オワリの朝
「おはようございます」
「おはよう」
いつもの朝の風景。特にかわったところはない。
エレベーターを待っていると理子が話かけてきた。
「おはよう!紗世。今日のスカートかわいいね。ふんわりしてる。女の子っぽくていいなぁ」
「おはよう。スカート誉めてくれてありがと」
その時。
突然後ろから話かけられた。
「飯塚。おはよう。ちょっと話したいことあるんだけどこのあと時間いいかな」
「時田さん…。おはようございます。朝の仕事だけ片付けてしまえば大丈夫です。それからでもかまいませんか?」
「あぁ」
普段会社にいる時、彼から話かけてくることはほとんどなかったので少し驚いた。付き合う前はよくふたりで話していたが、付き合いだしてからは意識的に少し距離をおいていた。
「ねぇ。紗世!時田さんの話って何?なんかあったの?」
理子がコソコソと耳元でささやく。
「ごめん。今度きちんと話すね」
自分のデスクについて朝一番にやらなければいけない仕事を片付ける。
まず、その日のスケジュールを確認する。前の日に確認したものに間違いがないかチェックする。それからポットにお湯を入れたり。コーヒーを入れたり。
細々とした作業を終わらせやっと自分の
席についた。
「ふぅ」
仕事が一段落したので時田の内線に電話をかける。
「時田さん。お待たせしました。いま大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」
小さな会議室で話をすることにした。紗世の気持ちは固まっていたので特に緊張もない。
あんなに好きだったのに終わりって案外あっさりしたものなんだな…。
少し感傷的な気持ちになる。
「お待たせ」
時田がやってきた。