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彼女の心の中

「それから…」

「それから?」

紗世の不安を全て洗い流してくれるような優しい声で新藤が聞く。

「大学受験の日…家に帰れなかったの」

「どうして?」

「朝家をでる時にお母さんに『紗世の好きなもの作ってまってるね』って言われて。きっと帰ったらお疲れさま〜とか言われるんだろうなって思ったらどうしても帰れなくて。試験できなかったから…わたし。でもいよいよ終電が近くなってきて帰らなきゃいけない時間がきて。勇気だして帰ったらお母さん何も聞かなかった。家族はわたしのことわかってくれているのに…。それでもいつも良い子でいようとしちゃうの」

「試験の結果は?」

「受かってた。その年の問題が難しかったみたいで。できてなかったのはわたしだけじゃなかった。無事大学生になれました」

「よかった」

「うん」

にこっと笑う紗世がかわいい。


「飯塚さ…いま本当に話したいことって昔のことじゃないよね?ここで全部吐き出して幸せにならなきゃ」

「あの…」

「笑ったりしない。おかしいなんて思わない。心の中のドロドロしてる部分見たって嫌いになったりしないよ。不安に思ってること全部言ってごらん」

「わたし…」

「落ち着いて。自分の気持ち言ってごらん」

まるで新藤に催眠術でもをかけられたかのように紗世がゆっくり話だす。


「わたし…時田さんのこと大好きだし愛してる。でも…それと同じくらい憎いんです」


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