ブルーな気持ち
非常階段をのぼって上の階にいくと小さな会議室があった。朝、たまたま会議室の前を通った時扉があいていたのを見たのだ。
紗世は何をするでもなく薄暗い部屋の中でぼんやりとしていた。ドレスのまま床に座りこんでいる。
こんなことをしても意味がないことはわかっている。きっと今頃両親や妹。そして彼が心配しているだろう。
早く戻らなくちゃ。
頭ではわかっているけれど体がいうこときかない。
何が自分をこんなに不安にさせているのかよくわからない。ただただ不安で逃げ出してきてしまった…。
今までも何度かこういうことがあった。
どうにもこうにも…誰かに相談することもできなくて行き詰まってしまって。気づいたら時間だけが過ぎていったことが…。
ひとりになりたい
そう思ったけれど本当はあの時誰かに見つけてほしかったのかもしれない。誰かに気づいてほしかったのかもしれない。
父と母はわたしを見つけてくれるだろうか。彼はわたしを迎えにきてここから連れだしてくれるのだろうか。
それとも他の誰かが探し出してくれる?
ここへきて10分もたっていない。
それなのにもう何時間もたったような気がする。
「はぁ…マリッジブルーかな」
小さなため息と共につぶやく。
いい加減にしなくては…。
そう思い、立ち上がろうとした時。
ガチャ!
扉が開いた。




