噂の彼
うっとりしたようなため息がきこえる。
「しかし。神さまは不公平だよねぇ。頭が良くて、お金持ちで。スタイル良くて!しかもイケメンで!!」
「かっこいいっっ。同じ空気吸えるだけでも幸せ〜」
最近オフィスは新藤の話題で持ちきりだ。
女子社員の憧れの的。新藤雄介。
父親が経営するファッションブランド会社の専務。
幼稚舎から大学まで名門私立に通い、その後アメリカの大学に入学。
大学卒業後後、そのまま父親の会社に入ると思われていたが去年までなぜかアメリカの証券会社で働いていた。
自分の力を試してみたかったのだろう。
男として。人として!彼には自信がみなぎっていた。
そんな自信家の彼からは想像できないような他人に対する気遣いや言葉使い。育ちの良さがにじみでているシグサ。
そのギャップが。女子たちの心奪っていた。
「うわぁ。かわいい」
紗世の声が響きわたる。思わず口にだしてしまったことに驚き頬を染める。
紗世がコーヒーを入れて部屋に入った時ちょうど新藤が持ってきた指輪とネックレス。そしてアクセサリーポーチの試作品をみんなに見せていたところだっだ。
紗世が働くジュエリー会社と新藤のファッションブランドがコラボしてはじめて作る作品。
「少女のようなかわいらしさと落ち着いた大人の女性のエレガンスさ。それを同時にだせないかと考えてこのようなデザインになりました」
輝くジュエリーを見つめる紗世を新藤がちらりと見た。