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まさに、やりたい放題

 ゼロ戦が採用されたらしい。


 三菱は雷電の開発に難航している。その十四試局戦には対抗馬が出現した。


 それが二宮のターボプロップ機である。


 軽量小型のターボプロップ1700馬力エンジンを積んだ機体は最高速度650kmに達し、海軍も度肝を抜いている。その陸軍仕様が後の飛燕であるが。


 採用した武装は南部銃製造所が開発した50口径機銃である。海軍は九七式十三粍機銃として、陸軍も九八式12.7粍機関砲として採用している。規格統一が銃弾統一ももたらした結果だと聞かされた。


 さて、空母についてだが、塩飽造船がトンデモナイ事をやらかした。


 海軍の補助を受けた高速商船と偽って例の空母を建造している。


「大丈夫です。隼鷹型空母の座をコレでとりますので」


 などと供述しているが、それで良いのか?


 陸軍もおかしな動きを始めている。


 二宮飛行機と陸用ガスタービンを開発しているらしい。


「お話したように、チハはオートマチックです。ガスタービンでも問題ありませんよ」


 と、陸軍技官は話すが、馬力がね?チハって200馬力ぐらいやん?ソレ、最低出力500馬力超えて無いか?


 そして真珠湾攻撃がやはり行われ、戦争へと突き進む中で、擬装客船問題は不問となり、それどころか蒼龍以後の空母よりも隼鷹型の運用成績が良いという事で、龍驤の評価が再浮上している。


 それが復権というか、何と言うか。


「いや~、貴方のおかげですよ」


 塩飽造船は例の高級駆逐艦から廉価版へと仕様を変更して提示していたが、それが通ったらしい。


 そして、なぜか自動的に潜水艦の採用も決まったという。


 この頃、塩飽、二宮と組んで陸軍にある提案をした。


 陸軍が陸用ガスタービンを試験している所から入手した情報を基に、予想される30トン級戦車を揚陸できる舟艇を搭載した強襲揚陸艦を。


 塩飽造船が勝ち取った駆逐艦だが、規模は初春型程度、1500トン級であるらしい。


 それをブロック工法で量産する。


 現実の松型駆逐艦とは大幅に異なる量産駆逐艦が誕生した。


 その内容は重心低下と取得性の関係から従来駆逐艦の主砲を八九式高角砲へ変更し、給排気塔の大きさから魚雷発射管を1基へと削減した内容だ。いや、武装はそんな事から松型に近いが、塩飽は南部銃製造所と組んでヘッジホッグを開発していた。

 当然、レーダーやソナーは塩飽の十八番。

 まさに、やりたい放題。


 1942年4月。


 有名なドーリットル爆撃が発生した。


 すでに対空レーダーを配備していたのにこの失態である。


 7月にはミッドウェーで負けた事も伝わって来た。


 そんな中、雷電、飛燕が採用となる。十六試艦戦についても初飛行を済ませている。


 そして、一番大きなニュースが、海軍が塩飽に泣きついて来たことだ。


「連中、ミッドウェーで空母を大量喪失した事がよほど堪えたんでしょう。運用実績の良い隼鷹型を量産してほしいそうですよ」


 と、半ば呆れながら言って来た社長の姿には笑うしかなかった。


 2年後には3隻用意すると断言したらしい。が、それでも足りないから工廠でも建造するという。


 十六試艦戦はその重量から隼鷹型での運用となる。実際にはカタパルト装備の龍驤でも可能だが。


 そうした笑い話の後に、陸軍に提案した強襲揚陸艦も決まったらしいが、建造できるんか?


 二宮はとうとうレシプロエンジンの生産をすべてやめてガスタービン一本に絞るらしい。ジェットエンジンとしての利用も始めるとの事だ。


 陸軍が開発に関わる陸用ガスタービンもどうやら実用化が決まった。


 と言っても、どんなに小型化してもチハには大きすぎるんじゃないか?


 と思っていたら、やはり20トンになる大型車体を完成させていた訳だ。


 海軍が開発に失敗した8センチ高角砲をベースにした戦車砲の開発が行われ、現実には無かった余力を使って生産が決まったとの事。

 何でも、量産性を上げるために60口径ではなく52口径に短縮するらしいが、それでも十分高初速なので問題ないと陸軍が言っているんだとか。

 その生産が軌道に乗るまでは陸軍の山砲級短身砲を搭載してHEAT弾を運用するという。弾は南部銃製造所が開発したらしい。


 1942年暮れ、満州の戦車工場で短砲身型新戦車が量産に入り、三式中戦車となった。エンジンはガスタービンを積み、オートマチックらしい。


「自衛隊がM24を供与されて驚いたそうですが、今回は米ソを驚かしせやりますよ」


 と、何とも鼻息が荒い事で・・・・・・


 そんな中でも海軍の主力は今だゼロ戦。雷電に次いで新型艦戦として採用された烈風の出番はない。


 雷電、烈風の出番がないのはエンジンが問題だった。


 進出先のガソリン仕様が機体に合わない問題が各所で起きて混乱を招いているという。それも現地対応が出来ないらしい。


 こうなって慌てて軸流式燃料なる専用燃料が制定されて流通する事になったが、今度はレシプロにその燃料が使えない問題が起きて更に混乱しているという。


 海軍では二宮にターボプロップエンジンの技術情報開示を命令、他社にも生産させ、順次すべての海軍機をターボプロップにするという措置に出た。

 すでに海軍では彗星がターボプロップに換装し、開発にもたつくレシプロに見切りをつけて十六試艦攻、後の流星も換装が決まった。


 陸軍はと言うと、そこまで混乱はなく、併用を行う計画らしい。まあ、レシプロエンジンを他社が生産し続けるので問題ないのだろう。  

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[気になる点] 雷電の開発遅延で十六試艦戦ポシャったのに何処が開発したのか。 後レーダーがあるのにドゥーリトル空襲やミッドウェー海戦防げなかった理由。
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