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てがみ

「今週末はひさしぶりにゆっくりできそうなんだ。仕事も落ち着いているし温泉でもいくか」

新藤の問いかけに紗世は嬉しそうに笑顔で頷く。

その笑顔を見て新藤は突然紗世の腕を取り、自分の方へちょっと強引に引き寄せる。

「この間からちょっと元気ないみたいだけど何かあった?」

「別に何もないよ…」

ぱっと目をそらす紗世を自分の方に向ける。

「本当に?」

「本当」

新藤の大きな手が彼女の柔らかい頬に触れる。そして指が唇に触れた時ー。

紗世はまた顔をそらしてしまう。

「あっ!ごめんなさい」

「本当は何かあった?」

真っ直ぐ自分を見てくれる彼の瞳。そっと彼女から口づけをする。紗世を抱きしめる力が強くなる。




紗世から届いた手紙は上品なピンクのキレイな封筒だった。

封筒ひとつとっても自分とは違うと言われているようでイライラする。中を確認することなくテーブルに投げ捨てる。

週末をどう過ごすか考えながら喉にワインを流しこむ。昨日までに送っておいたメールの返事に目を通しながら今週は誰に会おうか悩んでいた。その時一通のメールが届く。

何度か食事に誘っていたがいつもかわされていた男性からだった。取引先の男性でちょっと良いなと思っていたけれどそこまで関心があるわけじゃなかった。

でもある日。レストランで彼を見かけた日にそれはかわった。彼の隣にいた彼女を見た日から。

彼女は涼子の大学の学生だった。キレイでかわいくて成績優秀でとにかく目立っていた。学年や学部は違ったけれど雑誌のモデルをしていた彼女は有名人だからみんな知っていた。一度だけ話をしたことがある。

大学に入学したばかりで教室の場所がわからず困っていたところ彼女が声をかけてくれたのだ。

「一年生かな?わたしも入学したばかりの頃は迷子になったの。わたしなんて九州の田舎からでてきてるからもう東京にでてきただけでびびっちゃって」

気さくで優しい彼女のまわりにはいつも友達がいた。年上の彼氏がいるとかで他の人に誘われても一切ついていかない彼女に密かに憧れていた。

その憧れの先輩の彼氏があの人だった。それだけで興味を持った。

『ずうずうしいお願いなんだけど佐田さんにちょっと相談したいことがあって』

メールにはそう書いてある。

急にやる気がでてきて紗世の手紙も読む気になった。

はさみで封をあけ便せんを取り出す。

封筒と同じピンク色の便せんに黒いネコのイラストが書かれている。いかにも紗世らしいかわいらしいものだ。

どうせ内容もそんな感じだろう。

『この間はごめんなさい。また今度会おうね』

書かれていることも想像できる。

だが予想は裏切られた。紗世の手紙の内容は涼子が考えていたものとは違っていた…。


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