。父が急逝して遺言もなかったものだから家は混乱状態。それでも何とかしようと私が指揮を取っていた矢先にこんな事が起きた。後継者を決めなければな。候補は絞ってはいるのだがまだ本人に直接伝えられていなかった」
そのあと、何度も目を閉じようとする富士宮を見てもう体力的に限界なのだろうと隼は彼女が起き上がるのを制し元の位置に戻そうとした。
「咲耶さん、家が大変なのは理解できるが今は自分の身体を大切にしてほしい。時間はゆっくりあるんだから」
「いや、自分はそう思っていても周囲がそうとは限らないだろう。...望海。おり言ってお願いがある。君達姉弟を富士宮家に招き入れたい。私の養子になってくれないか?」
そう言われ、望海は勿論。隼でさえも目を見開き動揺しているようだ。
「えっ!?私と圭太がですか!?私達って富士宮家と何か縁がありましたっけ?」
「やはり君の母親はその事を子供達に伝えていなかったか。結論から言うと君達の母親は富士宮家の血を引いている。私とは従姉妹という関係だな。私達の代は女児が多くてな。男子も若いうちに早逝してしまったんだ。能力に恵まれた私を除いて、皆見知らぬ場所へと嫁いてしまった。その中でも君達の母親は能力の覚醒がなかった。それ故に冷遇されていて正直、人間としても見られていなかった。父からも目を合わせるなと私も幼い頃言われていたんだ。家の中でも比較的、穏和な父でさえ。彼女を見放した。何かに怯えるようにな」
「...母も昔から何かに対して怯えていて。強い劣等感を持っていたようなんです。私達子供に対して厳しくて。それ以上に余裕がなくて何処か焦っているようにも見えました」
望海の言葉に富士宮は起き上がり頭を深々と下げ、彼女に対し謝罪をしようとした。
「富士宮家の当主として君達母親の事を何もしてあげられなかった。もしかしたら、子供を利用して富士宮家を乗っ取るなんて計画もあったのかもしれないな。本家に次期後継者はいない。ならば親戚筋から養子を迎える他ないからな。実際に望海は優秀な運び屋として活躍している。どうだろう?父上が病で亡くなられているのは私も知っている。私達の元に来ないか?」
「貴女のご好意に感謝します。確かに今、圭太も異国にいまして。母も未だに精神病院の中。支えてくれる人がいるのならばそれは心強い事です。でも、私はもう出会っていますから。光莉や児玉さん。零央君と心強い家族がいます。それ以上に私は貴女が心配です。何より孤独なのは貴女の方ではないですか?富士宮さん」
富士宮はそのような考えに至っていなかったのか虚を突かれたような表情をしている。
そのあと、軽く体育座りの姿勢になり当時の事を思い出しているようだった。
「名門なんて皆、孤高の存在だ。でも、そんな中で隼。君の母親は私とコンビを組みたいと申し出てきた。それが私にはとても嬉しかった。彼女と共にいられる事に幸せと不安をもっていた。その時にはもう。夜間の運び屋など必要ないと依頼も少なくなっていたからな。いつか彼女とも別れが来ると心のそこでは思っていた。だからあの日、私は中々足を運ぶ事が出来なかった。タスクの元に行く事が出来なかった。君の母親を待たせて、この時が一生続けば良いのにと心のそこでは思っていた」
「...貴女は母さんとの別れを惜しんでいた。貴女もしかして自分で門の中に入ったのか?あんな危険な所に?」
「ちゃんと分かってた。あの門が悍ましく、自分の知らない所に繋がっている事は。でも、それ以上に怖い物が現実にはあった。それだけの事だ。聞いて呆れるだろう?所詮は私も何の変哲もない運び屋だ。名門などと口にしていても根本は一緒。私は誰かと共に一緒いて、必要とされたかった。でも、もうそれも叶わない。富士宮家は終わりだな」
そんなおり、望海は富士宮に対しある提案をした。
「咲耶おばさま、富士宮家が終わりというなら最後に私の希望を叶えてはくれませんか?」
「おばさまか、私も年をとったな。だが悪くない。希望とは何だ?遺産ならたんまりあるし、相続ならいくらでも構わないよ。それだけ、悪い事をしたと思っているからな」
