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戦力は向上しそう

 詳細設計を終えて建造に入った空母は順調に工事が進んでいる。

 

 駆逐艦や軽巡、潜水艦については今のところ採用の話は来ていないのだが、歴史は史実通りに進んでいるので、戦時急造を見据えて量産駆逐艦について考えている。


 その中で、塩飽電装がレーダーやソナーと言った製品を開発しているのだが、では対潜兵器は何があるのかと言うと、爆雷しかなかった。


 対潜魚雷があれば良いのだが、音響誘導装置は塩飽電装だけでは開発出来ない。海軍と潜水艦に関する研究は行い始めてはいるのだが、それだけでは少々足りない状況になっている。


 それならより簡単な投射爆雷があれば良いという事で、南部銃製造所にヘッジホッグの開発を持ち込んでみたところ、二つ返事で応じてくれた。


 ヘッジホッグ自体はとくに難しい構造の兵器ではない。


 多数の爆雷投射器を並べて投網のように投射するだけの兵器なので開発自体は難しくないが、海軍には迫撃砲などというモノはなく、陸軍の迫撃砲をベースに開発する事になった。


 海軍は良い顔をしなかったが、簡便で安価で効果的な兵器なので、完成した試作品を見て納得している。


 開発したのが南部と言う事もあって、海軍だけでなく陸軍船舶にも搭載する事になり、陸海軍の共通制式兵器として採用された初の例となった。


 もちろん、単に開発を持ちかけただけではない。


 その兵器を搭載する艦艇開発も同時に行っている。


 まだまだ切迫した状況にある訳でも無いので、艦隊型駆逐艦としても見劣りしない船として仕様をまとめ、海軍に提案しすることにしたのだが、空母建造が海軍の決定前に見切り発車していたことが問題視されるようになった。


 一時は発注停止という話まで出ていたのだが、世界情勢が緊迫しているという事で沙汰止みとなり、無事に正式な発注として建造が認められることとなって事なきを得た。




 少しさかのぼって1939年、関東軍とソ連軍が衝突したというニュースが駆け巡ったが、戦車開発の現場は一つのニュースで沸き返っていた。


 南部の開発した穿甲榴弾(HEAT)によって敵戦車を容易に撃破出来たという。


 ただ、相手はBT5やT26といった軽戦車であり、それはいわば当然の事と言える。対してソ連戦車の45ミリ砲の威力にハゴたんの装甲では耐えられず、チハたんですら危ないことが判明した。


 そして、課題として挙がって来たのが、現状の50ミリ程度の貫通力では将来的に撃破が難しくなるという指摘だった。


 相手がT26やBT5だから良かったが、それに勝る戦車が出て来ていれば危なかった。


 すでに75ミリ山砲用のHEAT弾であれば貫通力は80ミリ以上ある。そちらにスイッチするのが妥当であろうし、ドイツが75ミリ砲を装備する戦車を開発しているという情報も入ってきている。


 そんな折、二宮飛行器が開発していた小型ガスタービンが完成したという。


 それに合わせて開発を行っていたトルクコンバーターと組み合わせてパワートレーンとして全体を開発していく事になったが、やはり陸用に開発したとはいえ、500馬力を超える馬力を持つエンジンを受け止める変速機はチハクラスの戦車には大きすぎた。


 その上、エンジン本体がいくら小さくともディーゼルとは比較にならない吸排気機構を必要としているので、車体の大型化は必須。


 車体はT34というよりT44の様な低姿勢化に成功したが、車体重量は装甲厚を75ミリとしたことで20トンに達してしまっている。


 ここに砲塔を載せると最低でも26トン。長砲身型ならばより大型砲塔になるので30トンになるだろう。


 どうやら主砲に関しては塩飽と南部が陸軍の迫撃砲をベースに対潜兵器を開発したとかで、その交換に戦車砲として海軍の高角砲をベースに出来ないかと話をしているらしい。


 あれか、不調な上に威力不足と言われた長8センチ高角砲と言う奴か。



 1941年、歴史の流れは変わりそうにない。


 そんな中、陸軍が30トン級に達する戦車を開発中だというではないか。


 その話を聞いて上陸用舟艇とそれを載せる強襲揚陸艦を提案する事にした。


 二宮にも陸軍用艦載機を用意できないかと声を掛けておいた。


 そして、偽装問題が有耶無耶になった空母がとうとう完成した。うちで建造したのに名前は隼鷹だという。

 三菱で建造してる空母の名前は?あ、うちが先に補助を受けたからどうやら建造していないらしい。


 そんな空母が海軍へと引渡されると随分評判が良いらしい。と言うか、史実の隼鷹よりも完成が半年も早いのは良かったのだろうか。


 隼鷹の航海艦橋のてっぺんには大型対空レーダーが回っている。


 まんまクイーン・エリザベス級だと例の技官が笑っていたが、まあ、良いではないか。


 どうやら二宮は十六試艦戦を完成させているらしい。


 元々が十四試局戦と並行して開発していた機体だからあまり時間がかかっていないという。


 二機種の違いは速度重視の十四試、離着陸性能重視の十六試と言う事で主翼が違う事が決定的な違いらしいが、ほぼその程度の違いしかなく、いわばF35A型とC型だと笑っていた。


 そんなのんびりしている間に真珠湾攻撃が行われ、快進撃だと沸いている1942年4月にはやはり例の爆撃隊がやってきてしまった。当然のように見逃してしまう警戒部隊。


 そうか、敵味方識別装置がないからこんな事態になるのか。すぐに用意できるものなので準備するとしよう。

 

 

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