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片思い

「今は仕事が忙しいから。ごめん」

つきあいだして半年。別れの時が近いのだろうか。


ここのところ紗世は気づけばため息ばかりついている。

紗世と時田。

部署は違うけど同じ会社で働いているから忙しいか忙しくないのかはわかる。

仕事が忙しいのは本当だ。でも休みがとれないほど忙しいわけではない。


じゃあ、なんで?


「わたしがつまらないからかなぁ」

ぽつりとささやく。

誰かに相談できるわけでもない。


最近また楽しげに話をしている時田と涼子をよく見る。

仕事のパートナーだし、ヤキモチをやいたって仕方ない。

わかっている…けどつらい。

彼をどこかで疑っている自分。信じられなくなってしまった自分。他の誰かに嫉妬している自分。

全てが恥ずかしい。

こんなに好きなのに。伝わらない想い。

もどかしさ。

楽しかった恋愛が少し苦いものにかわっていた。


自分だけが片思いしているような気持ちになる。

「落ち込んでいても仕方ない」

わかっているけど落ち込む。

いっそのこと諦められたらどんなに楽だろう。


帰り道。ひさびさに電車に乗らずに家まで歩く。

ゆっくりゆっくり。いつもと同じ景色なはずなのに夕日も河川敷も輝いてみえる。

「ちょっと焦りすぎていたのかな」

何かが吹っ切れた気がした。ウジウジ悩むのは好きじゃない。


そして。

決心したかのように携帯を手にとる。

「時田さん。明日時間ありますか?ちょっと話したいことがあります」


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