「富士宮さん、私を誰だと思っているんですか?東望海ですよ?お金ならいくらでも稼げます。それよりも大切な事がありまして。男手が足りず困っているんです。いつも圭太が家の電球の取り替えとか力仕事を手伝ってくれるのですが今は不在ですので困っていまして」
「なるほど、人材を派遣して欲しいと。しかし、私の使用人も女性が多いしな」
その会話の流れに隼は嫌な予感がし、その場から立ち去ろうとしたが望海からある事を言われ再び席に戻った。
「あっ、そう言えば零央様がもうそろそろ幼稚園からお帰りになる頃ですね。隼さん、鬼ごっこしてあげては如何ですか?私達では歯応えがないと言われそうなので」
「望海、わざと言っているだろう。咲耶さん、これからいう望海の言葉は全て作り話の虚言だ。聞く耳を持たなくて良い」
「そんな事を言わずに聞いて下さいよ。男手がないなら増やせば良いんです。私、以前から隼さんの事を目に掛けてまして。良いライバルだと思っているんです。ですか彼、仕事が早いでしょう?上手く妨害出来ないかなと悪知恵を働きまして。彼を駒使いとして雇って足を鈍らせようかと」
その話を聞いて、富士宮はクスクスと楽しそうに笑っているようだ。
そんな彼女を隼は見守っていた。
「ふふっ、望海は優秀なだけでなく愛嬌も持ち合わせているのか。皆の人気者なだけはある」
「それなら良いんですが、隼さんにはその愛嬌も通じないようで。色仕掛けが効かないんですよね不思議な事に。咲耶おばさま、私と協力してくれませんか?私の売り上げ一位の為にも隼さんを引きずり下さないと!」
「それを本人の前で言うのもどうかと思うぞ。だから言ったんだ聞かなくて良いって」
しかし、当の本人である富士宮は真面目故に前向きなようでこう続けた。
「分かった。可愛い従姪の為だ引き受けよう。私が隼の足止めをすれば良いんだな。隼、何が欲しい?何処に行きたい?何か興味がある物で釣らないとな。そうだ、いっそのことチェロを買って。私の為に演奏して貰おうか?30億だったよな?」
半ば、揶揄いながら楽しそうに言う富士宮に隼は距離を詰めてこう言った。
「なら、俺は貴女との時間が欲しい。俺も、同じ気持ちだ。貴女との時間が何よりも変え難い物である事は気づいているし、名残惜しいと感じてる」
望海は戸惑う富士宮に手を振り、その場を後にした。
「望海、待ちなさい!...隼、この際だからきちんと言っておく。君には未来がある。そして頼もしい仲間がいる。それ以上に望む事が君にあるか?曖昧な答えなら許さないぞ」
「俺はずっと誰か支えられたり、合わせてもらってきた。それは凄く感謝しているし、組織のエースとして自分の役割を真っ当出来ていると自負してる。でも、それと同時にこう思う事もあるんだ。誰かに合わせたり、支える事が出来たらって。勿論、それは自分から能動的に出来るのが好ましい。俺は咲耶さん、貴女の隣にいたい。貴女を支えられる存在になりたい。相方の息子に何言われてるんだって思うかもしれないけどそれが俺の本音。自分のこれからの未来の為にも貴女が必要なんだ」
「...そうか。分かってるよ。意地悪を言って悪かったな。君なら、ちゃんと考えてるって知ってた。でも、私に固執する意味はないはずだ。それこそ、今じゃなくても今後同じ感情を抱く相手も出てくるだろう。それに私には未来がない。描けない。分からないんだ。自分がどうしたら良いのか」
そのあと、隼は彼女の手を優しく握りまるで全てを射抜くような、獲物を捉えるような目をした。
「貴女の代わりは誰1人としていない。俺は絶対に貴女を1人にはさせたくないんだ。絶対に離さない。別に貴女1人で全てを背負いこむ必要はない。未来がないなら一緒に描けば良いんだから」
「隼...それはあの...」
驚いたのと同時に起きあがろうとする富士宮を制して隼は優しく彼女を寝かしつけた。
「時間はゆっくりある。目を覚ました後でいいから返事を聞かせて欲しい。おやすみ、咲耶さん」
そう言うと彼女は安心したように眠りについた。
「あっ、来た。思ったより戻ってくるの早かったですね。申し訳ないんですけど、これから健康診断をするみたいで。タスクさんがDr.黄泉と話を付けて下さって。念力の変動がないかどうかとか、夜間適性についても調べたいと」
