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悪役令嬢は全能ですっ! ~前世は女傭兵!? 四季咲きのミア・ローズ、最強の領地を目指して~   作者: 葉月双
五章

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9話 さぁ、どうしてくれようか


 そして私たちは悪魔連中と楽しくお話をした。

 まず、他の悪魔が現れない理由は、イーナの魔力が恐ろしいから、だそうだ。

 悪魔たちの戦闘能力は魔力に依存しているらしい。

 身体強化に魔法にと、全てが魔力を必要としている。

 そして、自分より魔力が多い相手に勝つことは不可能なんだとか。

 要するに、上位の悪魔の命令に逆らえないってこと。


 どんな理不尽な命令を受けても、従う以外の道はない。

 逆らったら殺されるから。

 まぁこの辺りは悪魔の性格にもよる。

 すぐ殺す奴もいれば、割と寛大な奴もいるとか。

 で、イーナのさっきの魔力は上級悪魔に匹敵するので、下級、中級の悪魔は基本的に寄ってこない。

 目を付けられたくないから。


「さて、じゃあオスカルって中級悪魔を知ってるかい?」


 私が質問すると、悪魔たちはイーナを見る。

 イーナが頷くと、彼らは話を始める。

 私の魔力量は彼らより低い。

 だから、従う義理はないのだが、イーナが私を可愛がっているように見えるので、イーナに確認しているというわけ。


 悪魔たちの話では、オスカルは領地を持っているそうだ。

 下級悪魔が平民、中級悪魔が男爵ってイメージ。

 爵位のようなものはなく、魔力量で自動的に領主になる。

 つまり、オスカルはこの辺の中級悪魔の中で1番強いってこと。

 私らの世界だと、男爵領で1番強いから男爵領の領主になった、って感じかな。

 他の中級悪魔、あくまでオスカル領の中級悪魔だけの話だけど、彼らはオスカルの配下である。


 そしてどいつもこいつも日々、下剋上を狙っているのだとか。

 割と大変なんだね、悪魔社会も。

 さて、私は領主の館がどこにあるのか聞き出したので、ローレッタと2人で空に舞い上がった。

 そのままローレッタの風に運ばれて空中を移動。


「ところでローレッタ」私が言う。「殴られていたようだけど、まず殴り返すよね?」


「はいお姉様! 噛み付いたのはあくまで拉致したからです! 殴られた分は殴っておかないと!」


 それでこそ傭兵!

 じゃなかった、素敵な公爵令嬢!


「ところで今更ですがお姉様、どうしてあたしが殴られたことを知っているんでしょう?」


 私は遠くが見える水晶のことをローレッタに教える。


「イーナが抱えていたアレですか。ホーリエン王国の物なら、領土とともに分捕ってもいいですね」

「イーナが持って帰るってさ」


 ちなみに、イーナは水晶をホーリエン城の謁見の間に置いてきている。

 そんなことを話していると、領主の館が眼下に見えた。

 割と大きな屋敷だけど、ローズ領のお城ほどじゃない。

 見た目も本当に屋敷って感じ。


「庭園が割といい感じですね」


 庭園好きのローレッタが感心した風に言った。

 私たちはその庭園に降り立つ。

 すぐに燕尾服を着た年配の男性悪魔が駆け寄ってきた。

 どう見ても執事である。


「ほう。人間の匂いがすると思ったら、本当に人間のようですねぇ」


 執事悪魔が私たちを舐めるように見た。


「どうやって魔界に?」と執事悪魔。


「秘密だよ。それよりオスカルを呼んでくれる?」

「それは願いですか?」


 執事悪魔が嬉しそうな表情で言った。

 あ、そうか、こいつら願いと引き換えに寿命を持っていくんだった。


「いや、違う。私らはオスカルを殺しに来た」

「ほうほう。それはいいですね。是非殺してください。彼が死ねば、次の領主はワタクシですので」


 そう言って、執事悪魔がスッと横に移動した。

 そうすると、さっきまで執事悪魔の身体で見えなかった向こう側から、オスカルが歩いて来ていた。


「やれやれ、凶暴令嬢姉妹か」


 オスカルが私らの前で立ち止まり、小さく首を振った。


「やぁオスカル。久しぶり」


 私は公爵令嬢スマイルを浮かべた。


「魔界まで来るとは、よほど僕が好きなようですね」


「はぁ?」ローレッタが顔を歪め、中指を立てた。「ぶっ殺しに来たんですけど?」


 ああんっ!

 中指立てて汚い言葉を使うローレッタも可愛いっ!

 もうローレッタなら何しても可愛いって思ってしまう私がいる!


