その小説に「ときめき」はありますか?
私は下手なりにも文章を書くのが好きだし、それ以前に小説を読むのも好きなのです。
そんな私にとって「小説家になろう」は素敵な場所であると同時に、使い勝手もよろしい楽園なのであります。何せ登録はタダ、小説も公開されている分は全部、読み放題。その上執筆に関して言えば、サイト自体のインターフェイスが非常に使いやすい。もちろん、下手の横好きなので書ければどこでも良かったのかも知れませんが、この「文章を書きやすい環境」は非常に重要なわけでして。いや、こんな風にタダで「読める」・「書ける」環境を用意していただけただけでも、運営様には感謝せねばならんなと、思う次第です。……自分でサイトを立ち上げるのは大変だしね。何より、閲覧数も増えないでしょうし。
そうして、「自分が書きたいものを書く」というスタンスで細々と小説らしきものを書いておりますが、当然ながら他の方の文章を参考にすることもあるわけでして。どれどれと、ランキングから勉強になりそうなものはないかなと好奇心混じりで、ページを開くのだけど……。うん、なんと言いますか。自分がいわゆる「ブーム」から外れているものを書いているせいか、食指が動くものが殆どない。きっと文章力が高い方も多いのでしょうが、小説を楽しく読めるかどうかのベクトルは別でございまして。ランキング=自分が楽しめる作品というわけではないのだなと、ちょっぴり寂しい気分になったりするのですよ。……まぁ、これはおばちゃんが時代の流れに追いついていないだけなのでしょうけど。
と、まぁ。それでも、きっと面白い作品もあるのだろうと数作品、読んでみましたよ? ただ……それでも「失礼ながら」という前置きを前提に、率直な感想を述べさせていただきますと……。皆さんは果たして、書きたいものを書いているのだろうか、と思う事があるのです。
とある作品では「悪役」のレッテルを貼られた登場人物がこれでもかと、懲らしめられている。そのやり口は名誉を失う然り、執拗に痛めつけられる然り、正直なところ「やり過ぎていません?」と思うものが多々、ありました。
確かに、例えば「水戸黄門」には懲らしめる対象の悪代官や悪徳商人が必要だというプロットも分かりますし、エンターテイメントというのは得てしてそういった「勧善懲悪」に伴う「カタルシス」の充足が重要なのも理解しております。ですけど……ね。何事も、やり過ぎはよくないと言いますか……。どうして、ここまでこの「悪役」は痛めつけられなければならないのだろうと、思ってしまう事があるのです。
作品名は出しませんが、悪役の名前も適当だったりすることもありましたし…。生みの親である作者様から適当な名前を貰った挙句、ボロ雑巾のように散々痛めつけられて…場合によっては「リサイクル」までされて、再三の責苦を負わされる「悪役」の方々を逆に心配するという、よく分からない心情になったりするのです。これは…作者様は果たして、楽しくて書いているのだろうか? ……と。もし、心から楽しんで書いているのだとすると……あっ、いや。何でもありません。きっと、彼らはエンターテイメントに徹しているのでしょう。私のように「作者」ではなく「作家」なのでしょうから、読者様の望むものを書いてくれているだけなのだと思うのです。
とりあえず、「頂点」をザラザラっと覗いたところで気を取り直して、他の作品も読ませていただいたりすると、確かに面白い作品も沢山あるのです。文章も上手だし、話の構成もとっても緻密。そんな作品に出会えると、とっても幸せな気分になるのですが……そこは捻くれた私のこと。最後のとある部分で、折角芽生えた冒険心が急激に萎えるのです。
「続きを読みたい、少しでも面白いと思ったら、評価をお願いします」
…………………うん。いや、評価をもらえるのは嬉しいし、私もブクマや評価をもらえれば大喜びだし、読者さんに感謝の気持ちでいっぱいになりますよ? だけど……お願いされると、私は高揚感が減退するタイプなんだ。いや、本当に。
以前、小説仲間にも「後書き」部分で評価をお願いすると、評価をもらいやすいと言われたこともありましたし、実際に1話だけ試してみたこともありましたが。ですけど……すぐに耐えられなくて、その後書きは削除してしまったんですよね。そもそも、書きたいものを書いているだけですし。確かに反応があればモチベーションも上がるのでしょうけど。でも……何かが違うのですよね。
底辺作家が何を言っているんだ、と言われそうなのですが。正直なところ、私がここで小説を書いているのは私自身のためだったりするのです。いや、考えてもみて下さい。「小説家になろう」に投稿さえしておけば、外出先でも自分の書いた「好きな作品」を読めるんですよ? 今までは自宅PCを開かないと読めなかったものが、運営様の用意してくれたフィールドに相乗りさせていただくことにより、読めちゃうんですよ? これって、凄くありません? めっちゃ、ときめいちゃうじゃないですか、ヤダー。「ぼくのかんがえたさいこうのさくひん」を自由に読めるんですよ。ネットのチカラってすげー。
……と、変な妄想はさておきまして。まぁ、白状いたしますと。私は好きで書いている以前に、自分の作品が好きでもあるのです。ですので、他の方に読んでほしいというダダ漏れの欲望を解消しているのと同時に、自分が読みたいという変質者紛いのセルフサービスを実施しているのであります。
ダラダラと変なことを書いてしまい、非常に申し訳ない限りですが。最後に、タイトルを回収することにしましょうか。
えぇと……コホン。その作品に「ときめき」はありますか? あなたは自分が作り出した登場人物に「ときめき」を感じますか?
もちろん、大なり小なりどんな作品にも「悪役」は必要でしょうし、モチベーションのためにポイントを貰えるのが嬉しいのも分かります。ですけど、やっぱり作品には「ときめき」という名の「熱量」やら「愛」やらがないといけないとも、勝手ながら思うのです。
自分の作品に「ときめき」を感じる「闇深さ」も大事なのではなかろうかと。
そうして、おばちゃんは懲りもせず。今日も今日とて、「ぼくのかんがえたさいこうのさくひん」をグレードアップするべく、PCに向かうのでありました。