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の様なモノ

 これまでターボプロップを主体に開発してきたが、エンジンも随分熟成の域にあるのでジェットエンジンとしての開発も行う事にした。


 なぜターボプロップを優先したかって?


 それを海軍技官に聞かれたときに答えたのだが、ターボジェットエンジンと言うのは速い排気速度を持っているのだが、排気速度は機体の速度より少し速いくらいが効率が良く、大戦期の亜音速機に積んでも非常に効率が悪い。


 効率が悪いので航続距離が短い燃費の悪い機体しかできない。


 それに対してターボプロップであれば、推進力はプロペラが担うので、回転力としてパワーを使う事でターボジェットよりも効率的になる。

 しかし、ならばターボファンがとなるのだが、その開発はターボプロップよりも難しい。


 その為、経済性や亜音速域の機体にはターボプロップを用い、より高速力を必要とする場合にターボジェットにすればよいと考えていた。


 そして、とうとうその時が来た訳だ。


 爆撃機が時速600kmを超える速度で飛ぶようになると、その迎撃には更なる高速力を要する。


 少なくとも700kmを超える必要があり、ここまで来るとプロペラ機よりもジェット機が得意とする速度域になって来る。


 そこで、とうとう大型ターボプロップ用に開発している軸流式エンジンをターボジェットとして使う事にした。


 ただ、これが結構大型のエンジンなので、搭載方法をどうしようか悩んだ。


 ジェット機と言ってまず思い浮かんだのはP80の様な平均的な機体ではあったが、それでは面白くない。


 そこで、ホルテンHo229のような全翼機にしてはどうかと思ったが、そこには障害があった。


 迎撃機として、しかもジェット機なのだから全天候型である方が良い。


 そう考えて塩飽電装で機上レーダーを造れないかと聞いてみると、すでにパラボラアンテナ型の機上レーダーの開発が始まっていた。


 だが、コイツが予想以上に大きく、尚且つ単座機でパイロットに全てを委ねるのは酷な装置だった。


 そこで複座機とする必要が出て来た。


 そうすると、一般的な全翼機とはならない。頭となるレドームが飛び出してしまう。


 結構重量のあるレーダー装置を機首に積むのでバランスをとるためにエンジンを後方に移動していくと、胴体からはみ出してしまった。


 そこでふと思った。


 いっその事、第四世代機みたいにしちゃえば良いやと。


 そうこうしていると、大柄な機体となって来るので双発機となり、出来た頃には何だか前後を潰したソ連製戦闘機の様なモノが出来上がっていた。

 ただ、元が全翼機を目指していたので水平尾翼の無いデルタ翼となり、後方から見るとちょっと違和感がある。


 それを見た南部銃製造所の真部氏が喜んで持って来たのが30mm機関砲だった。


「Gsh30-1という機関砲はご存じで?発射速度はさすがに達成できませんでしたが、毎分600発は可能です。その発射速度なので水冷筒を砲身に装備していますよ」


 とにこやかである。


 すでに軍にも試験砲を渡しているらしく、この機体への搭載を熱望している。


 さらに、塩飽が開発した電波信管を取り付けた空対空ロケット弾の装備も提示された。


 まずは初飛行のための準備を行い、1943年6月25日に初飛行が成功した。、順調に試験を進めることが出来、翌年7月には陸軍に制式採用が決まり、「炎龍」と名付けられた。


 その間、往年のパイロットである自分自身が乗り込む機会があったが、時代の変化を実感するしかなかった。


 炎龍が採用されたころにはマリアナ沖海戦が行われており、海軍はターボプロップ機へと教育した搭乗員を多数配置していたらしい。

 

 海軍は誉信仰に陥らなかったが、代わりに小型機用ターボプロップエンジンである積雲信仰に陥っており、すべての単発作戦機を積雲とするという命令を乱発していた。


 その結果として彗星が換装され、流星もターボプロップ化し、それら機体を運用するにあたり、搭乗員も整備員も専門教育が必要になる事からと、レシプロと分けて新たに教育を開始するという熱の入れようだった。


 その事で期せずしてパイロットの増員となり、レシプロと分離していたことで運よく人員喪失を免れてマリアナ沖へと送り出せたらしい。


 マリアナ沖海戦で使用された兵器には新兵器が存在し、赤外線誘導弾が多数投入され、かなり米軍に損害を与えたという話を聞いている。




 二宮飛行器でジェット戦闘機の開発が行われていた頃、陸軍では新型戦車の開発が終ろうとしていた。


 ガスタービン用に開発した20トンの車体に、まずは短砲身型砲塔を載せた三式中戦車甲型(チヘたん)が満州で生産を開始した。


 それから遅れて8センチ高角砲をベースとする長砲身砲塔の生産も始まり、乙型も供給されていく。双方とも南部で開発された小型の駐退復座機を備えているので、戦車の見た目はT44に近い。


 ここまでがむしゃらに戦車開発を行ってきたのだが、ガスタービン戦車を無理に推進したためだろう、技本から部隊配置へと飛ばされてしまった。


 配属されたのは南樺太。どうやら最新のチトたん(三式中戦車乙型)も配備してもらえるので、一応不満はない。


 僅かに配備されたチトたん。そして、物資輸送に走り回るのは二コ自動車の軽トラだ。偵察部隊にジムニーも居る。

 チトたんは満州への配備が優先していて、南樺太にはチハたんに短砲身75ミリ砲塔を載せたチホたん(二式中戦車)が多く配備されている。

 元々は弱小な歩兵師団しか居なかったというのに、チホたんといえども相当数配備してくれたことには感謝しかない。


 まさか、後の最前線に配置されるとは思わなかったがね。





 

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