「そうか、分かった。確かに、起き上がった後。違和感を覚えたというか。なんか、身体が重いような気がして」
「そうですよね。私も、もうちょっと軽快に動けた気がするんですけど疲れてるのかな?なんだが、照明が眩しいような」
その日の深夜、医務室では黄泉、愛、初嶺の3人が健康診断の記録を改めて確認していた。
そんな中で望海、隼を含めた5名に異常な数値が検出された。
「黄泉先生、隼さんなんですが以前とは違う適性が見つかりまして。夜間適性と土地の相性に変動があるようです。これは凄いですよ。文字通り、現役最強の運び屋に相応しい能力だと思います」
「隼君もか、実は望海君にも同じく適性が見つかってね。これをどう生かすかは本人次第となりそうだが、これからの比良坂町には必要な力になってくる事は間違いないだろうね」
2人の言葉に合わせ、初嶺は5人の結果を見ているようだ。
「今回、夜間専門の運び屋達が複数救出された事によって比良坂町は眠らない町に変貌を遂げる事になるでしょう。また、組織を編成し直す必要がありそうですね」
慌ただしい1日が終わりを告げる頃、望海は帰宅し国際電話にて圭太の無事を確認でき、安堵したようだ。
あれは自分を脅す為の虚言であったと、彼女の中で片付いたようだ。
「あぁ、昔。王国の偉い人が言ってたんだ。女王様じゃないよ?政治家がね。多分、比喩表現が具現化した物なんじゃないかな?今もやっぱり、戦争はないにしても関係性が上手く行っていない国同士もあるでしょ?主張だって異なっていたそんな関係を“カーテン”で表現したんだ」
「壁ように断絶されてないにしても、仕切られてして別れているという事ですよね。圭太、ありがとうございます。勉強になりました」
「本当は直ぐにでも姉貴の見舞いに行きたかったんだけどね。僕の事を必要としてくれる人がいて。今は比良坂町よりコッチの方が恋しいんだ。ごめんね、姉貴」
「いいえ、謝らないで下さい。それで良いんですよ。圭太、貴方は望海の弟ではありません。東圭太、その人なんです。貴方は貴方を大切にしてくれる人の元にいてあげて下さい」
「姉貴ならそう言ってくれると思ってた。まだまだ、僕の所も姉貴の所も不安定で世界平和なんて綺麗事は言えないけど。でも、今回みたいに国を超えて助けてくれる人達がいる。そう思えるだけで一つの平和になり得るんじゃないかな」
「勿論です。1人では成し得ない事も沢山あります。私だってそうです。そんな中で皆と協力して今と未来がある。全部、繋がっている。過去も、今も、未来も。...あぁ、そう言う事だったんですね。貴方が言いたかったのは」
「どうしたの、姉貴?」
「いいえ、其方は今午後過ぎでしたっけ?では、good afternoon」
「うん、good afternoon.良い旅を、望海」
【鉄壁の運び屋 弐ノ式 ー二つの帝国と目覚めの花ー】終
これにて、本編は終了となります。最後まで読んで頂きありがとうございました。
《解説》
富士宮が速飛との別れを惜しんでいたのは、元の「富士」「はやぶさ」のラストランの際に大幅に遅れて終点まで到着した事に由来します。
八百万の神じゃないですけど、物にも精神が宿っていると解釈すると名残惜しいというか、別れを惜しんでいるのかな?と思ったのでそう言った解釈で書かせて頂きました。
隼が姓名判断の結果が悪かったと言っているんですけど、某FWだけを集めたサッカー漫画の原作担当の方がキャラクターの生い立ちや性格に合わせて姓名判断を参考にして漢字を選んだり、画数を決めていると知って。凄いなと思って、じゃあウチのキャラクター達どうなってるんだろう?と好奇心で調べたら隼がワースト1、2を争うぐらい酷くて。
占った場所にもよるんですけど、最初に占ったサイトではほぼ凶とか大凶しかなくて。
作者も元ネタを重視しないといけないのでほぼ名前を固定しないと行けないんですけどこれはちょっと可哀想だなと思いました。
富士宮隼にしたら大吉も入って幾らか良くなったので結婚してあげてください。
他にも、多分画数が似てるんでしょうね。
七星亘、朝風暁、敷島節子、御三家とあと本間旭は良かった記憶があります。




