表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/58

第弐拾壱話 迷子

執筆状況について書く事が多くなってしまったので後書きの方にお知らせが書いてあります。

気になる方は読んでやって下さい。

「望海、もうそろそろ時間じゃない?それにしても、夜勤とはね。一体どうなっているんだか?」


目が覚めたのと同じ、姉妹として暮らす団地に一室に2人はいた。

時刻は夕刻まで迫って来ており、夜勤である望海は身支度を進めているようだ。


「本当に。私に夜勤の適正があると思えないんですけどね。ほら、良く言うじゃないですか?運び屋の能力は親子で遺伝するって。...でも、タスクさんと隼さんは似て非なる存在か。昼と夜で勤務時間も違うし、担当場所も綺麗に別れてる。本当にあの親子って面白い方達ですよね」


「そういえばさ、タスクさんから仕事引き継いでたの望海でしょう?ずっと疑問に思ってたんだよね。前から仲良かったっけ?」


「いいえ、勤務時間も違いますし。ご一緒に仕事をした事もありません。ただ、直感的にびびっと来たそうで。私と相方の富士宮さんを重ねたんだとか。光莉、聞いてます?」


そのあとの事だ、光莉は静かにするようにとラジオを取り出し自身の人差し指を自身の唇に当てた。

そのあと、ラジオの声に聞き耳を立てている。


『本日、8月16日の夜の天気と明日の天気をお知らせします。先週梅雨明けとなった我が栄光なる帝都長春ですが、今夜から明日未明にあけて山沿いを中心に大雪となる見込みです』


「ぷくくっ!これ凄い面白いよね!アナウンサーも真面目に言ってるから余計にツボにハマるんだよな。望海、コートとブーツ。忘れないでよ」


「本当に好きですよね、そのラジオ。なんでしたっけ?明後日から紅葉のシーズンだって言ってましたね」


そう言われると光莉は嬉しそうに自身のベットにダイブし、ゲラゲラと笑っているようだ。


「春があったら完璧だったのにな!桜シーズンはまだ先かな。それでなんだっけ?富士宮と望海が似てるって話?似てないと思うけどな、あれはもうオーラが違うもん。運び屋になる為に生まれて来たみたいな存在だし。私ですら恐縮ですよ。向こうは高校生の時から運び屋やってて、玉ちゃんと同期らしいんだけどさ別に面識がある訳じゃないしね」


「そうなんですよね。なんかもう、天上の人って言った方が似合うかも。それと釣り合うのは最速の鳥だけ。...では私と隼さんは?もしかして私の地位も危ういのでは?」


「何ぶつぶつ言ってるの望海!ほら、行ってこい!一に仕事!二に仕事!三、四も仕事!五も仕事だ!月月火水木金金!運び屋に休み無し!」


確かに現実世界でも似たような状況を過ごしている望海達だが、こう口にされると自分達の異常性が分かるだろう。

彼女は此方の帝国の地図を見ながら、苦笑いを浮かべた。


「此処に南国でもあれば、私もバカンスが出来るんですけどね。そうだ、早く行かないと!とりあえず今日は下見だけ出来れば大丈夫そうかな?」


団地を抜け、ポツポツと雪が降る帝都の街中を彼女は歩いていた。

先日も下見はしていたが、帝都という事もあるのか?

壁に囲まれていた比良坂町より空が広く、道も整備され解放的だ。

車や馬車、人力車など多彩な交通手段が存在し市民の足がかりになっている。


西洋風の建築物に囲まれ、周囲の街灯は淡い光りに包まれる。

直感的に最先端の技術を反映した街並みなのではないか?という事が望海には理解出来た。


「...本当に凄い。夢の世界とは言え、こんな素晴らしい物が存在しているなんて。なんでしょう、不思議と誇らしくなりますね。ずっと此処にいたくなるような。...いいえ、気をしっかり持たないと。それこそ、相手の思う壺です」


望海は帝都の地図を広げながら自身の担当場所は勿論、普段は目に着かなそうな小道まで細かく探索をしているようだ。

道を熟知していれば、何かあった時に依頼人を避難誘導出来ると見込んでの事だろう。

避難経路の確保まで念頭におきながら道を進むと何やら異臭の漂う路地を見つけた。


「...っ!?」


彼女は慌てて鼻や口を塞ぎ、その匂いを断とうとするがあまりにも強烈な匂いの為、それすらも無駄なようだ。

ハンカチでそれらを覆い、歩を進めると周囲の残飯に虫が集り、生活排水の悪臭も交わり今すぐその場から立ち去りたいと願う程だった。

近代的な美しい帝都に隠された負の部分、そう言っても良いのかもしれない。


ただ、自然と望海は立ち去る何処か何かを探すように歩を進めていた。

奥に進めば、さらに地下に続きそうな石階段を見つけ吸い寄せられるように下へと降りた。


「...ねぇ、そこに誰かいるの?居たら返事をして下さい」


懐から蝋燭(ろうそく)とその台を持ち、淡い光を周囲に向ける。

そのあとの事だ、何か鎖のような物がなる音がした。

望海は目を開き、地下に猛獣が飼われているのではないか?と恐怖したが、此処までくれば真相を知りたいという気持ちにかられた。


1番下、牢屋が並ぶ場所までくるとその中身を彼女は知ろうとする。

どうやら1階分のフロアを貸し切り、一つの大きな牢屋を形成しているようだ。


その小さな窓から満月の光りが差し込む、その窓の下で何かに怯えるように縮こまる人間の姿があった。

現在の執筆状況についてお知らせをしたいと思います。

完結の為の大枠が出来上がりまして11章、約45話で完結出来る目処が立ちそうです。これ以上に章や話数が増える可能性もありますがご了承下さい。

これから、投稿の為に細かい修正を加えたり内容の矛盾がないかどうか?などのチェックが入るので投稿までラグがありますがご了承下さい。

続編「肆ノ式」に向けて出来るなら毎日1話投稿出来るようにストック作りと逆算して投稿ペースを考えたいなと思っておりますのでよろしくお願いします。

他にも、圭太が主人公の番外編。その前後編と後書きを加えて完結とさせていただきます。

よろしければ、最後までお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