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着物のお姫さま

「あの…あたしの顔に何か?」

「え?!いや…。着物だな〜と思って」

「は?!」

「ドレスじゃなくて着物だなって…」

「着物ですが…何か?!」

「……」



「あー!紗英ちゃんだぁ!ひさしぶり。元気だった?着物きれー」

「理子さん。おひさしぶりです。今日は遠いところありがとうございます」

「いえいえ。紗世のドレス姿が見れるならどこへでも行きますよ。あれ?新藤さん?」

紗英の横に立っている新藤に気づき理子が声をかける。

「理子さんのお知り合いですか?なんかさっきからあたしの顔をじーっと見てるからナンパかなって思ってたんですよ」

「ナンパかぁ。さすが女子大生!発想が若いっっ」

「理子さんの知り合いってことはお姉ちゃんの会社の人?疑ってごめんなさい。姉がお世話になっております。飯塚紗世の妹の紗英です」

紗英が新藤にぺこりと頭を下げる。

まだ驚いた様子の新藤も慌てて挨拶をする。

「はじめまして。新藤雄介です。飯塚によく似てるから本人なのかと思って」

「あーなるほど!それでわたしが着物を着ていることに驚いていたんですね」


話し方や雰囲気はまるで違うけれど。顔や体型は本当によく似ている。姉妹ってこんなに似るものなのか。

食い入るように紗英を見つめる新藤に彼女が一言。

「あの!そんなに見つめられたら困ります。もしかして新藤さん姉が好きなんですか?」

キっと睨みつける姿…。

この時はじめて新藤はやっぱり紗世と紗英は似ていないと思った。

「こらこら。紗英ちゃん。そんなこと言うんじゃないの!あいかわらず気が強いねぇ」

慌てて理子が間に入る。

「だって!!だいたいあんな姉がいたら誰だって気が強くなりますよ。姉は昔から人を疑うことを知らないんです。何されても許してしまうし。時田さんのこともそう!あたしだったら絶対に許さないもん。休みの日に連絡くれないとか有り得ないし。結婚なんてしてあげないもーん」

「紗世と似てるようで似ていないでしょ?わたしも初めて会った時は似てるって思ったんですよ。でも今は全然似てないって思います」

理子がくすくすと笑いながら新藤に話しかける。

それを見た紗英は…

「悪かったですね。お姉ちゃんに似てなくて。でもそう言われるの慣れてますから…」

少々ふてくされ気味の紗英に新藤がすかさずフォローをいれる。

「紗英ちゃん。さっきはごめんね。ドレスを着てるはずの飯塚が着物姿だったからびっくりしてしまって。君のお姉さんもすごくキレイだったけど紗英ちゃんの着物もかわいいよ」

王子さまのとびきりの笑顔はさすがの紗英も声がでない。

「え…。ありがとうございます。では!またあとで」

照れくさいのか新藤の顔を見ずに軽く会釈をして立ち去る。

着物で歩く姿がとてもきれいで。後ろ姿についついみとれてしまう。

さすが!飯塚の妹。


式の時間まであと少し…。


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