ふたりの想い
部屋に戻ると浴衣姿の新藤がいた。髪が少し濡れている。ミネラルウォーターを飲みながらテレビを見ている。
「あ!おかえり」
「た、ただいま」
思わず声がうわずってしまう。
風呂あがりの新藤の姿があまりに色っぽくて見とれてしまった。
「温泉はどうだった?なかなかいいお湯だったでしょ?紗世の顔色さっきよりだいぶ良くなってる」
優しく話かけてくれる彼に彼女も優しく笑いかける。
「すごく素敵なお風呂だった。体も…それから心も軽くなったよ。ありがとう」
ふたりでにっこり笑いあう。
「ごはんもおいしいから期待してて。このホテルは部屋食だからゆっくり酒でも飲みながらいろいろ話をしよう。紗世のこともっと教えてよ」
突然紗世が新藤の前にたち、顔を近づけた。
「わたしも新藤さんのこともっと知りたい。あなたが好きです。毎日どんどん好きになっていく…」
紗世は彼の唇に自分の唇を重ねていく。
最初は優しく。徐々に激しく。
そのままふたりはベッドへ倒れ込む。
「紗世…好きだよ」
艶っぽい声で新藤がささやく。
「ごめんなさい…わたし。つい…。もうすぐごはんの時間なのに…」
体を起こそうとする彼女を新藤が抱き寄せた。
「だめ。我慢できない。俺じゃだめ?イヤ?」
紗世を見つめる。
「嫌じゃないよ…」
もう一度唇が重なり…ベッドに体が沈んでいく。
ふたりの想いが重なりあった瞬間。彼女が本当の意味で昔の恋を忘れられた瞬間だった。
いつも読んでくださってありがとうございます。
やっとやっと新藤と紗世の想いが重なりました。紗世には絶対幸せになってもらいたいという思いで書き始めた小説なので、自分で書いていてちょっとホッとしました。
新藤さんはイイ男なので。
みなさんはどんな人が好きですか?
では、またよろしくお願いします。