「はん! 君ら如きが!? この僕を!? 見たところ、君らの魔力量は下の下! 死にに来たようなものですよ!」


 オスカルはゲラゲラと笑った。

 しばらく笑ったあと、オスカルは何度か深呼吸。


「それより契約を結んだ方がお得でしょう」オスカルが言う。「願いを言えば、僕が叶えてあげましょう」


「嫌だね。場所を変えようオスカル」私が言う。「ズタズタに殺してあげるから、ね?」


 私の言葉を聞いたオスカルが、再び笑う。

 やれやれ、場所を変えないなら、爆弾系統は使えない。

 さすがの私も、普通に暮らしている悪魔諸君を巻き込んだりしない。

 あくまで標的はオスカルのみ。


「いいよ、もう。ここで死ね」


 私は20式小銃を仮創造。

 即座に発砲。

 しかしオスカルは弾丸を躱した。

 その時に、オスカルが自身の全身に魔力を流したのが分かった。

 なるほど、これが悪魔たちの使う身体強化ね。


 オスカルは速攻で私の前に移動。

 速いなっ!

 オスカルは私を蹴ろうとしたのだけど、ローレッタが雷撃。

 オスカルは回避して移動。

 雷撃が走り抜ける。


「やはりその程度」オスカルがニヤッと笑う。「僕の敵ではないですねぇ」


「お姉様。アレを使ってもいいですか?」

「未完成だよね?」

「はい。ですが……」

「いいよ。中級悪魔に通用するか試したいんだよね?」

「はい! 【瞬雷】!」


 ローレッタの全身を稲妻がコーティング。

 ローレッタは凄まじい速度でオスカルとの間合いを詰め、そのままオスカルを殴り飛ばした。

 殴った時に、【紫電の一撃】と同程度の電撃が発生してオスカルを攻撃している。


「ふぅ……」


 ローレッタが魔法を解除。

 未完成な上、【瞬雷】は魔力消費も激しい。

 まぁ、その分かなり強力だけれど。

 稲妻をまとっている間は、目で追いきれないぐらいの速度で動ける上、ほぼ無敵状態でもある。

 攻撃すると自動で【紫電の一撃】に匹敵する雷撃が追加で入るし、現時点ではローレッタの最強魔法だ。


「人間風情がぁぁぁぁ!!」


 大ダメージを負ったはずのオスカルが立ち上がる。

 同時に、私はローレッタの隣へ移動。

 オスカルの魔力がオスカルの傷を癒やしているのが目で見えた。


「思ったより厄介だね」


 さっきのローレッタの攻撃で生きているだけでもヤバい。

 その上、回復しちゃうとか。


「がぁぁぁぁ!!」


 オスカルの魔力が赤く染まり、螺旋を描いて衝撃波が起こる。

 おや?

 これはイーナが使ったのと同じだね。

 何かは知らないけど、たぶん身体強化の上位版かな?


「何年も拷問してから殺してやるぞぉぉぉぉ!!」


 オスカルは怒りで人相が変わっている。

 ちょっとキモいね。



「良い天気だねローレッタ」

「はいお姉様」


 野外用のお茶会セットを仮創造した私は、ローレッタとお茶を楽しんでいた。

 ローレッタはさっきの【瞬雷】で魔力をかなり消費していたので、まず青ポを飲んで魔力を回復、その後、お茶を飲んでいる。


「おのれぇぇぇ!! 人間がぁぁぁぁ!!」


 ガンガンと私の展開した【バリア・フィールド】を叩きながらオスカル。

 この魔法は以前、アスラの落とした月を防御したバリアを練り上げたものだ。

 透けた桃色のバリアが、私たちの周囲を囲っている。


「なぜだぁぁあ! 僕の方が遙かに魔力量が多いはず! なのになぜ壊せないっ!」


 オスカルは魔力を撃ち出したり、拳に乗せたり、色々な手段を試している。

 だけど私のバリアを割ることはできない。

 頑強さには自信がある。

 例えば、『Mk45.62口径5インチ単装砲』を撃ち込んだけどバリアは割れなかった。

 5インチ単装砲は最新イージス艦でも採用されている主砲のこと。

 これで割れないなら、よっぽどの威力じゃないと割れない。

 ちなみに、バリアの内部では私以外どんな存在も魔法が使えない。

 よって、転移系統の魔法で中に入るのは不可能。


「どうやってあいつ殺そうかな?」

「あたしはもう殴ったので、お姉様の好きな方法でどうぞ!」

「そうだね。まずは痛めつけようか。圧倒的な戦力差で」


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