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悪役令嬢は全能ですっ! ~前世は女傭兵!? 四季咲きのミア・ローズ、最強の領地を目指して~   作者: 葉月双
三章

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7話 【全能】で捜査すれば余裕じゃね?


「私は別にいいけど、犯人の目星は?」


 私はジェイドを見ながら言った。

 正直、私は時々、誰かを撃たないとストレスが溜まる。

 だからまぁ、撃っていい相手は大切なのだ。

 王族のお墨付きで撃てるなら最高だよね。


「これから治安維持隊の屯所を訪ねて、捜査資料を見るっ!」


 ジェイドは元気よく言った。


「お姉様に犯人捜しを依頼するなら、せめて資料ぐらいは用意しておいて欲しかったです。気の回らない王子様ですね」


 ローレッタ、やけにジェイドにツンツンしてね?

 私はもうドーナッツの件は許したよ?


「い、依頼じゃないぞ! 一緒に! そう! 俺様とミアで、犯人を捕まえるのだ!」


「こらジェイド」クラリスが言う。「アタクシも参加しますわよ?」


「お姉様がやるなら、あたしも参加します」とローレッタ。


「ミアがやるなら俺も!」

「じゃあ僕も!」


 みんなの視線が私に集中する。

 え?

 私の決断待ち?

 ふむ。

 どうやらみんな、犯人を見つけてローレッタにいいところを見せたいようだ。

 ローレッタは言葉通り、私がやるなら一緒がいいというだけだろう。

 お姉ちゃんっ子なのだ。

 可愛い。

 って、えっと、犯人捜しだっけ?


「やるよ。でも最後は私が撃つ。いいね?」

「ははは! ミアは犯人をぶつのか! いいぞ! 俺様が許す!」


 やったぜ!

 王子様の許可が下りた!

 中央直轄領の、しかも王都で堂々と射殺できる!


「まぁ強盗殺人なんてする奴はゴミクズですわ」クラリスが言う。「アタクシも打ってやりたいですわ」


「あれ? みんな撃ちたい感じ?」


「あたしは撃ちたいです」とローレッタ。

「俺はちょっと……まだ勇気が……」とレックス。

「僕も無理だと思います……」とノエル。


 さすがローレッタ。

 そしてレックスとノエルはまだ子供だから仕方ないか。

 いや、ローレッタも子供だけどさ。

 素質が違うよね、素質が。


「はっはっは! お前たち情けないな! 俺様はミアより先にやるぞ!」

「いいけど、私の分を残しておくように」


 てか、王子は何で撃つのだろう?

 銃ないよね?

 弓矢かな?

 それとも私に借りる気なのかな?


「じゃあ決まりですわね。このあと、治安維持隊の屯所に行って資料を見ましょう」


 クラリスが言うと、セシリアがスッと私の近くに立った。


「ミア様、発言してもよろしいでしょうか?」とセシリア。

「側仕え如きが……」とジェイド。


「いいよ」

「そうだ! いいぞ! 早く発言しろ! 聞いてやる」


 私が許可すると、ジェイドも許可した。

 えっと、ジェイドの許可っているの?

 王子だからいるのかな?

 というか、セシリアは普段なら私に許可など求めない。

 なぜなら、私の教育係でもあるからだ。

 ほら、私の言動を諫める必要があるから、いちいち許可なんて取らなくていいのだ。

 両親とそういう感じにたぶん契約が交わされている。

 まぁ、今回は王子もいるし、私を立てるためにちょっといつもより控え目な態度にしている、と言ったところ。

 実に真面目だよね、セシリアは。


「治安維持隊の屯所には、従者をやってはどうでしょうか?」


 ああ、セシリアこれ、私らに出歩いて欲しくないんだなぁ。

 まぁ気持ちは分かる。

 王子と姫が何をやらかすか心配なんだよね?


