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満天の星空

ひさしぶりの更新になってしまいました。定期的に投稿できなくてすみません。

待っていてくれた方がいるかどうかわかりませんが…ぜひぜひ読んでください。

いつもありがとうございます!

風がかすかに吹いていて気持ちいい。車から降りてやってきたのは一面緑が広がる丘のような場所。

車を走らせて2時間といったところか。

星がキラキラ輝いている。

「うわっ!きれー」

紗世が思わず大きな声をだしてしまうほど。

そこには。

星 星 星…。


「キレイだろ?ここはさ、俺の秘密の場所なんだ。考え事があったりすると必ずここへやってきてひたすら星を見ながら悩むんだ。そしたら自分の悩みがちっぽけだって思えて。帰る頃には自分が何を今すべきなのかわかってる。小さい頃からよくここに来てたな」

「小さい頃から?」

「この近くに母親の実家があるんだ。夏休みとか冬休みとかよく遊びにきてた。父の実家はびっくりするくらい広いし、親戚なんかも会社経営してたり…病院やってたり…政治家だったり色々だけど。 母の方は普通の家で育った普通の人なんだ。じいちゃんばぁちゃん優しくて。この人たちに育てられたからこの人がいるんだなって感じ」

「お母さま優しい人なんですね。新藤さんも優しいからわかる気がする」

「父がたまたまこの町を訪れた時、夏休みで帰省していた母に会ったんだって。一目惚れだったらしい。普段こんな田舎にくることはめったにないんだけど家族で昔からお世話になっている人のお父さんが亡くなって、その人の実家がこっちだったからお葬式に参列するために来ていたんだ。不謹慎だけど母に会うためにここへやってきたって思ったらしい」

「運命感じたんですね」

「そんな感じかな?ただ運命を感じていたのは父だけで。大学生だった母は運命なんて微塵も感じてなかったみたいだけどね。突然のプロポーズに驚いて返事もできなかったらしい」

「突然プロポーズしちゃったんだ?」

「そう!母は何言ってるの?!って戸惑うばかりだったみたい。ただ父に熱い気持ちを聞かされているうちに本当に好きになってしまったみたいで。それからは苦悩の毎日だったって。普通の家で育った自分が名家に生まれた彼と結婚できるのかって…。悩みに悩んでこの場所で決断したみたい」

「お母さまにとっても思い出の場所なんですね」

「そうだね。俺も母もこの場所で勇気をもらった。だから最後に飯塚にもここの星を見てもらいたくて。もう悩む必要はないって背中を押したかった」

「新藤さん…」

「ずいぶん悩んだし…泣いたと思うけどもう悩む必要はないよ。自分の気持ちに正直に」

「ありがとう」

にっこり笑う紗世の目にはうっすら涙が浮かんでいた。


「飯塚!最後のお願い聞いてもらえるかな…」

「お願い?」

「俺のわがままなんだけど最後に抱きしめてもいい?」

「……」

少し困った顔で笑う彼女をぐいっと引き寄せ、新藤は強く強く抱きしめた。

「飯塚のこと本当にものすごく好きだったよ。だから絶対に幸せになってほしいんだ」

もう一度強く抱きしめてそっと彼女の頬にキスをした。



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