会議室での出来事
「時田さん…」
「突然呼び出してごめん。どうしても話がしたくて。昨日ウチにきてくれたよね?玄関の前に野菜とかお肉が入った袋がおいてあった。紗世がきたんだなって。 連絡くれれば仕事早めに切り上げて帰ったのに。携帯つながらないし、心配になったよ」
大きく息を吸い、顔をあげ時田を見つめる。
「時田さん。ごめんなさい。わたし…あなたと一緒に札幌へは行けません」
「いきなり断られちゃったか…。どうして?」
「昨日時田さんのウチに行きました。一緒にごはんを食べようと思って。これからも一緒にいれたらなって思ってたんです。でも迷いがでてきて…。信じるがこわくなってしまったんです。それで…やっぱり無理だって思ったんです。そこで気づいたの。もうわたしの中では終わってたんだって。だからごめんなさい」
時田が一歩紗世に近づく。
「納得いかないな。昨日はオッケーしようと思ってきてくれたのに突然終わってたって…。理由はそれだけ?」
「家の前で佐田さんに会いました。別に何かを疑ってるわけじゃありません。でも…嫌だった。いろんな思い出して苦しくなった。それでもう無理だなって。これからも同じように苦しい思いするのは辛いの」
「佐田?ちょっと待って。それが理由?彼女がウチの前にいたからプロポーズ断られるの?」
「それだけが理由じゃありません。さっきも言ったけどもうわたしの中では終わってたの。気づいてなかっただけ。時田さんのこと本当に好きだった。さよなら」
「待って」
立ち去ろうとする彼女の腕を掴み、引き寄せる。
「他に好きなやつでもできたのか?!俺じゃダメなの?俺は紗世じゃないとダメなんだよ」
「ごめんなさい。気持ちが戻らないの」
「最後だから…」
ぎゅっと強く彼女を抱きしめて唇を重ねてきた。
「だめ…」
顔をそらそうとしたがガッチリ押さえられていて身動きがとれない。
「ごめん。俺も紗世のことすげー好きだったよ。今までありがとう。札幌で1から出直してみるよ」
ガチャッ。
会議室のドアがあく…。
「あれ?時田さん。こんなとこで何してるんですか?飯塚さんも」
「堀田。会議か?」
「会議っていうか。ミーティングです。新藤さんが来てるんですよ。この間のうちとコラボした商品の売上データがでたんで」
「時田さんおひさしぶりです」
新藤が顔をだした。
別に今までのやりとりが見られていたわけじゃないのに紗世は何となく目をそらす。
「じゃあ、失礼します。いくよ…紗世」
紗世をつれて時田が会議室をでていってしまった。
「紗世か…。時田さんと飯塚さん付き合ってるんじゃないかって噂で。時田さん転勤決まったから飯塚さんも連れていっちゃうのかな」
仕事が終わる頃に紗世の携帯に新藤からメールが入る。
『ごめん。少し仕事が長引きそう。迎えにいくから家に帰ってて』
紗世はわりと早めに仕事が終わったので買い物をしてゆっくり料理をしていた。