第6話 セルカと天災
主人公、不憫。
異世界に転生しました。
じゃあ魔法を使おう!
残念、魔法を使えない体でした。
悲しい…。
その後も何度か挑戦したが、ダメだった。
泣ける。
「セルカ、食欲ないけど大丈夫?」
母さんが心配そうに聞いてくる。
ショックで泣きそう。
きっと、ある程度成長しないと魔法は使えないんだよね。きっとそうだよね…
「うーん、やっぱりカタツムリはまだ早いかぁ…」
まじか!?これカタツムリだったの!?どうりでいつもより念入りに焼いてあると思った!
ってか何食わしてるんだ!?
その日は一日中、食欲が無かった。
カタツムリのせいで。
その3ヶ月後、だいぶ寒くなってきた時期。
事件が起きた
「あれは何だ!?」
「神の怒りだ!」
「死ぬのか…?」
「とてもきれいだけど…」
荷物をまとめている者
村中の武器を集めようと走る者
家にこもって出てこない者
ただ祈る者
村が喧騒で満ちていた。
「セルカ、あれは光鳥って言って、人が多く亡くなると見えるのよ。きっとどこかで大勢の人が亡くなったのね…。」
と、母さんは言う。
そこに見えたのは流れ星だった。
それは流星雨や流星嵐と呼ぶのにふさわしきものだった。
この世界の、この国にとっての流れ星は凶兆だった。
そしてそれは皮肉にも、異世界から来た自分にとっても凶兆だった。
空を覆うほどの流れ星。
この日、セルカは旅に出ることを決意した。
ヒロイン(過去形)も不憫。