デルヘヤ
このホテルには、「出る」という噂の絶えない部屋がある。
「先輩とラブホに来ることになるなんて思いもしませんでしたよ」
露骨に不満な顔をして言う阿蘇古。
「俺だって男2人でこんなとこ来たくねぇよ」
不機嫌そうに言い返す照減。
弱小サイトのWebライターである2人は、霊が出るという噂が本当なのかを確かめに来たのだ。
「で、どんな霊が出るんですか? ここで亡くなった人がいたとか?」
「死人は出てないんだがな、なかなか惨い事件が起きたんだ」
悲しそうな顔で語る照減。
「ここにデリヘル嬢を呼んだヤツがいたんだがな、そいつが行為中に暴行をしたんだ」
「なるほど、それで大怪我をしたって感じですかね。でも、なんでそれで幽霊が出るんです?」
「話は最後まで聞けバカ」
「すいません」
「行為中にいきなりその子の乳首とあそこを噛みちぎってな、そのまま食っちまったそうなんだ」
「ひぇえ⋯⋯その子に恨みでもあったんですかね?」
「いや、恨みによる犯行じゃあなかったんだ」
「ということは、愉快犯ですかね? 誰でもよかったって感じの」
「それも違う。犯人はその子にターゲットを絞ってた。当時その店でナンバーワンだったその子にな」
「でも恨みはないんですよね?」
「ああ、なんでもそいつは『何も持っていない一般人の自分1人の人生を犠牲にするだけで、お金も人気もあるその子の人生を壊せると思うと凄いことだなぁって思ったんです』って話してたそうなんだ」
「先輩記憶力凄いっスね」
「まぁ要するに、頭のおかしな奴の犠牲になっちまったんだよ、その子は。当然風俗もやめちまった」
「でもまだ分かりません。なんでそれで幽霊の話になるんです?」
「それはだなぁ⋯⋯あ。俺が説明するまでもなさそうだな。後ろ見てみろ」
「えっ?」
阿蘇古が振り向くと、大きなベッドの上に、焦げ茶色の丸い物体が2つと、真っ黒なアワビのようなものが1つ浮いていた。
「うわあっ! なんだこれ!」
「それが幽霊だ」
「えぇっ!?」
「こいつらはその子の乳首とあそこなんだ。さまよってんだよ。自分たちが主人と切り離されて殺されたって気付かねぇで、ずっとさまよってんだ」
それを聞いた阿蘇古はひどくおどろいた様子で、しばらくあんぐりと口を開けていた。
「⋯⋯これ、触れんのかな。あ、触れる! 先輩、触れますよ!」
机でタバコを吸っていた照減に向かって叫んだ阿蘇古は何を思ったのか服を脱ぎ、ベルトに手をかけた。
「先輩! 俺、幽霊とセックスしてます! 見てください先輩ー!」
「⋯⋯お前スゲェな」
おどろいた照減がタバコをポロッと落として言った。
その落としたタバコから出火し、その部屋は全焼してしまった。
それからそのラブホテルでは若い男と中年の男の霊が相次いで目撃されるようになったという。
感想待ってるよん!




