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弩級戦艦 それは

 3連装3基という、考え方によっては後の標準的な兵装なそれを備えた河内型が採用されることになった。


 そして、とうとう日本で世界に伍する戦艦の建造をと言う事になったのだが、河内型で採用した30cm3連装でいくのか、金剛型と共に導入される36センチ連装で行くのかで議論となった。


 理想を言えば36cm3連装だ。


 しかし、それでは大幅な遅延が目に見えている。


 さらに海軍は巨砲の開発に向けて動いているので36センチは終着点ではない。


「英国は1.5インチ刻みで主砲口径を増しており、数年後には現在の34センチから1.5インチ大きな38センチ砲を搭載すると見込まれております」


 そう、問題はそこなのである。


 そうなった場合、30センチ3連装4基では全くついて行けない。


 そして、36センチ連装を採用する場合にも扶桑型の配置ではまずい事は河内型で判明している。


 薩摩型の連装3基ならまだ良かった。


 しかし、河内型の3連装3基を等間隔に並べたソレは明らかに爆風が問題となった。


 結局、河内は河内であったという事か。


 現実の河内型は50口径と45口径の混載という問題を抱えていたが、こちらでは扶桑型の問題が前倒しされている。


 そのため、現実の扶桑型配置ではなく、米戦艦を参考に、扶桑型を飛び越えて伊勢型の配置で設計、建造が行われている。


 ここまで来てふと立ち止まった。

 

 このまま戦艦に携わっていても大和に関わる事は無理だろう。


 そして、これから先、長門型や八八艦隊計画に関わったとして、何か変わるだろうか?


 3連装と言うレールは敷いた。


 ならば、大和を待たずに3連装化してもおかしくない。八八艦隊の中で登場するのではないだろうか。


 ならば、もはや戦艦についてはやりつくしてはいないだろうか。


 そして思い出した。


 そう言えば、歴史を改変して日本の戦艦を変えるんだった。


 ならば、すでに達成しているではないか。


 薩摩型を改変した事で日本の弩級戦艦は河内型ではなく、河内の能力も変わった。


 その先はほぼ現実通りで問題はないではないか。


 そして、問題は別の所に移る。


 巡洋艦と駆逐艦である。


 だが、そこで問題となるのは兵装ではない。重量が問題になる。


 と言う事で、ようやく欧米でも動き始めた溶接について研究していく事にした。


 そして、機関。


 蒸気タービンに大きな不満がある訳ではないが、缶室と言うのはディーゼルやガスタービンが実用化すれば他に使えるスペースとなる。乗員の削減も可能だ。


 ディーゼルは放っておいても誰かがやるだろう。ならば、いち早くガスタービンを手掛けるのはどうだろうか?


 そんな考えに至った1913年、ふと立ち止まって見回すと不思議なのを見つけた。


 二宮飛行器?


 機械ではなく(うつわ)らしい。どゆこと?


 そう思って調べると、まごう事なき飛行機会社だった。


 だが、まだまだ飛行機と言うよりはグライダーっぽいモノを手作りする工房だが。


 だが、こんなモノは現実には存在していない。


 そこで、時間を作って訪ねてみると、直感した。


 社長は何という事はない。普通の人物だが、息子は明らかにこの時代の人ではなかった。


「戦艦薩摩が弩級戦艦とは驚きですよ」


 というその人物。


 この時代に来たのは俺より先だったらしい。


 そして、父親が飛ぶかどうか怪しい飛行機を作っている所へ助言し、今の様にちゃんと飛べる飛行機を作り出していた。


 そして彼に話を持ち掛けてみた。


 ジェットエンジンは欲しくないかと。


 しかし、答えは意外なモノだった。


「それは良いですね。エリングの実績から言って、大恐慌前に完成するかもしれませんが、使えませんよ?その時点では機体の技術が追い付いていません。そうですね。レシプロに対して小型軽量という点で、ターボプロップなら有利かもしれません」


 と言うのだった。


 それは少し予想外である。


 しかし、それはそれで好都合かもしれない。


 舶用機関としてガスタービンエンジンを開発したとして、そのまま航空機に転用を考えた場合、たしかにターボプロップならば理由にもなるだろう。


「しかし、舶用からの転用ですか。それはどうなんでしょうね。舶用エンジンとして開発するなら、この時代であれば、蒸気タービンから発展した重構造型となりはしませんか?」


 という疑問を口にした。


 一般に舶用ガスタービンと言えば航空エンジン転用が一般的だが、ごく少数、発電所用タービンと同じ重構造型と言うのがある。


 航空エンジンは空を飛ぶことが前提なので軽量に作られているが、定置型ガスタービンは重量を気にしなくて良いのでケースを分割式にした非常に重厚な作りとなっている。舶用でこれを採用するのは少数だが存在するし、今作るとなると、たしかにこちらかもしれない。


「とはいえ、発想の問題ではありますね。蒸気タービンもはじめて船舶に搭載されたのは小型の『タービニア』と言う船でしたし史実での、我が国初のガスタービンも駆潜艇でした。その様な小型艦艇向けタービンとして缶を用いない内燃機関とするならば、軽量型という選択肢もあります」


 どうやら、彼の方が先を見越しているという事であろうか。 


 

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