「ふむ。従者か! いい考えだな!」

「じゃあ私らは訓練しながら待とうか」


「いや、やはりダメだ!」ジェイドが強く言う。「直接行く! 俺様たちで! みんなで! 行くのだ! 訓練が嫌なわけじゃないぞ! 行くべきだと思うのだ! 俺様は!」


「私はどっちでも」


 私は肩を竦めた。


「では行くぞ! 飯を食ってから!」


 言ってから、ジェイドは丁寧に食事を進めた。

 わぁお。

 さすが王子様。

 食べ方がすっげぇ綺麗。

 私よりずっと洗練されている。

 正直、ちょっと見直した。

 ローレッタも「ほう……」と興味深そうにジェイドの食べ方を見ていた。

 ちなみにクラリスも綺麗な所作だった。



 屯所に到着すると、治安維持隊たちが引きつった表情で私たちを出迎えた。

 どうやら、すでに情報伝達が行われていたようだ。

 ちなみに、屯所には子供たちと護衛騎士1人だけで歩いて来た。

 まぁ、本当は王族の護衛騎士が少なくとも10人は周囲に潜んでいるけれど。

 クラリスとジェイドが用件を伝えると、屯所のリーダーが私たちを奥の部屋に通す。

 その部屋には、すでにお菓子が用意されていた。

 お菓子だけでなく、事件のファイルもテーブルの上に並んでいる。

 実に準備がいい。

 うちに来る時も、事前に教えて欲しかったなぁ。

 とはいえ、周囲の騎士たちが目的地を知らなかったのかもね。


「よぉし! 犯人を見つけるぞ!!」


 ジェイドが最初に座った。

 私はクラリスをエスコートして椅子に座らせた。


「ありがとう存じますわ、ミア」

「いいんだよ」


 ふふふ。

 私はまだレンジャー訓練を諦めてないっ!

 必ず近いうちにクラリスをサバイバル訓練に誘う!

 さて、私も座ろうかと思ったら、ローレッタが寄ってきた。

 そしておもむろに私のお尻を抓った。

 なんで!?

 痛い痛いっ!

 ローレッタを見ると、かなりムスッとしている。

 ああん!

 ムスッとしてても可愛いから困る!


 ローレッタはチラッと椅子を見る。

 そして私を見る。

 これは、エスコートして欲しいのかな?

 私はクラリスにやったように、ローレッタをエスコートして椅子に座らせた。

 ローレッタはニッコニコの笑顔で「ありがとう存じます」と言った。

 良かった、正解だったみたい。

 そして、それを見たレックスとノエルがジーッと私を見詰める。

 お前らもか!

 仕方なく、私は2人もエスコートしてあげる。


「ぎゃ、逆……」

「ミアですから……まぁ……」


 2人は嬉しいやら困ったやらの表情で言った。


「ジェイド、あなたはどうして先に座りましたの?」

「俺様は王子だからな! 先に座って当然だ!」

「……バカ」


 クラリスは溜息混じりに言った。

 ジェイドはなぜ罵倒されたのか分からず困惑顔。

 私も分からない。

 まぁいいか。

 とりあえず私も座る。


「容疑者リストあるかい?」


 私が言うと、治安維持隊がファイルを1つ私に渡した。

 テーブルの上にあったやつだ。

 みんなそれぞれ、ファイルを取って読み始める。

 私は面倒なので、【全能】を使うことにした。

 目的は容疑者リストの中の誰が今回の犯人か確定すること。

 イメージは矢印。

 私の顔とリストの間に魔法陣が浮かぶ。


「おぉ」とジェイド。


 魔法は発動したが、矢印は現れなかった。

 私は容疑者リストをポイッとテーブルに戻す。


「この中に犯人はいない。【全能】を使ったから間違いない」


「さすがミアですね!」とノエル。


「とりあえず、資料に目を通してみようかねぇ」


 前世の私ならともかく、今の私は頭いい設定。

 少なくとも、IQは150ぐらいあるはず。

 たぶん。

 あるといいなぁ。

 私も含め、みんな真剣に資料に目を通した。

 レックスはちょっと資料を読むのに苦戦している様子。


「誰か意見は?」


 一息吐くタイミングで、私が言った。


「なんて酷い事件だ! 許せん! 我が国でこんな極悪な犯罪が起こっているとは!」

「まったく同意見ですわ。酷すぎますわ。物を取るだけでも許せませんのに、被害者を全て殺すなんて……」


 ジェイドとクラリスは自分の感想を述べた。


「犯人は複数ですね」

「それは俺も思った」


 ローレッタの意見にレックスが賛同した。


「かなり手慣れているので、以前から犯罪を繰り返しているのではないでしょうか?」


 そう言ったのはノエル。


「ああ、その通りだよ君たち。これは極悪で酷い事件で、更に犯人は複数」私が言う。「しかも手慣れている。分かり易く言えばプロの仕事。しかもこれは、普通の犯罪者じゃない。もし普通の犯罪者なら、かなり訓練されてる。治安維持隊か騎士か、最低でも兵士。そうでなければ、傭兵団《月花》とかね」


 資料を見て分かったのは、あまりにも手際がよくて容赦がないこと。

 芸術的なまでに洗練された手口。

 殺して奪う。

 奪ってから目撃者を殺すのではない。

 最初に殺してから奪っている。

 あるいは目的は殺しか?


「《月花》ですか?」


 ローレッタが驚いた風に言った。


「いや、違うと思うよ。彼らならできる、って意味で名前を挙げただけ」私が肩を竦める。「被害者の中に、要人が2人混じってる。もしかしたら、これは要人の暗殺がメインで、他はカモフラージュかもしれないね」


 だとしたら誰が?

 何のために? 

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