表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/96

純白の花嫁

吐く息が白い。


「もうスッカリ冬だね。真っ白」

「うん。やっぱり寒いね」

理子は同僚の女の子たちと雪の中をザクザクと歩く。しばらく歩くと小さなかわいらしいチャペルが見えてきた。


そこには雪よりもまだ白い美しい花嫁がいた。

「きれー」

息をするのも忘れて花嫁を見つめる。

「あー!理子!!加奈と真希も来てくれたんだね。遠いとこありがとう」

にっこり笑うキレイな花嫁に誰も声をだすことができない。

「あれ?どうしたの?わたしに何かついてる?」

ただただ自分を見つめる友人たちを不思議そうにみる。

「紗世…キレイ…キレイすぎる」

突然大粒の涙を流し出した理子に紗世は戸惑う。

「理子?どうしたの?まだ式もはじまってないのに泣くなんて!早いよっっ」

「だって…だって。本当に綺麗なんだもん。こんなに綺麗な花嫁見たことない。紗世があんまり綺麗で幸せそうだから…わたし嬉しくって。どうしよう…涙止まらない」

「理子は泣き虫だね…。今からそんなんで本番はどうするの?でもありがとう。わたし今とっても幸せだよ」

理子につられてあとの2人も涙ぐむ。

「あー!加奈と真希まで泣いてるぅ。もう泣き虫なんだからっっ!」


トントン。

ドアをノックする音が聞こえる。

「はーい」

「紗世さん。新郎が紗世さんの花嫁姿を今か今かと待ちわびていますよ。もうウロウロして落ち着かないみたいで。そろそろドレス姿見せてあげてもらえますか?」

「そうだ!まだ彼に見せてないんだった」

ぺろっと舌をだし軽くウインクする。

「じゃあ、またあとでね!あんまり泣くと化粧が崩れちゃうよ」

そう言って控え室をでていった。

「紗世…なんか少し変わったね。更に綺麗になったし、すごくイキイキしてる。やっぱり愛があると違うのかなぁ」

「本当に。あんな綺麗な花嫁をもらえるなんて花婿は幸せだね。紗世のウエディングドレス姿を見た彼の表情が見たいな」

理子がいたずらにニヤっと笑う。


「ごめんね。遅くなって。控え室に理子たちが来てくれたんだよ。会うのひさしぶりだから嬉しくって。理子なんてね…まだ本番も始まってないのに泣いてるの…おかしいでしょ?」

「……」

「聞いてる?」

「……」

「どうしたの?ドレスの感想言ってくれないの?」

「いや…」

「なんか変?」

「そうじゃなくて…」

「化粧が濃いとか?だってこれくらいが良いってホテルの人が…」

「違う…」

「じゃあ、何?」

心配そうに彼の顔をのぞき込む。

「いや…。紗世があまりにも綺麗だから…」

「なにそれー!?」

「冗談じゃなくて…本気だよ。まだまだ未熟だけど俺と一生一緒にいてください」

「はい…」


紗世がそっと彼の手を握る。

こんな幸せがあるなんて思わなかった。

3ヶ月前のことを思い出す…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