新たな罠
「電話でないの?」
「でないよ。今はプライベートな時間で…邪魔されたくない時間だから。それに仕事用の携帯だし」
「大事な用事だったら?」
「大切な人との時間より大事なことなんてないよ」
「でも…」
「でもはない!もうだまって…」
新藤は紗世の唇にそっと指をそえる。そしてふたりの時間がはじまる。
静かな朝に小鳥の声が響いている。
「おはよう!良い天気だよ」
朝日が眩しい。
目を覚ますとそこには愛しい人がいる。
「おはよう!雄介。空気きれいだからかな。気持ちいいね」
そう言って笑う紗世を抱きしめた。
「そういえば昨日の電話大丈夫だった?」
「うん。メールだった。詳しいことは向こうに帰ってからじゃないとわからないし。急ぎじゃないから紗世は心配しなくていいよ」
「そう。よかった」
「突然ごめんね。日曜日なのに呼び出したりして。迷惑じゃなかった?」
「いえ。今日は特に用事もなかったので…」
「メールでも言ったけどずうずうしいお願いなんだ。無理を承知で頼んでいる」
「なんでしょう?」
「君のとこの指輪がほしくて。でも俺は女の子の好みとかよくわからなくて…。彼女に選んでもらえばいいんだけどできればサプライズでって思って。そんな時に佐田さんからメールをもらったんだ。佐田さんなら自分の会社の指輪をよくわかってるし。もちろんお礼はする。なんでも好きなものをごちそうするよ」
「わたしでお役にたてるなら。でも…ひとつ謝らなければならないことが。わたし会社を辞めたんです。だからもう自分の会社じゃないんです。そんなわたしでも良ければ…」
涼子の遠慮がちな顔がちな顔を見て微笑む。
「そんなことで謝らないでよ。じゃあ交渉成立だね」
並木が日に焼けた顔でニカッと笑う。