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順調に改変が進んで行く

 東北帝大と組んでの各種開発は塩飽造船に多大な恩恵をもたらした。


 まず、鋼材開発が思うように進んでいる。そこには製鉄メーカーや軍も参加しているので各方面で恩恵を受けている。

 そして、その波及効果として溶接技術も大いに進展した。


 その結果がガスタービン実験艦の全溶接採用だった。


 そして、その技術を瀬戸内の連絡船にも適用することで大幅なコスト削減や納期短縮も実現している。どうやら国鉄も橋梁や機関車に溶接を採用するらしい。


 もう一つは電子機器だ。


 真空管の信頼性向上を達成したので、高品質のラジオが製品化出来た。もちろん、無線機もだ。


 これによって電機部門を分離して塩飽電装と言う会社を立ち上げることが出来た。


 ここの目玉商品が航路管制装置として瀬戸内航路の安全に多大な貢献をすることになるレーダーだ。


 地上設置の大型で操作も熟練が必要だし信頼性もすぐに整備のたびに部品交換が可能な近隣だから動かせるといった現状だが、徐々に改善していっている。


 もちろん、ガスタービンの信頼性向上、出力向上も行っている。


 二宮が主導していたガスタービン開発だが、二宮が航空エンジンとしての開発に主軸を置いたので、舶用エンジンの開発はうちが主として担う事になった。


 とは言ってもユーザーとなるべき海軍が二の足を踏んでいる。


 やはり軽量機関と言う事で重武装に向かない事が気に入らないらしい。


 そんな折、あの技官が訪ねて来た。


 そろそろ一線を退くそうなのだが、後身たちが鳳翔や龍驤を評価していないという。


「艦隊の連中も、空母を巡洋艦の一種と考えているのか高速性能を求める傾向が強い。安定性こそ空母の最重要な要素だというのに、高速船型にしてしまってはそれが維持できないではないか」


 と愚痴っている。


「それにだ。小型艦橋を採用した蒼龍ではやはり艦橋が狭くて不便らしい。飛龍はさらに赤城と同じ湾曲煙突になる。艦橋もとってつけた小型の現実のアレだ。どうやら翔鶴型は完全にそのままらしい」


 との事だった。


 これが歴史の修正力と言う奴なのだろうか?


 塩飽造船もガスタービンを採用した大型駆逐艦や軽巡を提案しているが、海軍は尻込みしている。


 まあ、仕方がない。大型化という事でかなり費用は掛かるし、破棄するとは言ってもまだ軍縮条約が適用されているんだったか。


「いっその事、クイーン・エリザベス級の様なツインブリッジのガスタービン空母なんてどうだろうか?」


 などと言う技官の冗談に乗る事にした。


 現状、カタパルトは油圧なので蒸気発生器を必要としない。ならば、ガスタービン主機で何の問題もないではないか。


 ただし、ガスタービンなので湾曲煙突は問題があるし、機械室に吸排気設備が必要なので、レキシントンのような巨大煙突と言うのも見栄えが悪い。


 長大な艦橋を有する強襲揚陸艦やひゅうが型護衛艦でも良いのだが、規模を考えると、間にエレベータや駐機スペースを挟んで分割しても問題ない。


「満載で4万トン、全長は大鳳と同等、水線幅は33mほどでどうでしょう?甲板幅は40mは稼げますよ」


 などと二人で概要を決め、なかなか面白そうだったので船体を客船と言う事にして海軍に高速船助成を申請してみることにした。


 建造開始時期を考えれば、商船としての完成は既に不可能だと思う。



 陸軍ではハゴたんこと、九五式軽戦車には満足しているらしいが、37ミリ砲ではなく、57ミリ砲を備えた戦車を欲しがっている。


 分からなくはない。


 やはり37ミリ砲では威力不足なのだ。


 ただ、予算が乏しい事もあって大型戦車の調達は躊躇しているらしいが、自分たちが有するハゴたんの主砲を弾けない戦車の大量配備は意味がないという悩みも抱えている。


 しかも、最近南部銃製造がHAET弾の開発に成功した。


 どうやら57ミリ砲であっても射程にほぼ関係なく45ミリ以上の装甲を撃ち抜けるという事で、37ミリ砲の価値自体が低下するのではとも言われている。


 そして問題なのは、45ミリの装甲を撃ち抜けるという事だ。


 垂直に近い装甲構成はあり得ない。しかもハゴたん級の装甲ではダメで、傾斜して尚30ミリは必須だ。


 そんな事から要求が厳しく、まず10t級のチニ車はソ連のT80軽戦車をモデルにしている非常に窮屈な車両だ。

 基本構成がハゴたんとほぼ変わらず、ハゴたんの武装、装甲強化型と言っても良い。


 そして、本命チハ車はT34の小型版、T50をモデルにしている。


 どちらも南部銃製造所が二宮や塩飽と組んで開発したという液気圧駐退復座器を採用した新型砲なので、非常にコンパクトに纏まっている。もう少し砲身長い方が見栄えがしそうだ。


 そして、エンジンは性能が上がったディーゼルエンジンであり、何より、ようやく完成したトルクコンバーターを備えた自動変速式を採用する事が出来た。


 主砲を担当する南部から例の技術者が訪れていたので話をしたら、海軍技官とも会う事になった。


 その時にチハをオートマチック化出来た事を伝えると驚いていた。


 そして、どうやらすでにガスタービンが実用化している事を聞いたのだが、二宮が開発中の小型ガスタービンは上手くいっていないというので訪ねてみることにした。

 


  

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