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真夜中のドライブ

 ドライブ好きなSさんの彼はその日も急に連絡してきたそうで、深夜のドライブに駆り出されたのだという。


「もうお風呂も入っちゃって、あとは寝るだけだったんだよ?」


 寝る準備をしていたSさんが不満を述べる。


「ごめんごめん、ネット見てたら良い道見つけちゃってさぁ、Sと一緒に走りたくなっちゃってぇ」


 彼はいつも思い立つと昼夜問わずSさんをドライブに誘うのだそうだ。


 暗い山道をただただ進んでゆく。


『夜中だから景色なんて全然見えないし、同じような道ばかりで正直退屈でした』


 Sさんはそう私に愚痴をこぼした。


『で、問題はその後なんです』


 その後、山道を走っていた2人の前を何かが横切ったのだという。


「ねぇ、今何か横切ったよね?」


「ああ⋯⋯」


 彼の顔が強ばっている。


「見たの? 動物かなにか?」


「いや、動物なんかじゃなかった」


「えっ⋯⋯」


 Sさんは息を飲んだ。


「なんでか分かんねぇけど、血まみれのジジイが笑顔で走ってた。こっち見ながら」


「え、なにそれ。怖い⋯⋯」


「頭が異様に細長くてさ、この世のものじゃないみたいな感じで」


「何よそれ。その話もうやめようよ、こんな山奥でそんな話⋯⋯」


「多分あれ何かに轢かれたんだよ。んでさ、」


「やめて! それ以上言わないで、怖い!」


「そのジジイ、笑顔のままで何か言ってたんだよ」


「やめてってば!」


「口の動きで分かっちまったんだけど、あれさぁ」


「いやぁあああ!!」


「多分『キムタク』って言ってた」


 それからSさんは夜中のドライブには付き合わなくなったという。

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