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プライド

「時田さんおはようございます。会議資料です」

笑顔で渡す。

いつも以上にさわやかで優しい。そして誰よりもきれいキレイな笑顔。

その足で自分のデスクに戻り紗世は小さくため息をついた。



きのうのことはあまり覚えていない。

気付いたら家の前にたっていた。

鍵をあけて部屋に入った時、全身が雨で濡れていることに気づく。

お風呂に入って…冷えた体をあたためるためにココアを飲んでみる…。喉にあささかさが広がる。


ポロポロ涙が流れてきた。


何から考えればいいのかわからなくて。

頭で理解しようとしても心がついていかない。

それでも朝はやってきて、いつもの日常がはじまる。

時田に会いたくない気持ちと、それでも時田の顔を見たいという気持ちがいったりきたり。

紗世を苦しめた。



あの夜から一週間がたった。

紗世は完璧に普通の自分を演じていた。何があっても泣かない。

そう決めていた。

自分のプライドがそうさせていたのだろうか。一度誰かに弱さを見せたら全てが崩れてしまいそうだからだろうか。


でも…。

ふとした時に思い出してしまう。涼子と時田の姿。

あの夜の翌日。

涼子は会社を休んでいた。その次の日もまた次の日も。

そのことが時田と涼子の仲を確実なものにしているようで更に紗世を苦しめていった。


ひさびさに涼子が会社に顔をだす。

紗世にとって今一番顔を見たくない相手かもしれない。

それでも「おはよう」と声をかける。

涼子からの返事はない。そこに誰もいないかのように紗世の横を通り過ぎていった…。



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