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再び会う日まで

「顔どうしたの?!」

驚いた紗世が新藤にかけよる。

「殴られた」

そしてそっと紗世の頭に手をポンとおいて…。

「でもやっと認めてもらえたよ」

にかっと笑う新藤がたくましい。




3ヶ月前。

結婚式会場から抜け出してしまった紗世は自分の気持ちを伝えるためにホテルへ戻った。

ものすごく心配していたであろう家族や友人。そして彼を見て反省した。

それから朝まで時田と話した。結婚できないという彼女を何とか説得しようとする彼。以前彼女を傷つけたことを謝り、もう二度としないと何度も頭を下げた。

でも彼女の心に負った傷は消えることがなく…彼に謝られば謝られるほど深くなっていった。

「ごめんなさい。もう時田さんのこと愛していないの。あんなに愛していたのに…。自分でも気づかなかった。事故であなたを失うかもって思った時本当にこわかった。それが愛だと思った。でも違った…。式の直前にやっと自分の気持ち気づいた。わたし新藤さんが好きなんです」

彼女の最後の言葉に理性を失ったのか時田が彼女の腕を掴み平手で彼女の頬をうった。

「あなたを傷つけたことどうやってお詫びすればいいかわかりません。でも…あなたとは結婚できません」

涙を必死にこらえる彼女の腕を時田はそっと離した。

もともとは自分が彼女の心を離れさせた…。一時の快楽のために彼女を傷つけた…。

「さよなら」

時田は彼女を残して部屋をでていった。



それから毎日紗世は時田との結婚を祝ってくれるはずだった全ての人に挨拶にいき自分のしてしまったことを謝罪した。嫌な顔をする人もいるだろうと思ったが紗世の人柄のせいか誰も彼女を責めなかった。

それは時田の両親も同じで。時田は紗世が悪く言われないように自分が彼女にしてしまったことを両親に打ち明けていたのだ。彼の優しさだろう。その時改めて彼と付き合ったことを後悔していない自分がいることに気づいた。


すでに式から1ヶ月がたっていた。

その間紗世と新藤には一度も会っていなかった。

紗世の「全てを終わらせてくるから」という言葉を信じて彼はひたすら待っていた。このまま彼女が現れないのではと不安になることはなぜかなかった。きっと彼女はくると信じていたから。


そしてその日は突然やってきた。

仕事が終わり自宅に戻るとマンションの前に彼女が立っていた。

「おかえり」

とにっこり笑って。

「待った?」

とふざけていう彼女の手は冷たくて思わず抱きしめていた。

初めて会った時から好きで好きでたまらなかった女性。

ここで離したらまたいなくなってしまうのではないか。もう一度強く抱きしめ。最後に彼女の唇にそっとキスをした。


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