消えた花嫁
「このドレスでよかったかな?」
「似合ってるよ」
「髪型変じゃない?」
「かわいいよ」
「グロスの色ちょっと派手かな?」
「大丈夫!キレイだよ」
式の直前妙に落ち着かなくなってしまった紗世を時田がなだめている。
普段落ち着いていることが多い彼女。さっきまでドレスを着て嬉しそうにしていたのに…。
どうして急に?!
なんとか花嫁を落ち着かせようと時田も必死だ。
「紗世落ち着いて。どうしたの?緊張してる?」
優しく穏やかに語りかける。
そんな彼の笑顔を見てホッとしながらも今にも泣き出してしまいそうな彼女。
「大丈夫。でも急に不安になってしまって。今すごく幸せだから余計にかな…」
にこっと弱々しく笑う彼女も綺麗だ。
「ホテルの人に頼んでハーブティーでも持ってきてもらおうか。もうすぐ式もはじまるし、みんなのところに行く前にちょっとリラックスしよう」
紗世の手をきゅっと握り、部屋をでていく時田。
今まで見てきた彼とはちょっと違う。タキシード姿も悪くないな〜とぼんやり思いながらクスっと笑う。
「わたし本当に時田さんと結婚するんだなぁ」
「紗世!今お茶を入れて持ってきてくれるって。ちょっと待ってて」
控え室のドアをあけて時田が紗世に話しかける。
しかし、返事がない…。
「紗世?」
あたりを見渡しても彼女の姿が見えないのだ。
お手洗いにでも行ったのかなと少し待ってみたが、ハーブティーが到着しても彼女は戻ってこない。
「どこに行ったのだろう?!」と今度は花婿がウロウロと落ち着かない。
その時勢いよくドアが開いた。
「紗世!」
と安心したのも束の間…。中に入ってきたのは妹と紗英と両親たちだった。
「紗英ちゃん…。俺がホテルの人にお茶を頼みに行ってる間に紗世がいなくなってしまったんだ。もしかしたら具合が悪くなってどこかで倒れているのかも。申し訳ないんだけど近くの化粧室を見てきてくれるかな?」
「え?!お姉ちゃんいないの?緊張でお腹が痛くなってしまったとか?ウェディングドレスでどこに行ったんだろう。いいよ。わたし見てくるよ」
素早く紗英が部屋をでていく。
式まであと1時間。
ひさしぶりの更新になってしまいました…。
出来上がっていた文章が気に入らず消してしまってから新しい文章が書けずにいました。
うーん。なんででしょう?!
今日からまた徐々に更新していきたいと思っているのでまたよろしくお願いします!
いつも読みにきてくださっているみなさま。本当にありがとうございます。
寒くなってきましたが風邪などひかぬよう気合いで頑張りましょう!