誓いの言葉
紗世はにこっと笑い新藤の手をぎゅっと握った。
そして…。
「10分たっちゃったね!そろそろ戻らなきゃ」
もう一度新藤の手を握り、そっと部屋をでていく。
「何やってるんだろ…俺…」
「お姉ちゃん!」
控え室に戻ると紗英が姉の帰りを待っていた。
「紗英。ごめんね。時田さんは?」
「みんなもう式場に行ったよ。お母さんが紗世は時間には戻ってくるからって。わたしたちも急がなきゃ」
姉の手をとり式場まで走ろうとする。
「紗英!待って…あのね…」
「時間がないの!」
強引に式場に連れて行かれる。
式場に到着するとすでに準備は整っていてあとは紗世が入場するだけになっていた。
「紗世さん!間に合ってよかった。もうお式がはじまります。ご両親も時田さんもお待ちですよ」
バンっとドアが開き拍手がおこる。
口々にお祝いの言葉を言う友人たち。
幸せそうに微笑む父や母。
そして一番奥には大好きなはずの彼…。
「時田さん…」
ゆっくりと時田のもとへ歩いていく。
紗世が彼の横に並ぶと神父が暖かい眼差しでふたりを見つめる。
「健やかなるときも 病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛しこれを敬い…これを慰めこれを助けその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか」
小さな頃から憧れていた言葉。幸せな言葉。
紗世は目を閉じ、そっと息を吸い込む。
「誓いません」