デート
土曜日。
朝起きてコーヒーを飲んでいると紗世の携帯がなった。
ひさしぶりに時田からメールが届く。
「今日予定ある?」
その日は家でゆっくりDVDでも見ようと思っていた。
明日は高校時代の友達と映画にいく予定だったけれど今日はわりと暇だ。
「特に予定はないです」
返信する。
「どこかでかけない?」
誘われてやってきたのは新しく出来た水族館だった。前から来たいと思っていたけど遠くてなかなかこれなかったから嬉しい。
涼子じゃなくてわたしでいいのかな?
不安に思ったけれどせっかくだから今日くらいは楽しもう。
ドライブして、ソフトクリームを食べて。いっぱい笑って!
あたりが暗くなった頃、家まで送ってもらう。
「今日はありがとうございました」
ペコリと頭を下げると時田が紗世を見て微笑む。
「お礼を言いたいのはこっちだよ。ちょっと落ち込んでて。飯塚に会えたら元気になれるかなって思って。本当に楽しかったよ。またどこかいこうな」
素直に頷く。
「じゃあ」
振り向いて手をふる紗世を見て時田はまた微笑む。
時田に再び呼び出されたのはそれから5日後のことだった。
仕事帰りにごはんに誘われた。
夜景が見えるレストランからの帰り道。
「飯塚が好きなんだ」
突然の告白。返事をする前に抱きしめられていた。
「今日は自分の気持ちに素直になろうと思って」
そう言って紗世にそっとキスをした。
驚いたけれど紗世は時田の腕から逃れようとはしなかった。
この日、時田と紗世は両思いになった。