表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/26

いつもの様な大本営発表

 海軍は燃料問題の混乱で嫌でも戦線縮小を余儀なくされたらしい。


 負ける前からガダルカナルへの長躯飛行が怪しくなり、中継基地建設に乗り出すが、それが更なる逐次投入となり撤退をしなくてはならなくなった。


 1942年秋はそんな日本側の一方的混乱の中で戦線が動くという、連合国からすれば意味の分からない状況だろう。


 海軍は燃料事情からちぐはぐな運用が多くなる。


 大きく戦線縮小したかと思うと、深山による長距離爆撃に出たりする。


 さらに、烈風が本格的に揃うと南方戦線の活気も戻って来るだろうとの事らしいが、良いのか?それで。


 そんな海軍。レーダー運用においてもチグハグな事が続いている。


 艦艇や部隊毎にその運用方針が異なり、違う意味で連合軍を翻弄しているともいう。


 活躍した例ではソロモン沖の夜戦で先制出来た事。悪い例では昼間に敵が見えていながら何も出来なかった事だ。故障なんかではなく、運用の問題だった。


 結果、ガダルカナルの戦いが1943年春まで長引く結果となってしまった。


 そうした状態が続く中で、二宮はとうとうジェット機を完成させた。


「戦闘機と言えば、こうでしょう」


 などと意味不明な供述をする二宮氏が示すそれは何をどう間違ったのか、フランカーか?


「いえいえ、操縦特性の問題がありますので、形だけですよ。それに、形状は似ていますが、ミグ29です」


 いや、形だけでも何で第四世代機なん?しかも、どっちもパッと見分からんし。


 その理由は、二宮氏によれば塩飽電装が開発した航空レーダーがデカいからだそうだ。


「操作員が搭乗するので二人乗りです。あ、トムキャットが良かったですかね?」


 知らんがな。 


 何がミグ29かと言うと、同じ様に上面吸気口を設けているので未舗装滑走路での運用も可能なんだとか。タキシング中に異物を拾わないとかなんとか。

 

 もちろん、サイズはあれほどの巨大さはないのだが、どうしてそんなことをしたの?


 と聞いてみれば「趣味だから」と悪びれも無く言う始末だ。


 確かに、機外にエンジンがあれば着脱がやり易いというのはあるだろうが、それにしてもどうなんだ?


 機体はブレンデッドウィングボディ?とかいう胴体を翼として機能させる仕様らしいのだが、まあ、全翼機なんだろう。


 そこから機首が生えて巨大なレドームがある。


 胴体下左右には後ろにエンジンが伸び、その上に尾翼が取り付いている。


 妙に縮尺が可笑しなミグ29だ事で。


 日本初のジェット機の飛行は1943年6月25日の事だった。


 無事の初飛行を終えて試験が順調に進めば1年後には量産に入るだろうとの事だ。


 海軍甲事件が発生したのは時間が少しずれて7月18日の事だった。


 ズレはあれど歴史は大きく違わずに進んでいる。


 塩飽造船では啖呵を切った空母の建造が順調に進み、駆逐艦や潜水艦については年始あたりから完成した艦の引き渡しが始まっている。


 それらが大きく戦局を左右することがあると良いのだが、望みは薄いのではないだろうか?


 なにせ、海軍はレーダーやターボプロップと言う新機軸に振り回されるばかりで全てが後手に回っている。

 現場の対応が出来ても上の頭が追い付いて行かない状態だ。


 初めて噛み合ったのは1944年に入ってからだった。


 トラック空襲への対応が何とか出来たと聞いた時にはホッとしたというより驚いた。


 そんな事も出来たのかと。


 だが、もはやここまで来てしまうと誤差の範囲と言っても良いだろう。


 マリアナ沖海戦には新型空母も投入された。


 搭載機の多くはターボプロップであった。


「いつもの様な大本営発表ですが、どこまで本当なんでしょうね」


 そんな事を周りと言い合う状況である。


 だが、多くの空母は帰って来た。搭載機の損害は多いが、発表が一方的な嘘ではないのかもしれない。


 どこまで打撃を与えたのかは分からないが、少なくとも空母数隻を撃破したという事ではあるようだ。


 そして、二宮は宣言通りに1944年7月に新型戦闘機「炎龍」の量産を開始した。


 ジェット機の実用化ではドイツに次いで2か国目では?たぶん。


 そんな炎龍は全長14m、幅10m、離陸重量は8トンに達する大型機である。搭載するのは四式30粍機関砲と言うらしい。かなり軽量に作られたらしく、銃身は水冷らしい。

 それ、ミグ29にも積まれるソ連製の30mm機関砲やないの?確か。

 気になる速度はエンジン推力の関係から920kmらしい。十分である。


 その、妙に機首が大きななんちゃってミグ29は9月から機種転換が始まり、年を越した頃には実戦配備されていくとの事だった。


 大本営による発表は威勢が良いものが続くが、どうにもそれが事実ではない事が分かってしまう内容ばかりだ。


 さて、陸軍の話で出ていた強襲揚陸艦だが、基本が商船規格なので空母を完成させて空いた船渠でサクッと建造して2隻を引き渡した塩飽造船。この造船所は米国並みの能力を持ってるんじゃないかと思うよ。


 だが、問題なのは搭載機って何載せるの?


 という疑問があったが、どうやら三菱が新開発した哨戒機を載せるんだという。


 そして、今更九六艦戦をターボプロップ仕様とした海燕という専用機を戦闘爆撃機として運用するんだって。


 そんな、海軍との共同作戦が可能な状況を今更作っても戦局に好影響はない様な?


  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